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■国内初、新型コロナウイルスワクチンの臨床試験開始 バイオ企業のアンジェス [健康ダイジェスト]

 新型コロナウイルスのワクチンを人に投与して、安全性や有効性を確かめる臨床試験(治験)を、大阪府茨木市にあるバイオベンチャー企業が6月30日、開始したと発表しました。新型コロナウイルスのワクチンの臨床試験が国内で始まるのは、初めてです。
 臨床試験を開始したと発表したのは、大阪大学の研究者が設立したバイオベンチャー企業「アンジェス」です。
 発表によりますと、臨床試験では「DNAワクチン」と呼ばれるタイプのワクチンを、健康な成人30人に、大阪市立大学医学部附属病院で7月末までに投与する計画です。
 このワクチンは、ウイルスそのものは使わずに、ウイルスの表面にあって細胞に感染する際の足掛かりとなる「スパイクタンパク質」の遺伝子を使います。
 その遺伝子を組み込んだ物質を人に注射することで、体内にスパイクタンパク質が現れ、それに応じて免疫の仕組みで感染を防ぐ抗体ができるとされています。
 投与は2週間あけて2回行い、最初の投与から2週間おきに、8週目まで採血し、投与量が少ない15人と、多い15人を比べて、安全性や感染を防ぐ抗体が作られるかどうかを確認するということです。また、投与から52週目まで医師が健康状態を確認します。
 アンジェス側によりますと、DNAワクチンを作るのに必要な物質は、大腸菌に組み込んでタンクで培養することで、短時間で大量に増やせるということで、素早いワクチン製造が可能だとしています。
 新型コロナウイルスのワクチンの臨床試験は、アメリカや中国などですでに始まっていますが、国内では初めてで、アンジェスは大阪市立大学医学部附属病院のほかに大阪大学医学部付属病院でも臨床試験を行う予定。順調に進めば9月にも結果が出る予定で、その後は大規模な臨床試験への移行を検討。年内に臨床試験を終え、厚生労働省の製造販売承認取得を目指します。
 ワクチン開発に詳しい東京大学医科学研究所の石井健教授は、新型コロナウイルスのワクチンの臨床試験が国内で初めて、大阪市で始まることについて「臨床試験が始まったことはゴールではなくて始まりといえる。プロトタイプ(=原型)を人に投与して、安全性はもちろんのこと、効くのか効かないのかを最終的に見極める実験が始まった段階だ。臨床試験で最も重要なのは安全性をとことん見極めることだ」と話し、期待が先行することに警鐘を鳴らしました。
 また、DNAワクチンは、これまでに実用化されたことがない新しい技術だとした上で「安全性の危惧が指摘されたこともあったが、動物用の医薬品としては承認され、今はワクチン自体の安全性は問題ないとされている。ただ、本当に感染を防御できるだけの免疫を誘導できるのかや、何千万人もの人に投与する大量生産ができるのかが、これから問題になる」と指摘しました。

 2020年7月1日(水)

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