■HIV感染者の献血を2人に輸血 1人の感染を確認 [健康ダイジェスト]
エイズウイルス(HIV)に感染した40歳代男性が献血した血液が、患者2人に輸血され、うち60歳代の男性がHIVに感染していたことがわかりました。
26日に開かれた厚生労働省の専門委員会で、日本赤十字社が報告しました。献血者が感染初期だったため、血液がHIV検査をすり抜けたとみられます。2003年に輸血によるHIV感染が相次いで確認され、2004年に検査を強化して以降、感染者が出たのは初めて。
日赤は来夏までに、20人分をまとめて検査する手法から、より精度の高い1人ずつの個別検査にし、施設数は8カ所に倍増します。
厚労省によると、40歳代男性が今月上旬に献血した血液からHIVを検出。このため同じ男性が今年2月に献血し、日赤が保管していた血液を精度の高い方法で調べ直したところ、HIVが検出されました。
この血液はすでに、2カ所の医療機関で患者2人に輸血されていました。うち消化器の手術で10月に輸血を受けた60歳代男性が、HIVに感染していたことが判明しました。もう1人は医療機関を通じ連絡を取っており、今後、感染の有無を確認します。
感染した男性に対しては、国の制度で、健康管理の費用として毎月数万円が支払われる見通しです。
HIV検査では、感染直後などウイルス量が少ない時期は検出できないことがあります。このため、感染の危険性があるかどうかを問診で確認していますが、献血した男性は、今年2月の献血の2週間ほど前に男性間の性的接触があったものの、事実と異なる申告をしていました。HIVの検査目的に献血をしたとみられます。
検査の結果は、献血者には伝えられません。厚労省は検査目的の献血はせず、保健所などが実施している無料で匿名の検査を受けるよう呼び掛けています。
血液の検査に詳しい慶應義塾大学の半田誠教授は、「この10年間で検査をすり抜けたのはこの1件だけだが、こうしたことが起きるリスクがあるという認識は必要だと思う。その上で、なぜすり抜けたのか、その経緯を詳しく調べて、新たな検査技術の導入や問診など献血前のスクリーニングの強化が必要かどうかを、検討すべきだと思う」と話しています。
HIV薬害被害者の花井十伍さんは、「献血者は、輸血による感染という重大な事態が起きることを自覚して、責任を持って献血に臨んで欲しい」と話しています。
国立国際医療研究センターの岡慎一エイズ治療・研究開発センター長によりますと、HIVに感染した場合の治療法はこの10年で大きく進歩したということです。
現在は、3種類の抗HIV薬と薬の効き目を高める補助薬を一緒に服用する治療をエイズの発症前に始めることができれば、HIVを体の中から完全になくすことは難しいものの、生涯、発症を防ぐことも可能だということです。また、こうした治療の間、仕事を続けるなど通常の社会生活を送ることもできます。
一方、治療を始めるのが遅れ、エイズを発症してしまった場合は、その後の治療は難しくなり、免疫が低下して命にかかわる恐れも依然高いということです。
2013年11月26日(火)
26日に開かれた厚生労働省の専門委員会で、日本赤十字社が報告しました。献血者が感染初期だったため、血液がHIV検査をすり抜けたとみられます。2003年に輸血によるHIV感染が相次いで確認され、2004年に検査を強化して以降、感染者が出たのは初めて。
日赤は来夏までに、20人分をまとめて検査する手法から、より精度の高い1人ずつの個別検査にし、施設数は8カ所に倍増します。
厚労省によると、40歳代男性が今月上旬に献血した血液からHIVを検出。このため同じ男性が今年2月に献血し、日赤が保管していた血液を精度の高い方法で調べ直したところ、HIVが検出されました。
この血液はすでに、2カ所の医療機関で患者2人に輸血されていました。うち消化器の手術で10月に輸血を受けた60歳代男性が、HIVに感染していたことが判明しました。もう1人は医療機関を通じ連絡を取っており、今後、感染の有無を確認します。
感染した男性に対しては、国の制度で、健康管理の費用として毎月数万円が支払われる見通しです。
HIV検査では、感染直後などウイルス量が少ない時期は検出できないことがあります。このため、感染の危険性があるかどうかを問診で確認していますが、献血した男性は、今年2月の献血の2週間ほど前に男性間の性的接触があったものの、事実と異なる申告をしていました。HIVの検査目的に献血をしたとみられます。
検査の結果は、献血者には伝えられません。厚労省は検査目的の献血はせず、保健所などが実施している無料で匿名の検査を受けるよう呼び掛けています。
血液の検査に詳しい慶應義塾大学の半田誠教授は、「この10年間で検査をすり抜けたのはこの1件だけだが、こうしたことが起きるリスクがあるという認識は必要だと思う。その上で、なぜすり抜けたのか、その経緯を詳しく調べて、新たな検査技術の導入や問診など献血前のスクリーニングの強化が必要かどうかを、検討すべきだと思う」と話しています。
HIV薬害被害者の花井十伍さんは、「献血者は、輸血による感染という重大な事態が起きることを自覚して、責任を持って献血に臨んで欲しい」と話しています。
国立国際医療研究センターの岡慎一エイズ治療・研究開発センター長によりますと、HIVに感染した場合の治療法はこの10年で大きく進歩したということです。
現在は、3種類の抗HIV薬と薬の効き目を高める補助薬を一緒に服用する治療をエイズの発症前に始めることができれば、HIVを体の中から完全になくすことは難しいものの、生涯、発症を防ぐことも可能だということです。また、こうした治療の間、仕事を続けるなど通常の社会生活を送ることもできます。
一方、治療を始めるのが遅れ、エイズを発症してしまった場合は、その後の治療は難しくなり、免疫が低下して命にかかわる恐れも依然高いということです。
2013年11月26日(火)
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