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☐用語 咽後膿瘍 [用語(い)]

[バー]のどの奥の咽頭粘膜の後方にあるリンパ節に炎症が広がって膿がたまる疾患
 咽後膿瘍(いんごのうよう)とは、のどの奥の咽頭粘膜の後方にあるリンパ節に細菌などが感染して炎症が広がって膿瘍ができ、膿汁がたまる疾患。
 かつては、生後2カ月から5歳の乳幼児や小児に多い疾患とされていましたが、最近では、免疫不全などで全身抵抗力の低下している成人や高齢者にも発症がみられます。
 放置すると膿(うみ)が下方の胸腔(きょうくう)にある縦隔に流れていき、縦隔炎という生命にかかわる疾患になるので、早く医師の診察を受けることが必要です。
 成人では、結核性頸椎(けいつい)カリエスに続いて起こることもあります。ただし、抗生物質や抗結核薬による治療が普及してきた現在では、咽後膿瘍の発症率は減少傾向にあります。
 咽頭粘膜の後方の左右にはリンパ節があり、鼻、副鼻腔(ふくびくう)、咽頭、中耳などの領域リンパ節として働いています。これらのリンパ節は、乳幼児期には数が多いのですが、成人になるに従って委縮していきます。鼻や中耳などの炎症を起こしやすい乳幼児や小児では、炎症に引き続いて、これらのリンパ節に膿瘍ができることがあります。
 咽頭の外傷や異物誤嚥(ごえん)などにより細菌が直接、リンパ節に感染して起こることもあります。
 乳幼児や小児と成人では、症状がやや異なります。乳幼児や小児の初期症状は、機嫌が悪い、食欲がない、発熱などで、泣き声が含み声となります。炎症が進むと、鼻呼吸が障害されたり、首が曲がりにくくなり、痛がったりします。
 成人は発熱、のどの痛み、食事摂取困難などが初期症状で、炎症が進むと口が開きにくい、しゃべりにくい、呼吸が苦しいなどの症状が起こります。
 風邪や急性咽頭炎などが治らず、嚥下や呼吸状態が悪化する場合や、咽頭の外傷後や魚の骨などをのどに刺した後に症状が出てきたら、早めに耳鼻咽喉(いんこう)科を受診し、入院して精密検査をする必要があります。
[バー]咽後膿瘍の検査と診断と治療
 耳鼻咽喉科の医師による診断では、疾患が疑われたら頸部(けいぶ)CT(コンピュータ断層撮影)検査、MRI(磁気共鳴画像撮影)検査により容易に確定診断できます。しかし、咽頭炎症状のみの場合には咽頭後壁のはれや盛り上がりで咽後膿瘍を疑い、鼻咽腔ファイバースコープ(内視鏡)検査で確認します。
 膿を培養して、細菌の種類と抗菌薬に対する感受性を調べる検査は治療上大切です。
 耳鼻咽喉科の医師による治療では、症状が進行して膿瘍が大きくなり、空気の通り道である気道が圧迫されて呼吸困難が生じている場合には、口から針を刺して膿汁を吸引するか、のどを切開してチューブを入れ排膿します。膿瘍が下方に進展していると考えられる場合は、全身麻酔をして、のどの切開の後に頸部外切開を行い、排膿します。同時に、点滴で抗菌薬を投与します。
 緊急性がない場合でも、入院による治療は必須で、点滴での抗菌薬投与などを行います。また、排膿するための手術が必要なことがあります。




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☐用語 咽喉頭異常感症 [用語(い)]

