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■救急病院の9割以上、認知症患者への対応困難 全国アンケート [健康ダイジェスト]

 認知症の人が急なけがや病気で搬送され治療を受ける場合に、全国アンケートに応じた救急病院の94パーセントが対応は困難だと感じていることが、国立長寿医療研究センター(愛知県)などの調査でわかりました。
 患者を受け入れているものの、意思疎通が難しいことが主な理由で、診断に必要な病状の聞き取りや検査に支障が出ている可能性があります。
 認知症の人は記憶力や判断力が低下するため、細やかな配慮が必要ですが、介護の現場で「緊急やむを得ない場合」に限っている患者の身体拘束は、78パーセントの病院が実施していました。
 患者側へのアンケートでは、治療への不満や、入院中に認知症そのものが悪化したとの回答も目立ち、救急医療現場で対策が遅れている実態が浮かび上がりました。専門知識を持つ人材の育成などが急務です。
 2013年の10~11月に全国の救急病院3697カ所に調査票を郵送し、589カ所から有効回答を得ました。このうち患者の入院や手術に対応できる2次救急病院は、約60パーセントでした。
 ほとんどの病院は認知症の人の診察や入院を受け入れているとしましたが、「対応は困難だと感じることがある」が94パーセントを占めました。理由(複数回答)は、「転倒・転落の危険」(88パーセント)が最も多く、「意思疎通が困難」(85パーセント)、「身体検査・処置への協力が得られにくい」(82パーセント)が続きました。
 認知症の人は医師や看護師からの矢継ぎ早な質問や、検査の最中に次々と出される指示を理解できないことがあり、不安が強くなれば徘徊したり、体に取り付けられた点滴や医療機器を自分で外したりすることもあります。
 90パーセント以上の病院が「患者の不安や混乱を取り除くよう努めている」としましたが、認知症の対応マニュアルがあるのは16パーセントにとどまりました。患者の身体拘束のほかに、薬物による鎮静は70パーセントが実施していました。
 患者側へのアンケートは、「認知症の人と家族の会」(京都市)の協力で500人に実施。急病などで病院に行ったことがある人のうち6・9パーセントが、「診察や入院の拒否」を受けたと回答しました。
 自由記述では、「24時間家族が付き添うのが入院の条件といわれた」「2カ月の入院期間中に体を拘束され、自立歩行が困難になった」などの意見がありました。
 調査の主任研究者で長寿医療研究センターの武田章敬医師は、「高齢化に伴い、今後、認知症の人が救急患者として搬送されるケースも増加する。救急医療の現場で、認知症に対応できる医療スタッフを増やしたり、掛かり付け医と連携を強化したりするなど、総合的な対策が必要だ」と話しています。

 2014年12月7日(日)

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