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■iPS由来の心筋細胞、製薬会社向けに量産販売へ タカラバイオなど [健康ダイジェスト]

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)とタカラバイオ(本社・大津市)は10月30日、人のiPS細胞(人工多能性幹細胞)から品質がそろった心筋細胞を大量製造し、新薬開発時の副作用評価試験用に製薬会社向けて販売する事業を始めると発表しました。
 人のiPS細胞から製造した心筋細胞はすでに国内外で市販されていますが、品質や純度が安定して高い製品はまだないといいます。
 新薬の候補となる物質に心臓の不整脈を起こす副作用がないか調べる安全性評価試験に、人のiPS細胞から製造した心筋細胞を使うことを認めるガイドライン見直しが日米欧で議論されており、タカラバイオの峰野純一常務は記者会見で、「来年3月に大量製造技術の基盤を確立し、2016年3月までに製品を発売することを目指す」と述べました。
 5年後の市場は、100億円規模になる可能性があるといいます。
 iPS細胞を拍動する心筋細胞に変える方法はいくつかありますが、京都大iPS細胞研究所の山下潤教授らが特別な装置や培養条件を必要とせず、極めて高い効率で変える技術を開発しました。タカラバイオに技術移転し、今後はiPS細胞の作製に使う細胞や心筋細胞に変える手順の最適化、ロボットによる自動製造などに取り組みます。
 背景には、新薬の開発コストを抑える狙いがあります。500億円から1000億円もの費用がかかるといわれる新薬の開発は、副作用の発生などにより、その途中で開発中止となってしまうことが多々あり、候補となる物質の約3万分の1しか医薬品にならないとされます。開発中止となるケースのうち、心臓に対する副作用で開発中止となるケースは約20パーセントと一番多く、医薬品開発のコスト増の要因となっています。
 人のiPS細胞から作った心筋細胞に、新薬の候補となる物質を加えて反応を調べれば、副作用予測が効率化され、開発コストの低減につながると期待されます。

 2014年11月3日(月)

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