[バー]咽喉頭部や食道には病変がないのに、違和感や胸痛などを覚える疾患
 咽喉頭(いんこうとう)異常感症とは、咽喉頭部や食道そのものに病変がなく正常にもかかわらず、違和感や胸痛など覚える疾患。耳鼻咽喉科領域では咽喉頭異常感症と呼ばれますが、内科・精神科領域ではヒステリー球、ヒステリー球症候群、食道神経症とも呼ばれます。
 症状は、咽喉頭部や食道にヒステリー球と呼ばれる球状の塊が存在している感じ、圧迫感、イガイガ感、食べ物が食道につかえる感じ、胸焼け、吐き気、胸部圧迫感、胸痛など多彩です。
 発症者の多くは女性で、ストレス、自律神経失調症、情緒不安定、貧血などが背景にあります。ストレスから自律神経のバランスが崩れて交感神経が優位になると、咽喉頭部や食道付近の筋肉が過剰に収縮して食道の内腔(ないくう)が細く締め付けられてしまうためです。
 しかし、いたずらに精神的なもの、気のせいと判断することは禁物で、発症者が不安を持つ食道由来の胸痛の原因としては、胃食道逆流によるものが多くみられます。そのほかに、食道運動機能異常、食道知覚過敏、精神疾患との関連があり、これらが相互に関係して発症することが多いようです。
 中年女性では、食道通過障害の症状のほかに、鉄欠乏性貧血、舌炎を合併するプランマー・ビンソン症候群という疾患もあります。食道上部にある慢性食道炎が通過障害の原因とも考えられていますが、こちらも食道そのものに病変は認められず、心因性要素も関係しているようです。
 症状が続き、心配していても改善しない時は、耳鼻咽喉科や内科を受診して、異常のないことを確認してもらうと早くよくなります。異常がなければ、心療内科の受診も検討してもらえます。
[バー]咽喉頭異常感症の検査と診断と治療
 耳鼻咽喉科、内科の医師による診断では、口腔視診、鼻副鼻腔咽喉頭内視鏡検査、副鼻腔・頸(けい)部CT(コンピュータ断層撮影)検査、超音波(エコー)検査、頸部X線(レントゲン)検査、上部消化管内視鏡検査、喉頭アレルギーに関する問診、血液検査、精神症状に関するアンケート検査などを行い局所・全身疾患の鑑別を進めます。
 胸が何となくおかしいなど、食道由来の胸部違和感や胸痛を訴える症例の多くは、胃液が食道に逆流して起こる胃食道逆流症が主な原因です。この診断のためには、まず心電図や心臓エコー検査を行って心臓疾患を否定します。次に内視鏡検査やバリウム造影で食道を調べます。
 ここで胃食道逆流症による食道粘膜の病変の存在が確認されれば、そのまま治療に入ります。通常は、酸分泌抑制薬の内服が選択されます。
 前記の検査で胃食道逆流症が証明されない際には、食道内酸逆流の程度を食道内腔に設置したpHセンサーで証明する方法が最も確実です。近年では鼻から挿入する有線型のセンサーではなく、食道内に固定する無線式のセンサーが使用できるようになっています。
 以上の食道の内視鏡検査や食道内のpHのモニタリングで病変が観察されない場合は、心臓の精密検査となります。この目的は、虚血性心疾患の診断です。心臓の冠動脈造影で異常がみられる場合には、心疾患の治療を行います。冠動脈造影で異常が認められず、胃食道逆流症も否定される場合には、骨格筋由来の胸痛の検査に入ります。
 最近では、心臓に異常を認めない非心臓性胸痛(NCCP)という概念が普及しています。非心臓性胸痛の約半数は、胃食道逆流症によるものと考えられています。従って、最も専門的な治療経験が要求される咽喉頭異常感症をいたずらに精神的なもの、気のせいと判断することは禁物で、順序を追った検査体制で診断を進めていくことが大切となります。
 精密検査を進めても、咽喉頭部や食道などに病変がなければ、無治療で経過観察も可能です。治療を希望する場合、心療内科の受診を勧め、過敏になっている神経を沈めるための鎮静薬や精神安定薬が投与されます。また、抱えている問題やストレスになっている原因を突き止め、その問題についてのカウンセリングを行うことで、自然と咽喉頭部や食道の違和感、胸部の違和感が消えていくこともあります。
 日常生活では、運動や趣味に励み、精神的、身体的機能を高めることが望まれます。




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☐用語 咽頭異物 [用語(い)]

