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■新型コロナ、がん患者体内で耐性ウイルスに変異 陽性100日以上続き治療長期化も [健康ダイジェスト]

 免疫不全のがん患者らが新型コロナウイルスに感染すると、抗ウイルス薬を投与しても体内にウイルスが残り続け、薬が効かない耐性ウイルスに変異するケースがあることが、国立感染症研究所などの調べでわかりました。別の薬を投与するといった対処法は国が策定する「診療の手引き」に盛り込まれておらず、感染症研究所などの研究班は3月中にも新たな診療指針案を作成し、周知を図る方針です。
 感染症研究所にはコロナ患者が急増した2022年初頭の「第6波」の後、各地の医療機関から免疫不全の患者がコロナにかかったケースで「一定期間入院した後も検査で陽性が続く」とする相談が寄せられるようになりました。血液中の免疫細胞ががん化する悪性リンパ腫の患者などが目立ったといいます。
 コロナに感染しても通常は薬でウイルスを大幅に減らすことができ、生き残った一部のウイルスも最終的には体の免疫力で撃退できます。しかし免疫不全の人はウイルスを根絶できず、薬に強い耐性ウイルスが再び増加するケースがあります。
 感染症の治療では一般に耐性ウイルスに対して別の薬に変える方法が有効とされるものの、医師がコロナ治療の参考にしている手引きには対処法が書かれていません。盛り込むには臨床試験(治験)が必要で、改訂には時間がかかるといいます。
 このため手引きの作成にかかわってきた感染症研究所の鈴木忠樹・感染病理部長らの研究チームは患者の分析を進め、手引きを補完する免疫不全患者向けの「診療指針案」の作成に着手しました。鈴木部長は、「課題が周知されることで、免疫不全の患者にも有効な治療法や薬の開発につながれば」と話しています。
 悪性リンパ腫を巡っては国内で年間約3万6000人が診断され、コロナ治療が長期化するリスクのある人は一定数いるとみられます。
 国立国際医療研究センターの大曲貴夫(おおまがりのりお)・国際感染症センター長は「悪性リンパ腫などの患者でコロナの感染が長引くと、予定していた抗がん剤治療が受けられず、命にかかわる。耐性ウイルスは新たな感染拡大を引き起こす恐れもあり、免疫不全の患者への対処は非常に重要だ」と指摘しています。
 感染拡大時に「コロナ重症センター」の機能を担った関西医科大総合医療センター(大阪府守口市)では、重度の免疫不全が原因で治療が長期化したケースが相次ぎました。発症から100日以上陽性が続いた人もいたといいます。
 センターはウイルスを解析し、耐性を持っているとみられる場合は複数の薬を同時投与したり、途中で薬を変えたりして対処し、多くの患者でウイルスを抑え込むことができたといいます。
 だがこうした対処法は診療の手引きに記載がなく、「治療しても治らない」として他の医療機関から転院してきた患者もいました。
 センターによると、コロナの入院患者のうち免疫不全が原因で治療が長期化したのは86例(2月8日現在)。内訳は悪性リンパ腫が59例、臓器移植後に拒絶反応を防ぐため免疫抑制剤を服用しているケースが27例ありました。
 中森靖副病院長は、「手引きにない方法で投薬をすることに多くの医療機関が二の足を踏み、全国で患者が置き去りにされる状態が続いているのではないか」と話しています。

 2024年2月14日(水)

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