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■がん検知、少量の血液から アークレイが2022年にも検査装置を販売   [健康ダイジェスト]

 医療機器メーカーのアークレイ(京都市)は少量の血液から高い精度でがんを発見する検査装置を開発しました。がん細胞が血中に分泌する成分に着目。大腸や食道など7種類のがんを9割以上の判定精度で発見でき、従来法に比べて約3倍精度が高くなっています。2022年にも販売を始める予定で、検査負担の少ない簡易な手法として普及させます。
 開発した検査装置のベースとなる技術は、国立がん研究センター(東京都中央区)、東レ、アークレイなどが参画するプロジェクトの成果。がん細胞が分泌した血液中に含まれる「マイクロRNA(リボ核酸)」に着目します。日本医療研究開発機構(AMED)の事業で、総額79億円程度が投じられました。
 その研究成果をもとに、参加各社が実用化を進めています。アークレイは5ミリリットル程度の血液を採取し、装置内で遠心濃縮した上で特殊な光を当てることでマイクロRNAの種類や量を分析します。複数の検体を同時に検査することができ、検査結果は約2時間でわかります。
 従来から複数のがん検査の腫瘍マーカーとして使われるCEA(がん胎児性抗原)は2~3割程度の判定精度にとどまります。一方、新技術は9割以上の精度でがんを発見できるといいます。
 現時点で早期の段階から発見できることが確認できているのは、乳がん、ぼうこうがん、食道がん、卵巣がんの4種類。大腸がん、膵臓(すいぞう)がん、前立腺がんの3種類については、早期発見に関する研究データがそろっていないとしています。
 検査装置は、がんの検査過程でも最初に位置する「スクリーニング」で使うことを想定し、臨床現場や検診センターなどでの導入を狙います
 2022年ごろにも医療機関向けに販売を開始する計画で、今後、検体数や対象とするがんの種類などを決めます。
 アークレイは糖尿病の検査装置大手で、2018年10月期の連結売上高は554億円。糖尿病関連は国内に加えて新興国でも堅調で事業を拡大している一方、同事業が売上高の8割以上を占めており、新規事業の育成が課題です。
 がんの早期発見では、新たな技術開発が相次いでいます。島津製作所は血液に含まれるアミノ酸や脂肪酸など8種類の物質を測定し、大腸がんを9割以上の精度で早期発見できる技術を開発中で、数年内の実用化を見込んでいます。日立製作所は尿で乳がんや大腸がんを見付ける技術の開発を進めています。
 国立がん研究センターによると、がんに罹患(りかん)し亡くなる人の数は年間37万人。高齢化を主な要因として患者数、死亡者数とも年々増加しています。日本人は欧米諸国などに比べてがん検診の受診率が低く、簡易な検査手法や装置の普及によっていち早くがんが発見できれば、重症化リスクが低下し国の医療財政の抑制にもつながることが期待されます。

 2019年10月22日(火)

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