■用語 うっ滞性皮膚炎 [用語(う)]
下肢の血液循環が滞るために生じる慢性の皮膚疾患
うっ滞性皮膚炎とは、下肢の静脈の循環不全によって生じる慢性の皮膚疾患。うっ滞とは、血液などが正常に循環したり流れたりすることができずに、静脈内などに滞留した状態を指します。
特に中年以降の女性に多くみられ、静脈瘤(りゅう)や血栓性静脈炎など下肢の静脈の血行障害によって、膝(ひざ)下3分の1の部位に発症します。動静脈ろう、先天性静脈拡張症などの先天性疾患でも起こりますが、この場合は年少時より生じます。
遺伝的に静脈の弁が弱い体質に加えて、長期間の立ち仕事、肥満、加齢、出産などが誘因となって、膝下3分の1の部位に静脈瘤などができ、血液のうっ滞が生じます。この血液のうっ滞が慢性化すると、血管から皮膚への酸素や栄養の供給が不足し、皮膚炎や色素沈着などの症状が出ると考えられています。
長い時間立っていた日やよく歩いた日の夜に膝下がむくみ、翌朝には軽くなるという症状がまず現れます。むくみを繰り返していると、その部位の皮膚表面に光沢を帯びた湿疹(しっしん)ができ、内出血のために褐色の色素沈着が現れます。さらに変化が進むと、表面にかさぶたがついた楕円(だえん)形のかゆみのある紅斑(こうはん)がいくつも現れ、次第に大きくなってきます。
また、皮膚の細胞へ十分な血液循環が保たれなくなるため、皮膚が委縮したり、皮膚表面に軽いダメージを受けただけで容易に皮膚潰瘍(かいよう)を生じます。これらの皮膚炎の症状は、細菌感染が加わったり,外用薬や消毒薬が原因で接触皮膚炎を起こすと悪化することもあります。
膝下3分の1の部位に静脈瘤ができて治りにくい皮膚炎があれば、皮膚科、ないし皮膚泌尿器科を受診する必要があります。足首から先のむくみなどもがみられる場合には心臓病や腎臓(じんぞう)病の可能性もあるため、ドプラー血流計や超音波診断装置のある皮膚科、皮膚泌尿器科、あるいは血管外科を受診し、血流不全についてさらに詳しく調べる検査を受ける必要があります。
うっ滞性皮膚炎の検査と診断と治療
皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による診断は、うっ滞性皮膚炎によって出る臨床症状によって行います。皮膚炎が急に悪化する場合には、外用薬や消毒薬による接触皮膚炎の可能性があるので、パッチテストを行います。
治療の基本は、うっ滞性皮膚炎の皮膚が直接刺激や外用薬の影響を比較的受けやすいため、安静を保ち静脈の血行障害を改善させることです。長時間の立ち仕事や歩行は避け、休憩時間や就寝時は下肢を高く挙げて休むようにします。弾性ストッキングや弾性包帯を用いるのも効果的で、弾性ストッキングなどは静脈を圧迫することにより、静脈が伸びたり傷付いたりするのを防ぎます。
皮膚炎に対してはステロイド外用薬を塗ります。抗アレルギー薬なども、かゆみに応じて使用します。
症状が強く大きな静脈瘤があるもの、うっ血が著しくて下肢を高く挙げておいても改善しないもの、慢性の静脈血行不全があるもの、血栓性静脈炎を繰り返すものなどに対しては、表在静脈の皮下抜去(ストリッピング)、流入静脈の高位結紮(けっさつ)、局所の静脈瘤の切除、硬化薬注入、レーザー療法などによる治療などが行われます。
しかしながら、手術や硬化薬注入によって、静脈瘤を切除したりすべて排除しても、この疾患は治りません。治療は主に症状を軽減して外観を改善し、合併症を防ぐために行います。
うっ滞性皮膚炎とは、下肢の静脈の循環不全によって生じる慢性の皮膚疾患。うっ滞とは、血液などが正常に循環したり流れたりすることができずに、静脈内などに滞留した状態を指します。
特に中年以降の女性に多くみられ、静脈瘤(りゅう)や血栓性静脈炎など下肢の静脈の血行障害によって、膝(ひざ)下3分の1の部位に発症します。動静脈ろう、先天性静脈拡張症などの先天性疾患でも起こりますが、この場合は年少時より生じます。
遺伝的に静脈の弁が弱い体質に加えて、長期間の立ち仕事、肥満、加齢、出産などが誘因となって、膝下3分の1の部位に静脈瘤などができ、血液のうっ滞が生じます。この血液のうっ滞が慢性化すると、血管から皮膚への酸素や栄養の供給が不足し、皮膚炎や色素沈着などの症状が出ると考えられています。
