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■アルゼンチン、遺伝子組み換え小麦の栽培と消費を承認 世界で初めて [健康ダイジェスト]

 アルゼンチン農牧省は8日、遺伝子組み換え小麦の栽培と消費を世界で初めて承認したと発表しました。同国は、世界4位の小麦生産量を誇ります。
 農牧省の科学技術研究委員会(CONICET)は、首都ブエノスアイレスで発表を行い、干ばつに強い小麦の品種HB4を承認したと明らかにしました。
 同委員会によると、「干ばつへの耐性を上げるために小麦の遺伝子組み換えが承認されたのは、世界で初めての例だ」といいます。
 しかし、専門家らは、遺伝子組み換え作物(GMO)の栽培と販売に関して懸念を示し、健康と環境への影響を危惧する消費者らに対するマーケティングの難しさも指摘。実際の商業栽培開始のハードルは高いとみています。
 同委員会は、遺伝子組み換え小麦の栽培開始については、長きにわたって最大の輸出相手国であるブラジルにおいても承認される必要があるとしています。
 アルゼンチンの昨年の小麦輸出量のうち、45%はブラジルに送られました。ほかの主要な輸出国には、インドネシア、チリ、ケニアがあります。
 この承認に対してアルゼンチン国立種子研究所の専門家は、「遺伝子組み換え作物を使った製品が地元や海外の消費者に受け入れられないことや、遺伝子組み換え作物と非遺伝子組み換え作物を別々に生産することの難しさから、どの国も遺伝子組み換え小麦の使用を承認していない」と指摘。そして、ブラジル政府から承認が得られたとしても、「製粉所、製パン所、消費者がこの遺伝子組み換え小麦を購入することに同意することを保証するものではない」と警告している。
 今回承認された遺伝子組み換え小麦HB4は、除草剤グルホシネート耐性・干ばつ耐性品種だといいます。種子を供給するアルゼンチンのバイオテクノロジー企業バイオセレス社は2018年、干ばつ耐性のHB4は、干ばつであっても通常品種より25%多い収量があると発表していました。同社はまた、輸出先となるブラジルの承認を得て商業栽培を開始の予定だとし、2019年に2万ヘクタール分のHB4の種子を供給できると説明していました。
 科学技術研究委員会はまた、この遺伝子組み換え小麦HB4の承認に向けた申請作業が、アメリカ、ウルグアイ、パラグアイ、ボリビアで始まっているとし、オーストラリアとロシアおよびアジアやアフリカの諸国向けに申請作業を準備しているとしています。この発表では日本についての言及はなく、日本への申請はまだないもよう。
 日本の財務省が公表している貿易統計によれば、2019年に日本は、飼料用などを除き505万トンの小麦を輸入しているものの、アルゼンチンからの輸入はゼロ。小麦粉、ひきわり小麦、小麦グルテンなど小麦加工品でも、アルゼンチンからの輸入はありません。
 アルゼンチンは南米における遺伝子組み換え作物の開発、生産の先駆者であり、小麦のほかにも、遺伝子組み換えとうもろこしや大豆の生産を行っています。

 2020年10月11日(日)

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