[喫茶店]異物が誤って咽頭に引っ掛かった状態
 咽頭(いんとう)異物とは、誤って飲み込んだ異物が、のどの入り口辺りの咽頭に引っ掛かった状態。異物の大きさによっては、肺に通じる空気の通り道を大きく障害することがあり、窒息の危険性を伴うこともあります。
 咽頭異物は、さまざまな物を原因として起きます。日本では、食生活が関係して魚の骨が多くを占めることが報告されています。咽頭異物は多くの年齢層で生じますが、魚の骨による咽頭異物は各年齢層にみられ、多くは口蓋扁桃(こうがいへんとう)か舌根に引っ掛かります。
 また、入れ歯や薬の包装などによる咽頭異物は、特に高年齢層において生じることが多くなっています。乳幼児では、おもちゃや硬貨、シール、ボタン、針、ボタン型電池などが原因となることが特徴です。食べ物であるのかないのかの判別がつかず、何でも口に入れてしまう乳幼児の特性を反映しているといえます。
 異物を飲み込んだ直後から、咽頭に物が引っ掛かった感じが現れたり、咽頭に激しい痛みが現れたり、症状はさまざまです。異物を飲み込んだ際にむせ込んだり、せきが出たりすることもしばしばあり、異物の大きさによってはのどをふさいで、呼吸困難や窒息を生じることもあります。
 乳幼児や認知症を患う高齢者の場合、本人や周囲の人が気付かないうちに異物を飲み込んでいることもあります。その場合、長引くせき、ヒューヒュー、ゼーゼーという喘鳴(ぜんめい)、かすれ声などの症状で認識されることがあります。高齢者の場合、本来はあるはずの入れ歯がなくなっていることから、咽頭異物が疑われることもあります。
 小さな魚の骨ぐらいなら、ご飯をそのまま飲み込めば取れることがあります。また、勢いよくせきをすると取れることもあります。激しく痛み、なかなか取れない場合、あるいは乳幼児や高齢者が異物を飲み込んだ可能性がある場合は、すぐに耳鼻咽喉(いんこう)科を受診してください。異物は引っ掛かってすぐなら見付けるのは比較的簡単ですが、時間がたっていたり、深く刺さっている場合には発見が難しいこともあります。
[喫茶店]咽頭異物の検査と診断と治療
 耳鼻咽喉科の医師による診断では、咽頭に引っ掛かった物、その大きさ、痛みの部位などを詳細に問診します。異物を飲み込んだという状況が明確でなくても、せきが長引く、呼吸が苦しいといった症状がみられる場合は、咽頭異物を疑います。
 咽頭異物が疑われる場合は、X線(レントゲン)検査、CT(コンピュータ断層撮影)検査といった画像検査を行います。針、ボタン型電池など異物の種類によっては、画像検査によって異常構造物を指摘することが可能な時もあります。また、口から直接、あるいは鼻から鼻咽腔ファイバースコープを挿入し、異物を探すこともあります。
 耳鼻咽喉科の医師による治療では、咽頭異物が確認された場合、すぐに異物を除去するための処置を行います。具体的には、口から直接、あるいは鼻から鼻咽腔ファイバースコープを挿入し、鼻咽腔ファイバー内から異物をつかむ鉗子(かんし)を挿入して異物を摘出します。
 異物が体の奥深くに入り込んでしまったり、先がとがった構造で咽頭に引っ掛かり、鼻咽腔ファイバースコープを用いての摘出が困難な場合には、手術を行います。




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☐用語 異物誤吸入 [用語(い)]

