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■抗認知症薬、85歳以上の2割弱が使用 処方実態が初めて明らかに [健康ダイジェスト]

 国内で認知症の症状の進行を抑える抗認知症薬が85歳以上の高齢者人口の2割に使用されているとする調査結果を、医療経済研究機構(東京都港区)の研究チームが、国際老年精神医学雑誌で発表しました。
 認知症患者は国内で約500万人いると推計されていますが、詳しい処方実態が明らかになったのは初めて。年齢とともに消化器症状や循環器、神経症状などの副作用リスクも増えるため、研究チームは学会のガイドライン(指針)の推奨度を見直し、抗認知症薬の使用を控えるよう求めています。
 研究チームは、国のレセプト(診療報酬明細書)情報・特定健診等情報データベースを使用し、2015年4月からの1年間に抗認知症薬が処方された173万3916人分のデータを分析しました。その結果、人口当たりの年間処方率は年齢とともに高くなり、85歳以上の高齢者で17%に処方されていました。また、年間総処方量の47%が、85歳以上の患者でした。
 海外での同様の調査は少ないものの、ドイツでは85歳以上の認知症患者の2割にとどまっており、日本の処方率の高さが際立っています。
 背景には、日本神経学会が診療に関する指針でアルツハイマー病患者に処方するよう強く勧めていることが考えられますが、同学会の指針は85歳未満の患者が中心のエビデンス(科学的根拠)に基づいており、85歳以上についてのエビデンスに乏しいという課題があります。
 研究チームの奥村泰之・東京都医学総合研究所主席研究員(臨床疫学)は、「85歳以上の利用者が多い臨床現場と、エビデンスとの年齢層が異なり、薬の効果は未知数。加齢による副作用のリスク増大も懸念されるため、国内の学会指針の推奨度を弱めたり、強く推奨する年齢層を限定したりする必要がある」と指摘しています。

 2018年6月5日(火)

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