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■便移植で腸炎が回復するメカニズム初解明 大阪市立大など [健康ダイジェスト]

 大阪市立大学の植松智教授や東京大学の研究チームは、欧米で流行する致死率の高い感染性腸炎について、他人の便を使った治療法の詳細なメカニズムを解明しました。腸内の細菌のうち、炎症にかかわる菌や細菌群のバランスの改善にかかわる菌を突き止めました。有効で安全性の高い治療法の開発につながります。
 腸内にすむ細菌の一つ、クロストリディオイデス・ディフィシル(C・ディフィシル)で腸炎を発症した患者を調べました。他人の便を腸内に移植して回復した9人のアメリカの患者について、移植前後の腸内細菌の種類などを解析しました。
 移植後に減った菌は炎症の発生にかかわり、増えた菌は腸内細菌のバランスを改善するのにかかわっていました。炎症の発生にかかわる菌だけを取り除く方法を開発すれば、治療に役立つ可能性があります。
 C・ディフィシルは健康な人の腸内にも存在し、普段は悪さをしないものの、抗生物質の使用などで腸内細菌のバランスが乱れると増えて腸炎や下痢を引き起こします。
 欧米では、抗生物質に耐性があり毒性の強いタイプが流行します。アメリカでは、年間20万〜30万人が感染して数万人が死亡するなど被害が大きくなっています。院内感染が起きやすいため日本でも警戒されています。強毒タイプは日本ではまだ流行していないとみられますが、今後の流行に備え治療法の開発が急がれます。
 便移植法は健康な人の便にいる細菌を内視鏡などを使って腸管内に移植し、腸内細菌のバランスを改善する仕組みで、高い治療効果があります。ただ、効果をもたらす詳しいメカニズムは不明でした。移植に適する便を見分けにくいのが課題で、アメリカでは抗生物質に耐性のある菌を含む便を移植したために、患者が死亡した例があり、安全性の向上が求められています。
 研究チームによりますと、腸内細菌のバランスが病気を改善させるプロセスを確認したのは初めてだということです。
 植松教授は、「菌が増えたか減ったかだけでなく、菌の働きが健康状態を改善させていることが確認できた。腸内細菌を使ったさまざまな治療法の確立に向けた重要なステップだ」と話しています。

 2021年3月8日(月)

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