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■遺伝子治療薬、初の医療保険適用 血管再生1回60万円 [健康ダイジェスト]

 厚生労働省は28日、体内に遺伝子を入れて病気を治す「遺伝子治療薬」の初の公的医療保険適用を決めました。足の血管を再生する薬「コラテジェン」で、投与1回の公定価格(薬価)は60万円としました。
 遺伝子治療薬は製薬大手やベンチャーが開発に注力しており、今後も保険適用が進む見通し。一方、研究開発や生産に費用がかかり、薬価は高額になりやすいため、財政を圧迫する懸念があります。
 28日午前に中央社会保険医療協議会(厚労相の諮問機関)の総会を開き、9月4日にコラテジェンを保険適用することが了承されました。
 コラテジェンは、大阪大学発ベンチャーのアンジェスが開発した遺伝子治療薬。重度の動脈硬化で足の血管が詰まり、脚などが壊死(えし)する「慢性動脈閉塞(へいそく)症」の患者に対し、新しい血管を作るための遺伝子を2~3回注射して治療します。
 薬価は60万360円。保険適用により患者の負担は原則3割となります。医療費負担に月額上限を定める高額療養費制度があるので、多くのケースでは実際の患者負担はさらに軽くなります。
 ピーク時の患者数は年1000人弱、販売額は年12億円規模と見込まれています。今年3月に厚労省が5年間の期限付きで製造販売を承認していました。正式承認には、5年以内に有効性を確認し再度申請することが必要。
 「究極の医療」と期待される遺伝子治療薬は、有効な治療方法が確立されていない難病への治療薬として注目されています。保険適用が相次げば、患者は利用しやすくなります。
 一方、高コストになりやすいため、薬価は高額になることが多くなりそうです。ノバルティスが日本での製造販売を目指している脊髄性筋委縮症の遺伝子治療薬「ゾルゲンスマ」は、アメリカでは2億円を超す値段がつきました。早ければ年内に承認される可能性があります。
 5月に公的医療保険適用されたノバルティスの白血病治療薬「キムリア」は、1回3349万円と国内最高の薬価となって注目されました。医療技術の進歩により高額な薬が相次いで登場しており、公的医療保険の財政を圧迫する懸念が強まっています。

 2019年8月28日(水)

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■鎮痛剤「オピオイド」訴訟、1兆円超で和解提案か アメリカ医薬品大手パーデュー [健康ダイジェスト]

 医療用に使われる麻薬「オピオイド」入り鎮痛剤の販売手法を巡る集団訴訟に直面するアメリカの製薬大手パーデュー・ファーマが原告側に和解条件を提示していたことが27日、わかりました。同社による支払額は、最大120億ドル(約1兆3000億円)に上る可能性があるといいます。
 パーデューは、同社の鎮痛剤「オキシコンチン」の不適切な販売手法がアメリカでオピオイド中毒のまん延を引き起こしたとして、2000を超える自治体に訴えられています。パーデュー創業家のデビッド・サックラー氏が20日にオハイオ州クリーブランドで集団訴訟の弁護団と会合を開き、和解案を提示したといいます。
 具体的には、パーデューはアメリカ連邦破産法11条を申請した上で「公益信託」に再編。薬物の過剰摂取の治療薬などの販売を通して得た収益を、オピオイド中毒患者の支援や治療費として集団訴訟に参加する各自治体に振り分けるといいます。パーデュー側の弁護士は、公益信託の10年間の活動による支払総額を最大120億ドル規模と見積もっています。
 パーデューは、「何年もの年月を法廷闘争に無駄に費やすことは、何もよい結果を生まない。オピオイド危機に苦しむ患者やコミュニティーは今すぐ助ける必要があり、パーデューは建設的で全面的な解決が最善の道だと信じている」とコメントしました。
 オピオイド系鎮痛剤は従来薬に比べ依存症の危険が少ないとのうたい文句で1990年代に売り出され、急速に使用が拡大しました。だが、その後同薬の乱用による中毒患者が急増。危険性の周知を怠ったなどとして、製薬各社の責任を問う声が高まりました。
 パーデューは同鎮痛薬が主力商品で市場シェアが大きく、過去の積極的な販拡手法が明るみに出たことで批判を集めていました。
 アメリカの自治体はパーデューに加え、イスラエルのテバ・ファーマシューティカル・インダストリーズ、アメリカのジョンソン・エンド・ジョンソンなど複数の鎮痛剤大手メーカーを訴えています。大部分は、類似の案件を取り扱う「広域係属訴訟」としてまとめられ、オハイオ州で10月に審理開始が予定されています。
 26日にはオクラホマ州の地方裁判所が中毒問題に製薬会社の責任を認める最初の判決を下し、ジョンソン・エンド・ジョンソンに5億7200万ドル、日本円にして約606億円の支払いを命じ、同社は判決直後に上告の意向を示しました。
 パーデューは3月時点で、オクラホマ州と2億7000万ドル、日本円にして約300億円で和解ずみでした。

 2019年8月28日(水)