長い時間立っていた日やよく歩いた日の夜に膝下がむくみ、翌朝には軽くなるという症状がまず現れます。むくみを繰り返していると、その部位の皮膚表面に光沢を帯びた湿疹(しっしん)ができ、内出血のために褐色の色素沈着が現れます。さらに変化が進むと、表面にかさぶたがついた楕円(だえん)形のかゆみのある紅斑(こうはん)がいくつも現れ、次第に大きくなってきます。
また、皮膚の細胞へ十分な血液循環が保たれなくなるため、皮膚が委縮したり、皮膚表面に軽いダメージを受けただけで容易に皮膚潰瘍(かいよう)を生じます。これらの皮膚炎の症状は、細菌感染が加わったり,外用薬や消毒薬が原因で接触皮膚炎を起こすと悪化することもあります。
膝下3分の1の部位に静脈瘤ができて治りにくい皮膚炎があれば、皮膚科、ないし皮膚泌尿器科を受診する必要があります。足首から先のむくみなどもがみられる場合には心臓病や腎臓(じんぞう)病の可能性もあるため、ドプラー血流計や超音波診断装置のある皮膚科、皮膚泌尿器科、あるいは血管外科を受診し、血流不全についてさらに詳しく調べる検査を受ける必要があります。
うっ滞性皮膚炎の検査と診断と治療
皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による診断は、うっ滞性皮膚炎によって出る臨床症状によって行います。皮膚炎が急に悪化する場合には、外用薬や消毒薬による接触皮膚炎の可能性があるので、パッチテストを行います。
治療の基本は、うっ滞性皮膚炎の皮膚が直接刺激や外用薬の影響を比較的受けやすいため、安静を保ち静脈の血行障害を改善させることです。長時間の立ち仕事や歩行は避け、休憩時間や就寝時は下肢を高く挙げて休むようにします。弾性ストッキングや弾性包帯を用いるのも効果的で、弾性ストッキングなどは静脈を圧迫することにより、静脈が伸びたり傷付いたりするのを防ぎます。
皮膚炎に対してはステロイド外用薬を塗ります。抗アレルギー薬なども、かゆみに応じて使用します。
症状が強く大きな静脈瘤があるもの、うっ血が著しくて下肢を高く挙げておいても改善しないもの、慢性の静脈血行不全があるもの、血栓性静脈炎を繰り返すものなどに対しては、表在静脈の皮下抜去(ストリッピング)、流入静脈の高位結紮(けっさつ)、局所の静脈瘤の切除、硬化薬注入、レーザー療法などによる治療などが行われます。
しかしながら、手術や硬化薬注入によって、静脈瘤を切除したりすべて排除しても、この疾患は治りません。治療は主に症状を軽減して外観を改善し、合併症を防ぐために行います。
タグ:用語(う) うっ滞性皮膚炎 スピッツ母斑 ストロベリーマーク 若はげ ひょうそ 皮膚カンジダ症 ベーチェット病 皮膚掻痒症 水虫(足白癬) 白癬(はくせん) 脱毛、薄毛 カポジ肉腫 乾癬(かんせん) 疥癬(かいせん) 結節性紅斑 白なまず(白斑) 黒なまず(癜風) 脂漏性皮膚炎 ふけ症 たこ、魚の目 ウンナ母斑 正中部母斑 ポートワイン母斑 青色母斑 扁平母斑 脂腺母斑 茶あざ 太田母斑 伊藤母斑 遅発性扁平母斑 赤あざ 桜根母斑 脱色素性母斑 紡錐細胞性母斑 黒あざ(血管腫) しみ(肝斑) そばかす(雀卵斑) にきび(尋常性痤瘡) 爪甲白斑症 皮膚結核 爪甲周囲炎(爪囲炎) 爪甲剥離症 爪白癬(爪の水虫) 日光過敏症(光線過敏症) 接触皮膚炎(かぶれ) 主婦湿疹(手湿疹) じんましん(蕁麻疹) 痒疹 多形滲出性紅斑 紅皮症(剥脱性皮膚炎) 紫斑病 せつ、よう いんきんたむし(股部白癬) 単純性疱疹(単純性ヘルペス) しらくも(頭部白癬) 口腔カンジダ症(鵞口瘡) 匙状づめ 時計ガラスつめ(ヒポクラテスつめ) 酒さ様皮膚炎(口囲皮膚炎) 掌蹠膿疱症 蜂窩織炎、丹毒 爪甲横溝 爪甲軟化症 白皮症 白板症
■用語 ウンナ母斑 [用語(う)]
新生児に多くみられ、後頭部から頸部にかけて現れる赤いあざ
ウンナ母斑(ぼはん)とは、新生児の後頭部から頸(けい)部(うなじ)にかけて現れる赤いあざ。正中部母斑の一種です。
