■アメリカ、香料入り電子たばこの一部を規制 未成年者の使用に歯止め

　アメリカ食品医薬品局（ＦＤＡ）は２日、果物や菓子、ミントなどの香料を使用したフレーバー付き電子たばこ製品に関する規制の枠組みを発表しました。30日以内に販売を中止するよう求め、その後は当局が承認した製品のみ販売を認めます。フレーバー製品は未成年者の使用率が高く、ニコチン依存のまん延を招いていると批判が集まっていました。
　ＦＤＡが規制するのは液体の入ったカートリッジを装着するタイプの電子たばこで、業界最大手ジュール・ラブズの製品などが含まれます。たばこ風味とメンソール風味の製品のほか、使用者が自分でフレーバーを加えて味わいを変えられる「オープンタンク」型の電子たばこは、未成年者の使用が少ないとの理由で規制の対象外としました。
　アメリカ疾病予防センター（ＣＤＣ）の調査によると、アメリカで電子たばこを吸っている中高生は2019年に500万人超に上り、その多くがカートリッジ型のフレーバー製品を使っていました。ＦＤＡを管轄するアメリカ保健福祉省のアレックス・アザール長官は、「若年層への電子たばこまん延は、アメリカの薬物使用の歴史でも過去に例のないペースだ」と今回の規制の背景を説明しました。
　ニコチンなどを含む液体を加熱し、その蒸気を吸引する「ベープ」と呼ばれる方式の電子たばこは2000年ごろに登場し、アメリカでは過去５年ほどで使用者が急増しました。これまで液体の成分などに対する規制はなく、さらに2016年までは未成年者への販売もほぼ黙認されていたことが、まん延を招きました。
　未成年者の電子たばこ使用問題への注目が高まったのは、2019年９月以降、アメリカで電子たばこ製品使用による急性肺疾患の報告が急増したためです。これまでに2500人が入院、50人が死亡しました。ＣＤＣは2019年12月、急性肺疾患の原因物質を大麻成分を含む電子たばこに添加物として使われていた「ビタミンＥアセテート」と特定しました。
　トランプアメリカ大統領は2019年９月、急性肺疾患の増加を受けてフレーバー付き電子たばこの販売について「数週間以内に全面的に禁止する」といったん表明したものの、その後は「電子たばこを禁止すれば、（より害が大きいとされる）紙巻きたばこの使用者が増える懸念がある」として、規制に消極的な姿勢を見せ始めていました。
　電子たばこ製品の規制強化を巡っては、喫煙者が「電子たばこを使用し、投票する」と銘打った反対キャンペーンを繰り広げており、政府が電子たばこの全面禁止に踏み込まなかったのは11月の大統領選への悪影響を懸念したためとの見方もあります。

　２０２０年１月３日（金）

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