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■介護のオンライン面談解禁、2024年度から 職員負担軽減し人材確保へ [健康ダイジェスト]

 介護現場の人手不足を和らげるため、厚生労働省はICT(情報通信技術)を活用した業務の規制緩和に乗り出します。ケアマネジャー(介護支援専門員)とサービス利用者の面談をオンライン化し、業務責任者が複数の施設を掛け持ちできるようにします。職員負担を軽減し、人材確保も狙います。
 「介護認定を受けても、ケアマネが2〜3カ月も見付からない人がいる。うちも手いっぱいで、2カ月くらい新規の受け入れを断っていた」。東京都江戸川区に拠点がある在宅介護支援の事業所の責任者は現状を語ります。
 ケアマネは介護保険のサービス内容を決めるケアプランを作成し、在宅介護の中核を担います。要介護者をケアマネにつなぐ地方自治体の地域包括支援センターでは全国的に、数十カ所の事業所に連絡しても受け入れを断られるほど人材不足が深刻化しています。
 厚労省は2024年度の介護報酬改定で複数の規制緩和策を導入します。ケアマネの面談オンライン化は、少なくとも月1回は介護サービス利用者と対面で面談する必要がある現行制度を改めます。同省の調査で3割以上のケアマネが利用者宅への訪問を負担に感じると回答しており、業務の効率化を目指します。
 オンライン面談は介護サービス利用者や主治医らの同意などを条件とし、活用する場合でも2カ月に1回は利用者宅への訪問を求めます。
 介護職員の処遇改善も急ぎます。厚労省はケアマネ1人が基本報酬で対応できるケア件数を、ICTの活用などを条件に現状の最大44件から49件に増やし、報酬の増加を見込めるようにします。
 高齢化の進展に伴い、必要な介護職員数は膨らみます。政府の推計では2025年度に243万人、65歳以上人口がピークに近付く2040年度に280万人と、足元から約3割増えます。職員不足は2025年度に28万人、2040年度に65万人と推計されます。
 有料老人ホームなどの職員配置基準も緩めます。利用者3人につき1人以上配置しなければならない現状を、見守り機器を導入するなどした場合、0・9人以上に引き下げます。職員10人で利用者30人に対応できていたのが、33人に増えます。
 介護事業所の業務責任を負う管理者が複数の事業所を兼務できるようにもします。
 自宅などで可能な介護業務に関して、テレワークでの遠隔作業を認めます。ケアマネによるケアプラン作成や栄養士が手掛ける食事の献立づくりといった業務が念頭にあります。
 現行制度では、海外からの技能実習生と介護福祉士候補の外国人材は、6カ月以上勤務しないと常勤職員になれません。2024年度からは日本人職員と同じように常勤として最初から採用できるようにし、介護職員の配置基準を満たしやすくします。
 介護職員の報酬引き上げを巡っては、厚労省が月額6000円相当の賃上げを2023年度の補正予算で確保しました。2024年度の介護報酬改定でも全体で1・59%のプラス改定とし、同年度は2・5%のベースアップにつなげます。
 高齢者福祉に詳しい東洋大の高野龍昭教授は、「訪問介護の人材不足が特に著しい。地域の高齢者が介護サービスを受けられるよう、就労環境や処遇の改善がさらに求められる」と指摘しています。

 2024年1月18日(木)

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