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■労災死に占める高齢者の比率が初めて4割を超える 2021年360人  [健康ダイジェスト]

 2021年に労働災害で亡くなった60歳以上の高齢者が360人に達し、労災死亡者全体(831人)の43・3%を占めたことが、厚生労働省が毎月公表する「労働災害発生状況」(速報)により明らかになりました。過去最高の比率で、4割を超えたのは初めて。
 けがも含めた高齢者の「労災死傷」も2021年は3万7813人と過去最多を記録し、比率は25%になりました。
 工事現場など若い人が敬遠しがちな危険できつい仕事を担う高齢者が増えている現状と、安全対策の遅れが鮮明になりました。
 「労災死」に占める高齢者の比率は2001年は22・7%でしたが、約20年でほぼ2倍に上昇しました。労災死全体は減少傾向にありますが、高齢者では最近は増加が顕著です。
 産業別で、2021年に高齢者の労災死が最も多かったのは建設業で、前年比25人増の112人。足場組み立て作業中の落下など墜落事故が多くなりました。労災死亡中で高齢者比率が高かった業種をみると、警備では26人のうち約7割(18人)が60歳以上。「工事現場の誘導中に突っ込んできた車にはねられた」(神奈川県・60歳代)などです。
 清掃やハイヤー・タクシーも高齢者比率が高く、社会福祉施設でも22人が死亡。老人ホームでヘルパーなどで働いていて新型コロナウイルスに感染し、亡くなった高齢労働者もいた。
 高齢者の労災死増加の背景には、高齢者人口の増加に加え2013年度以降の厚生年金の支給開始年齢の段階的引き上げなどを受け、生活費のために働く人が増えた実態があります。2000年時点で870万人だった働く高齢者は、昨年1430万人に増加。就業者の21%を占めます。
 ただ高齢者の就職は難しく、「危険」「きつい」とされる仕事も多い業種に集中する傾向があります。建設業の26%、タクシーなど道路旅客運送業では48%が高齢労働者。
 コロナ禍で小売りなどサービス業の求人が減ったことも、危険な職場で働く高齢者が増える要因。今年4月からは年金支給額自体も現役世代の賃金低迷で0・4%減少、物価も上昇し、厳しい条件で働く高齢者はさらに増えそうです。
 労働問題に詳しい龍谷大学の脇田滋名誉教授は、「政府は高齢者に働き続けるよう促しながら安全管理規制は緩いままだ。実態調査と抜本的な対策が必要」と話しています。

 2022年5月30日(月)




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