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■肥満症治療薬「ウゴービ」22日発売 デンマークのノボノルディスクファーマが製造販売 [健康ダイジェスト]

 国内では約30年ぶりとなる医療用肥満症治療薬が22日、発売されます。デンマーク製薬大手ノボノルディスクファーマが開発した「ウゴービ」です。「万病のもと」とされる肥満の治療の選択肢が広がれば、さまざまな病気の抑制や改善にもつながることが期待されます。一方、昨年から同様の成分を持つ糖尿病治療薬が美容目的で使われる例が増加。「必要な患者に届いていない」として日本医師会は警鐘を鳴らし、専門家はウゴービでも適切な利用を呼び掛けています。
 肥満は糖尿病や高血圧などのリスクを高めるとされ、世界的な課題となっています。世界肥満連合(WOF)は昨年、世界の人口の半数以上が2035年までに過体重または肥満になり、経済への影響は4兆3200億ドル(約648兆円)になると警告しました。
 その中で発売されるウゴービは、中枢神経に働き掛けて食欲を抑える作用があるとされます。保険診療の対象となるのは肥満症と診断され、高血圧か脂質異常症、2型糖尿病のいずれかの持病がある、などの詳細な条件が付きます。
 一方、ウゴービと同じタイプの働きを持つ「GLP―1受容体作動薬」で、糖尿病治療薬として国内ですでに承認されている複数の薬について、製薬企業が出荷制限するケースが昨年相次ぎました。背景の1つに、インターネット上で「やせ薬」として広まったことが指摘されています。全額自己負担の自由診療を行うオンライン診療などで使用が増え、需給バランスが崩れました。
 「これらは画期的な糖尿病の薬で、従来の治療薬で血糖コントロールができなかった人も、ずいぶん血糖値がよくなる。しかし昨年は新規処方を控えるケースもあった。出荷制限が続けばベストな診療ができなくなる」と話すのは、日本糖尿病学会専門医でふくだ内科クリニック(大阪市)院長の福田正博氏です。
 このタイプの薬には胃のむかつきや下痢といった消化器症状の副作用が出ます。福田氏は2週間に1度程度診察し、経過をみながら処方量を増やすなど慎重に対応するものの、オンライン診療では「そこまで慎重にできているだろうか」と懸念しています。
 日本医師会も昨年10月、不適切な使用は「膵(すい)炎リスクを高める」との海外報告などを紹介、「糖尿病患者に必要量が届く態勢を確立したい」と強調しました。
 ウゴービに関して、福田氏は「効果を期待して処方したい患者はいる」とする一方、医療現場では「糖尿病治療薬のように真に必要とする患者にゆき渡らなくなるのでは」との心配が広がります。厚生労働省は今回、ウゴービの適正使用を図ろうとガイドラインを示しました。ただ、自由診療を制限できるわけではないため、実効性は未知数とされます。
 肥満に関連する薬としては今春、大正製薬の内臓脂肪減少薬「アライ」も国内で新しく発売されます。医師の処方箋の必要がない、薬局などで買える一般用医薬品として注目されています。

 2024年2月21日(水)

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