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■厚労省、タイとカンボジアで企業の「メンタルヘルス対策」を支援 過重労働防ぎ供給網の安定図る [健康ダイジェスト]

 厚生労働省は、日本企業がサプライチェーン(供給網)を構築している東南アジアの2カ国に対し、心の健康対策の支援事業に乗り出します。供給網上で過重労働などがあった場合、労働問題を厳しく規制するヨーロッパなどでの日本企業の取引に影響が出かねず、支援の必要があると判断しました。
 政府が海外のメンタルヘルス対策を支援するのは初めて。国際労働機関(ILO)への資金拠出事業として、タイとカンボジアの2カ国で近く行われます。厚労省が2023年度予算に計上しているILOへの拠出金4億円のうち、数千万円が充てられる見込み。
 両国では、アパレルや食品、自動車メーカーなど多くの日本企業が供給網を築いています。原材料を生産する農家のほか、製造工程ごとに異なる会社が下請けに入るなど、取引構造が複雑化しています。
 現地の工場などでは、長時間労働が横行し、病気休暇が認められなかったり、有害物質を扱わされたりすることも多く、劣悪な環境下での労働を強いられた結果、心身の不調を訴える人が増えています。
 ILOによる支援事業では、労働者の心の健康状態について、大規模なアンケート調査を実施。数百社の企業経営者や現地政府の労働系職員を対象に、労務管理やハラスメント防止などのメンタルヘルス対策の必要性についての研修を行います。
 日本で従業員50人以上の企業に義務付けられ、早期に心の健康状態を把握できる「ストレスチェック」の仕組みや、従業員の健康管理のために企業が選任する産業医制度についても、現地政府と協議の上、導入を視野に検討します。
 供給網の人権や労働問題については、欧米を中心に規制の動きが広がっています。
 ドイツでは、自国の企業に対し、取引先の海外企業の供給網の中で長時間労働などがあった場合、罰金などを科す可能性があります。ヨーロッパ連合(EU)でも、圏内の企業に対し、取引先に人権保護や労働環境の整備を求めることを義務付けるルールが検討されています。
 菅原絵美・大阪経済法科大教授は、「アジア地域で展開する供給網の労働環境整備が遅れた場合、欧米企業と取引できなくなるリスクがある。国が実態調査や政府間の対話を通じ、現地の労働環境の向上に協力することは、国際的に事業を展開する日本企業にとって大きな助けになる」と話しています。

 2024年2月27日(火)

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