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■熱中症の疑い、東京都内で1週間に45人死亡 半数が1人暮らしの高齢者 [健康ダイジェスト]

 熱中症の疑いで8月に入って1週間に東京都内で45人が亡くなっていることが、警視庁などのまとめで明らかになりました。
 1人暮らしの高齢者が誰にも気付かれず亡くなっていたり、家に閉じこもって周囲から孤立しがちな家庭で起きたりしている実態が、浮かび上がってきました。
 警視庁や東京都監察医務院によりますと、8月1日から7日までの1週間に、40歳代から90歳代の男女45人が熱中症の疑いで亡くなっていました。
 このうち生活実態がわかった26人のうち、半数に相当する13人が1人暮らしの高齢者で、葛飾区の住宅ではエアコンが壊れたままの部屋で70歳代の女性が亡くなっていました。
 一方で、家族と同居していても、家に閉じこもって周囲から孤立しがちな家庭で起きていることや、認知症の影響で被害が広がりかねない実態があることがわかりました。
 7日、西東京市の住宅で、親子とみられる90歳代の女性と60歳代の女性がそれぞれ別々の部屋で亡くなっていたケースでは、娘とみられる女性が見付かった部屋はエアコンが動いていて病死の可能性がありますが、母親とみられる女性が見付かった部屋ではエアコンが動いておらず、室温が38度近くになっていました。
 警視庁や周辺住民によりますと、親子は行政の支援を拒んだり、地域との交流を断ったりしていたということです。近所の男性は、「少しでも交流があれば役に立てることもあったのではないかと思うと残念でならない」と話していました。
 さらに、5日、杉並区のアパートで83歳の女性が亡くなっているのが見付かったケースでは、部屋のエアコンは動いておらず、女性が世話をしていた認知症の88歳の夫だけが残されました。夫は数時間前のことも忘れてしまい、エアコンの使い方もままならず、このままだと熱中症の危険があるとして、息子夫婦が仕事の合間を縫って自宅を訪れ支えることにしています。
 息子は、「父の認知症は進んでいて、母が亡くなったことは寂しく悲しいですが、それ以上に父が心配です。もし2人ともということになっていたらと想像すると言葉がありません。家族みんなで支えていくしかない」と話しています。
 東京都監察医務院によりますと、2014年から2018年までの5年間、6月から9月までの間に熱中症の疑いで東京都内で死亡した人は396人に上っています。2014年が51人、2015年が117人、2016年が29人、2017年が35人、そして2018年は164人でした。
 死亡した396人のうち、屋内で死亡した人は359人と全体の9割を占めており、炎天下にさらされる屋外よりも多くなっています。また、屋内で死亡した359人のうち、エアコンが部屋になかったのが120件、エアコンがあっても使われていなかったのが157件で、全体の8割近くは冷房の使用実態がありませんでした。
 今年は6月から8月までにすでに57人が死亡していて、7月は平年を下回る気温が続いたにもかかわらず2014年や2016年、2017年の死者数をすでに上回っています。
 警視庁などは、高齢者は体が冷えすぎるといった理由で冷房の使用を控える傾向がみられるものの、熱中症にならないようにこまめにエアコンを使うなど注意を呼び掛けています。
 熱中症の疑いで亡くなる人が8月に入って急増していることについて、熱中症に詳しい帝京大学医学部附属病院高度救命救急センターの三宅康史センター長は、「梅雨明けが遅く、今月になって初めて本格的な夏になり、猛暑日と熱帯夜が続くようになってしまった。高齢者も室温の高い部屋で何日も過ごすことで熱中症も重くなってしまう。エアコンを使わないと屋内でも危険だ」と話しています。
 一方で、認知症の影響でエアコンの使い方がわからなかったり、家に閉じこもって周囲から孤立しがちで体調の異変などを伝えることができなかったりするケースについては、「本人たちに熱中症の危険性があるという自覚を促すとか、エアコンのスイッチを入れてもらうのは難しい」とした上で、「夏の1カ月や2カ月の短い期間だけでも、近所の人たちや家族が毎日見守りに行ったり、逆に集会場などで開くイベントに本人たちを招いて涼しい環境で過ごしてもらうなど、地域の広がりで対応していくことが必要だ」と話しています。

 2019年8月8日(木)

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