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■認知症に抗精神病薬を初投与、死亡率が2倍以上に 順天堂大が調査 [健康ダイジェスト]

 認知症に伴う幻覚や妄想などの症状が現れた時に投与される「抗精神病薬」について、初めて投与された高齢者は全く投与されていない人に比べ死亡率が2倍以上高くなったことが、順天堂大学の研究チームの調査でわかりました。
 研究チームは、「リスクを医療者や家族が把握し慎重に薬を使うことが必要だ」と指摘しています。
 抗精神病薬は、BPSD(周辺症状)と呼ばれる認知症に伴う幻覚などの症状が現れた時に投与されるもので、調査は2011年から2013年にかけて、順天堂大学の研究チームが全国357の医療機関でアルツハイマー型認知症の高齢者合わせて約1万人を対象に行いました。
 調査の開始時点で、すでに抗精神病薬の投与が続けられていたグループの4800人余りと、全く投与されていないグループの4800人余りについて、半年後の死亡率を比較したところ、ほとんど差はありませんでした。
 ところが、調査の期間中に初めて抗精神病薬を投与された85人について、全く投与されていないグループと比べると、半年後の死亡率が2・53倍高くなったことがわかりました。肺炎や心不全で死亡した人が多く、抗精神病薬を服用し始めてから2カ月から半年の間に、死亡率が高くなる傾向がみられたということです。
 研究チームの代表で順天堂大学の新井平伊教授は、調査によって抗精神病薬を使い始める時のコントロールの重要性が明らかになったとした上で、「リスクを医療者や家族が把握し慎重に薬を使うことが必要で、どうしても使わざるを得ない場合は少量で短期間が望ましい」と指摘しています。
 認知症の高齢者への抗精神病薬の投与を巡っては、マスコミが昨年、認知症の専門医を対象に行ったアンケート調査で、寝たきり状態になるなどの重い副作用が出ていたケースがあることがわかっています。
 アメリカでは、死亡率を高めるとして使用を控えるよう警告が出されており、日本でも厚生労働省の研究班が薬の使用に関するガイドラインを見直し、基本的にはBPSDの治療に抗精神病薬などは使用しないとした上、やむを得ず使用する場合は少量で始め、長期の使用は避けるなど医師に対し慎重な投与を求めています。
 認知症の症状が軽度から中等度に進行すると、記憶障害や見当識障害などの中核症状から二次的に、BPSD(周辺症状)と呼ばれる幻覚や妄想などの心理症状や徘徊(はいかい)、攻撃的になるなどの症状が出ることがあります。
 BPSDは、必要な介護サービスを利用したり、家族の対応の仕方を変えたりすることなどで改善する場合もあります。しかし、介護の現場では、家族などの負担も大きいことから症状を安定させるために抗精神病薬などの精神科の薬が使用されているのが実態です。

 2016年4月11日(月)




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