[喫茶店]気道内に異物が誤って吸入され、気道閉塞を起こす状態
 異物誤吸入とは、肺に通じる空気の通り道である気道内に、いろいろな物質が進入して、気道異物として気道閉塞(へいそく)を起こす状態。ハイハイやつかまり立ちを始める6~11カ月の乳児を始めとして、1人で室内を移動できるようになる1歳前後以降の乳幼児に多く起こります。
 飲み物や食べ物を飲み込む動作を嚥下(えんげ)といい、食道を通って胃に運ばれます。食道と太い気道である気管は隣り合わせで、気管の入り口である喉頭(こうとう)が大きく開いており、このままでは飲み物や食べ物が気管に入ってしまいます。それを防ぐために、フタの役目を持つ喉頭蓋(がい)という軟骨からなる部分が、嚥下の動作とともに気管の入り口をふさぎます。
 大人でも、本来は胃の中に運ばれなければならない飲み物などが誤って気管内に進入する誤嚥を起こしますが、むせたり、せき込んだりして気管から吐き出そうとします。乳幼児では、せきの力が弱いため飲み物などが気管内に進入する誤嚥を起こしやすくなります。
 異物の種類は豆類を中心とした食べ物が最も多いのですが、そのほか乳幼児の身の回りにある物はすべて気道異物の原因になる可能性があります。安静時でも起きますが、これらを口の中に入れて泣いたり、笑ったりした時などに、異物が肺に至る喉頭や、気管と気管支からなる下気道内に進入してしまいます。
 異物誤吸入を起こしても症状に乏しくなかなか気付かれないものから、急激に呼吸が悪化し窒息となる場合もあり、さまざまな症状の出方をします。なかなか治らない喘息(ぜんそく)として治療されていて、検査してみて初めて異物誤吸入だとわかるといった長期の経過をたどるものもあります。
 一般的には、誤嚥直後に乳幼児が突然激しくむせ込んだり、激しいせきをします。この時点で異物を出すことも多いのですが、せきの力が弱い乳幼児では下気道内に進入してしまうことがあります。
 下気道内へ進入すると一時的に症状がなくなりますが、気道閉塞が起こるとヒューヒュー、ゼーゼーという喘鳴(ぜんめい)や、せき込み、呼吸困難の症状が現れてきます。ひどい場合は、窒息してしまうこともあります。
 ピーナッツ、枝豆などの豆類では豆類に含まれる油分が化学炎症を起こすため、数日以内に肺炎を発症します。その他のビニール、プラスチック、シール、プラモデルの部品、魚の小骨、ボールペンのキャップ、乳歯、たんの塊などの異物でも、長期間、下気道内にあると細菌感染を起こしやすくなります。
[喫茶店]異物誤吸入の検査と診断と治療
 小児科、耳鼻咽喉(いんこう)科、呼吸器科の医師による診断では、受診するまでの経緯や、持続する呼吸器症状から異物誤吸入を疑います。胸部聴診を行うと、空気が入りにくい部分の呼吸音の低下や左右差が認められることがあります。
 次に、胸のX線(レントゲン)検査を行い、異物がどこに詰まっているかを確認します。気道に入っているのか、食道に入っているのかは、側面の画像を撮るとわかることもあります。X線(レントゲン)検査で画像に映る物としては乳歯、ボタン型電池などの金属製製品があり、画像に映らない物としては食べ物、シールなどがあります。異物によって生じたX線(レントゲン)上の変化として、片側の肺が空気で膨らみすぎる過膨張や、肺がつぶれる無気肺などが認められることもあります。
 異物誤吸入が疑われた場合は、内視鏡検査で直接、異物の観察も行います。喉頭異物の場合、喉頭ファイバースコープを用います。下気道異物の場合、全身麻酔を施した上で硬性気管支鏡あるいは気管支ファイバースコープを使って観察します。
 小児科、耳鼻咽喉科、呼吸器科の医師による治療では、喉頭異物の場合、鉗子(かんし)で異物を摘出します。下気道異物の場合、全身麻酔をして硬性気管支鏡で異物を摘出しますが、異物が粉砕されてしまった場合は、異物を除去した後に気管内洗浄・吸引を行います。
 異物の摘出後は、喉頭・下気道粘膜の浮腫(ふしゅ)などを予防するためにステロイド剤やエピネフリン(アドレナリン)などの吸入や、点滴によるステロイド剤投与を行う場合があります。異物を吸入した後、時間が経過し炎症が起きている場合には、ステロイド剤、抗菌剤を投与した後に、気管支鏡で異物を摘出します。
 異物誤吸入の予防法としては、気道異物の原因としては豆類が大多数を占めるため、乳幼児にはこれらを与えないことが重要です。また、乳幼児は何でも口に入れてしまうものだという認識を持つことが重要です。日本人の3歳児の口の大きさから、38ミリ以下の物は誤嚥・誤飲の可能性があるといわれているので、このような大きさの物は日ごろから手の届かない所に置くということを、家庭内で習慣付けることも重要です。




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