正中部母斑には、このウンナ母斑とサーモンパッチが属し、サーモンパッチのほうは新生児の額の中央、上まぶた、上唇、鼻背など顔の中央に近い部分に現れる、紅鮭(べにざけ)の赤身に似た淡紅色ないし暗赤色のあざです。
ウンナ母斑の原因は、皮膚の真皮表層で毛細血管が拡張したり、増殖するためだとされています。毛細血管の内部の血液によって、皮膚の表面が赤く見えます。母斑には、盛り上がりなどの凹凸はなく、平らです。サーモンパッチに比して、赤みがいくぶん強く、濃淡のむらは少なく、境界線は不明瞭です。新生児の20〜40パーセントに現れると見なされています。
生まれ付き現れるものが多いため、親が経過を見守ることが、大切になってきます。欧米では、コウノトリが新生児を運んでくるとの言い伝えから、ウンナ母斑を「コウノトリのくちばしの跡」とか、 新生児の誕生を祝って天使が付けたキスマークだなどといいます。
消えるまでには時間が必要ですが、悪性になることはない上、3歳くらいまでには半数が自然に消えるとされています。成人まで残ってしまう確率は、10パーセント程度だとされています。
病変の部分によっては髪の毛で隠れることもあって、治療をしないという人も多くいます。しかし、ウンナ母斑は、病変の部分や合併する症状でスタージ・ウェーバー症候群、クリッペル・ウェーバー症候群という疾患の可能性を持っていることがあるので、治療をしない場合でも一度、皮膚科の医師を受診しておくと安心できます。
ウンナ母斑が残っている成人で、どうしても気になる人も、皮膚科の医師の治療を受けることが勧められます。
ウンナ母斑の検査と診断と治療
皮膚科の医師は通常、見た目と経過から診断します。スタージ・ウェーバー症候群やクリッペル・ウェーバー症候群が疑われる場合には、画像検査などが必要になります。
ウンナ母斑は、髪の毛に隠れて目立たない部位に生じるので、ほとんど治療をせずに経過をみます。単に色調だけを自然経過よりも早期に淡くしたい場合には、パルス色素レーザー治療を行います。ただし、毛根を焼いてしまうので、その部分の髪の毛が薄くなってしまうこともあります。0歳児でレーザー治療を始めるかは、家族の希望に従って行われます。
成人まで残っていても、悪性になることはないため、大半は治療をしません。美容的に気になる場合には、パルス色素レーザー治療を行います。パルス色素レーザー治療は、傷を残さずに赤みを消退させることができます。術後に残った傷が目立ちますので、手術を行うことはありません。
ウンナ母斑(ぼはん)とは、新生児の後頭部から頸(けい)部(うなじ)にかけて現れる赤いあざ。正中部母斑の一種です。
正中部母斑には、このウンナ母斑とサーモンパッチが属し、サーモンパッチのほうは新生児の額の中央、上まぶた、上唇、鼻背など顔の中央に近い部分に現れる、紅鮭(べにざけ)の赤身に似た淡紅色ないし暗赤色のあざです。
ウンナ母斑の原因は、皮膚の真皮表層で毛細血管が拡張したり、増殖するためだとされています。毛細血管の内部の血液によって、皮膚の表面が赤く見えます。母斑には、盛り上がりなどの凹凸はなく、平らです。サーモンパッチに比して、赤みがいくぶん強く、濃淡のむらは少なく、境界線は不明瞭です。新生児の20〜40パーセントに現れると見なされています。
生まれ付き現れるものが多いため、親が経過を見守ることが、大切になってきます。欧米では、コウノトリが新生児を運んでくるとの言い伝えから、ウンナ母斑を「コウノトリのくちばしの跡」とか、 新生児の誕生を祝って天使が付けたキスマークだなどといいます。
消えるまでには時間が必要ですが、悪性になることはない上、3歳くらいまでには半数が自然に消えるとされています。成人まで残ってしまう確率は、10パーセント程度だとされています。
病変の部分によっては髪の毛で隠れることもあって、治療をしないという人も多くいます。しかし、ウンナ母斑は、病変の部分や合併する症状でスタージ・ウェーバー症候群、クリッペル・ウェーバー症候群という疾患の可能性を持っていることがあるので、治療をしない場合でも一度、皮膚科の医師を受診しておくと安心できます。