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■「筋肉が付く」加圧シャツの販売会社に課徴金 消費者庁 [健康ダイジェスト]

 消費者庁は28日、「加圧シャツ」を販売した東京都渋谷区の「GLANd」(清算中)に対し、4807万円の課徴金を納付するよう命じました。シャツを着るだけで圧力によって体が「やせる」「筋肉が付く」とうたう広告は科学的根拠がなく、景品表示法違反(優良誤認)に当たると指摘していました。
 同庁表示対策課によると、2017年12月~2018年6月、自社のサイトで、「金剛筋シャツ」「金剛筋レギンス」と呼ばれる商品について「着るだけで筋力アップをサポート」「史上最速で激モテ細マッチョになれる」などと表示しました。
 GLANdは、商品のアンバサダーにお笑いコンビ「品川庄司」の庄司智春さんを起用。昨年12月までに2商品で16億円以上を売り上げました。
 消費者庁は3月、同社を含む加圧シャツ販売会社9社に再発防止命令を出しました。関係者によると、2017年~2018年の2年間に20億円超を売り上げた会社もあったといいいます。
 近年は「筋肉ブーム」ともいわれ、引き締まった体にあこがれる人たち向けに同種の商品が多く流通し、他社との差別化を図ろうと過激な表示が増えたとみています。    

 2019年8月28日(水)

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■年金、現状水準には68歳まで就労必要 5年に1度の財政検証 [健康ダイジェスト]

 公的年金の財政状況をチェックし、将来の給付水準の見通しを示す「財政検証」は5年に1度行われることになっており、厚生労働省は27日、検証結果を公表しました。
 経済成長率が最も高いシナリオでも将来の給付水準(所得代替率)は今より16%下がり、成長率の横ばいが続くケースでは3割弱も低下します。60歳まで働いて65歳で年金をもらう今の高齢者と同水準の年金を現在20歳の人がもらうには68歳まで働く必要があるとの試算も示しました。年金制度の改革が急務であることが、改めて浮き彫りになりました。
 財政検証は公的年金の「定期健診」に相当し、経済や人口に一定の前提を置き、年金財政への影響や給付水準の変化を試算します。今回は6つの経済前提を想定して2115年までを見通しました。
 試算では、夫が会社員で60歳まで厚生年金に加入し、妻が専業主婦の世帯をモデルに、現役世代の手取り収入に対する年金額の割合である「所得代替率」が将来どう推移するかをはじき出しました。政府は、長期にわたって所得代替率50%以上を確保することを目標にしています。
 2019年度は、現役の手取り平均額35万7000円に対して年金額は約22万円で、所得代替率は61・7%でした。
 物価や賃金の上昇率や就業率などに応じ、中長期の実質経済成長率が0・9%からマイナス0・5%までの6つのシナリオのうち、経済成長と労働参加が進む3つのケースでは、将来の所得代替率が50%超を維持できます。2014年の前回財政検証と比べると、将来の所得代替率はわずかに上昇しました。女性や高齢者の就業率が想定よりも上昇し、年金制度の支え手が増えたためです。積立金の運用が想定を上回ったことも寄与しました。
 ただ2029年度以降の賃金上昇率が1・6%、実質経済成長率が0・9%という最もよいシナリオでも、今と比べた所得代替率は16%下がります。
 成長率が横ばい圏で推移する2つのシナリオでは、2050年までに所得代替率が50%を割り込みます。最も厳しいマイナス成長の場合には、国民年金の積立金が枯渇し、代替率が4割超も低下。これらの場合、50%の給付水準を維持するために、現役世代の保険料率の引き上げなどの対策が必要になります。
 今の年金制度に抜本改革された2004年当時の見通しに比べると、年金財政のバランスをとるために給付抑制が必要な期間は長期化しています。2004年の想定では、基準となる経済前提のケースで2023年度までの19年間で給付抑制は終了する計画でした。今回の財政検証では、最も経済状況がよいケースでも、今後27年間は給付の抑制を続けなければならないとの結果でした。
 2004年改革は、現役世代の保険料負担の増加と引退世代の年金給付抑制が改革の両輪でした。だが実際には、保険料の引き上げは進んだものの、少子化の進展に併せて年金額を抑える「マクロ経済スライド」はデフレなどを理由に、2回しか発動されていません。そのことで、将来世代の給付水準を押し下げています。
 今回の検証では、若い世代が何歳まで働けば、今年65歳で年金受給が始まる高齢者と同じ水準の年金をもらうことができるかを試算しました。それによると成長率が横ばいの場合、現在20歳は68歳9カ月まで働いて保険料を納め、年金の開始年齢も同様に遅らせる必要があります。働く期間は今よりも8年9カ月長くなります。
 同様に現在の30歳は68歳4カ月、40歳なら67歳2カ月まで働いて、ようやく今の65歳と同水準をもらうことができます。
 厚労省は今回の財政検証を踏まえ、年末までに年金改革の具体案をまとめる方針。支え手拡大と給付抑制に取り組む必要がありそうです。

 2019年8月27日(火)

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