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■現在の高齢者、10〜20年前に比べ5~10歳若返り 治療率低下し、歩く速度アップ [健康ダイジェスト]

 日本老年学会は12日に横浜市で開かれたシンポジウムで、65歳以上の高齢者の身体機能や知的機能、健康状態についての分析結果を発表しました。
 最新の科学データを総合すると、「現在の高齢者は10~20年前に比べて、5~10歳は若返っていると想定される」と評価。高齢者の健康状態は個人差が大きいものの、「高齢者が就労やボランティア活動などに参加できる社会を創ることが今後の超高齢社会を活力あるものにするために大切だ」との声明を出しました。
 知的機能については、日本大の内藤佳津雄教授(心理学)らが、国立長寿医療研究センター(愛知県大府市)が大府市の40歳以上の住民約2300人に実施してきた知能検査のデータを分析。認知症がなく、健康状態のよい高齢者の集団では、ほとんどの検査項目で60~70歳代の成績が向上し、2010年の70歳代は10年前の10歳程度若い人たちと同等の成績でした。
 病気にかかる割合については、東京大の秋下雅弘教授(老年医学)が、全国の65~79歳の高齢者が1996~2011年に医療機関で治療を受けた割合を分析。75~79歳の女性では脳卒中で治療を受けた割合が3分の1近くになるなど、脳卒中、心筋梗塞、骨粗鬆症で大きく減っていました。このほかにもアルツハイマー病を除く、ほぼすべての病気で低下傾向にあり、これに伴い、要介護認定率もほぼすべての年代で低下しました。
 秋下教授は、「治療を受ける高齢者の割合は低下している。定期的な運動など生活習慣が改善したのが原因ではないか」と指摘し、「65~79歳の高齢者の健康状態は5~10歳程度改善している可能性がある」としました。
 身体機能では、桜美林大の鈴木隆雄教授(老年医学)が、1992年と2002年に秋田県で実施された高齢者の調査のデータを比較、歩行速度や握力、片足立ちの時間などが各年代で向上していたことを報告しました。
 身体能力を示す指標とされる歩行速度では、2002年の75~79歳男性の歩く速度はその10年前の10歳若いグループとほぼ同じ、2002年の80歳以上の女性も10年前の10歳若いグループとほぼ同じだったといいます。この地域では、その後の調査でも身体機能が改善しているデータも出ているといいます。
 鈴木教授は、「ものすごく大きな改善」と述べ、「交通機関の利用や金銭管理、家事など自立して生活できる能力の指標でも高齢者の点数は上昇している」としました。
 日本老年学会では今後、これらのデータを基に、現在65歳以上とされている高齢者の定義を変更する必要があるかどうかも検討します。

 2015年6月15日(月)

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