ウンナ母斑が残っている成人で、どうしても気になる人も、皮膚科の医師の治療を受けることが勧められます。
ウンナ母斑の検査と診断と治療
皮膚科の医師は通常、見た目と経過から診断します。スタージ・ウェーバー症候群やクリッペル・ウェーバー症候群が疑われる場合には、画像検査などが必要になります。
ウンナ母斑は、髪の毛に隠れて目立たない部位に生じるので、ほとんど治療をせずに経過をみます。単に色調だけを自然経過よりも早期に淡くしたい場合には、パルス色素レーザー治療を行います。ただし、毛根を焼いてしまうので、その部分の髪の毛が薄くなってしまうこともあります。0歳児でレーザー治療を始めるかは、家族の希望に従って行われます。
成人まで残っていても、悪性になることはないため、大半は治療をしません。美容的に気になる場合には、パルス色素レーザー治療を行います。パルス色素レーザー治療は、傷を残さずに赤みを消退させることができます。術後に残った傷が目立ちますので、手術を行うことはありません。
タグ:悪性黒色腫 脱色素性母斑 色素性母斑 赤あざ 用語(う) 青あざ 黒あざ(血管腫) 茶あざ 母斑細胞性母斑 ストロベリーマーク 単純性血管腫 桜根母斑 ベッカー母斑 ポートワイン母斑 扁平母斑 青色母斑 血管腫 異所性蒙古斑 紡錐細胞性母斑 母斑 蒙古斑 サーモンパッチ 伊藤母斑 正中部母斑 スピッツ母斑 太田母斑 イチゴ状血管腫 赤あざ(血管腫) 結節性紅斑 紅皮症(剥脱性皮膚炎) ジベルばら色粃糠疹 多形滲出性紅斑 痒疹 マラセチア毛包炎 紅色陰癬 赤ぶどう酒様血管腫 脂腺母斑 色素失調症 表皮母斑 ウンナ母斑 遅発性扁平母斑 三角筋肩峰部褐青色母斑 脂漏性皮膚炎 顔面播種状粟粒性狼瘡(酒さ様皮膚炎) アレルギー性紫斑病 単純性紫斑 特発性血小板減少性紫斑病 慢性色素性紫斑 特発性色素性紫斑 マヨッキー紫斑 血管拡張性環状紫斑 アナフィラクトイド紫斑病 毛細血管腫 化膿性肉芽腫 表皮嚢腫 アテローム 粉瘤
■用語 運動器機能低下症候群 [用語(う)]
骨や関節に障害が起こり、寝たきりなど介護が必要になる危険性の高い状態
運動器機能低下症候群とは、運動器(locomotive organs)の障害のために要介護となる危険性の高い状態を指します。ロコモティブシンドローム、ロコモシンドローム、略してロコモと呼ばれることもあります。
運動器は身体機能を担う筋・骨格・神経系の総称であり、筋肉、腱(けん)、靭帯(じんたい)、骨、関節、神経、脈管系など、身体運動にかかわる組織・器官の機能的連合です。
内臓脂肪が蓄積し、糖尿病や高血圧、高脂血症によって動脈硬化から心臓や脳血管の病気につながるメタボリック症候群(メタボリックシンドローム)と対になる症状といわれ、骨や関節に障害が起こり、寝たきりなど介護が必要になる危険性の高い状態です。
加齢だけでなく、運動不足になると踏ん張りが利かない上に骨がもろくなり、転倒による骨折が増えることが多くなります。座って靴下を履く人は体のバランスをとれず、踏ん張りが利かなくなりつつあることを示しています。
運動器機能低下症候群の対象となる主な疾患としては、骨粗鬆(こつそしょう)症、変形性関節症、関節リウマチ、脊椎(せきつい)圧迫骨折、大腿(だいたい)骨頸(けい)部骨折、腰部脊柱管狭窄(せきちゅうかんきょうさく)などがあります。
運動器機能低下症候群とは、運動器(locomotive organs)の障害のために要介護となる危険性の高い状態を指します。ロコモティブシンドローム、ロコモシンドローム、略してロコモと呼ばれることもあります。
運動器は身体機能を担う筋・骨格・神経系の総称であり、筋肉、腱(けん)、靭帯(じんたい)、骨、関節、神経、脈管系など、身体運動にかかわる組織・器官の機能的連合です。
内臓脂肪が蓄積し、糖尿病や高血圧、高脂血症によって動脈硬化から心臓や脳血管の病気につながるメタボリック症候群(メタボリックシンドローム)と対になる症状といわれ、骨や関節に障害が起こり、寝たきりなど介護が必要になる危険性の高い状態です。
加齢だけでなく、運動不足になると踏ん張りが利かない上に骨がもろくなり、転倒による骨折が増えることが多くなります。座って靴下を履く人は体のバランスをとれず、踏ん張りが利かなくなりつつあることを示しています。
運動器機能低下症候群の対象となる主な疾患としては、骨粗鬆(こつそしょう)症、変形性関節症、関節リウマチ、脊椎(せきつい)圧迫骨折、大腿(だいたい)骨頸(けい)部骨折、腰部脊柱管狭窄(せきちゅうかんきょうさく)などがあります。
タグ:用語(う)
■用語 ウエスト症候群 [用語(う)]
生後4カ月から1歳ころの小児に発症する予後不良のてんかん
ウエスト症候群とは、生後4カ月から1歳ころの小児、特に男児に多く発症する予後不良のてんかん。1841年にウエストという医師が彼自身の息子の病状と経過を報告したのが最初で、点頭てんかんとも呼ばれます。
てんかんは、脳の神経細胞の伝達システムに一時的な機能異常が発生して、反復性の発作が起こる疾患です。発作時には意識障害がみられるのが普通ですが、動作の異常、けいれんなどだけの場合もあります。こうした異常な症状が長期間に渡って何度も繰り返し現れるのが、てんかんの特徴です。
てんかんの一つのウエスト症候群は、新生児期から乳児早期に発症する大田原症候群、2歳~8歳に発症するレノックスガストー症候群とともに、年齢依存症てんかん性脳症に分類されます。それぞれのてんかんの好発年齢が乳幼児期にみられること、大田原症候群からウエスト症候群へ、さらにウエスト症候群からレノックスガストー症候群へと年齢とともに変容することが多いため、脳の発達過程とこれらのてんかんの発症が密接に関連しているものと考えられています。
ウエスト症候群は、発症前の発達が正常で、いろいろな検査でも原因が見いだせない特発性と、明らかな原因となる基礎疾患があって脳に障害が存在し、その随伴症状として発作がみられる症候性の2つに大別されます。特発性が10から20パーセント、症候性が80から90パーセントを占めます。
症候性の基礎疾患としては、胎内感染症、先天性脳奇形、先天性代謝異常症、新生児頭蓋内(ずがいない)出血、新生児低酸素性虚血性脳症、小頭症、髄膜脳炎、結節性硬化症、フェニルケトン尿症、頭部外傷などがあります。原因となる基礎疾患のうち、単性疾患としては結節性硬化症が最も多く、皮膚の白斑(はくはん)が診断の手掛かりとなります。
発作の型としては、瞬間的な全身性ミオクロニー発作が特徴です。すなわち、驚いたように両腕を上げると同時に頭部を前屈(点頭)する短い強直発作が数秒間の間隔で、数回から数十回と反復して起こります。このような反復発作をシリーズ形成といい、寝て起きた時あるいは眠くなった時など1日に数シリーズ繰り返してみられます。
発作が起こるとともに、今まで笑っていた乳児が笑わなくなったり、お座りしていた乳児がお座りしなくなるような精神運動発達の荒廃がみられてきます。
症状がある場合は、小児科、あるいは神経内科を受診します。早期診断と早期治療開始が重要で、とりわけウエスト症候群の発症まで正常の発達がみられていた特発性では、治療によって良好な予後が期待されます。
医師による診断では、脳波検査が決め手となり、ヒプスアリスミア(脳波の不整波)と呼ばれる特徴的な所見がみられます。生後1カ年未満で、10分間程度の間に発作が10~30回まとまってみられるシリーズ形成、ヒプスアリスミア、精神運動発達遅滞がみられれば、ウエスト症候群と確定されます。原因となる症候性の基礎疾患の検討も重要で、血液検査、頭部CT、頭部MRI検査などを行います。
医師による治療では、バルプロ酸、ゾニサミド、ニトラゼパム、クロナゼパムなどの抗てんかん薬と、ビタミンB6の大量投与が試みられますが、有効でない場合も少なくありません。
その場合は、副腎(ふくじん)皮質刺激ホルモン(ACTH)療法が行われます。約70パーセントにコントロールが期待されますが、副作用として感染症、高血圧、電解質異常、一過性の脳委縮などがみられることがあるため注意が必要で、最近はなるべく少量を短期間に使用する傾向があります。症候性では、ACTH療法で一時的にコントロールできても再発することも多く、年齢が進むとレノックスガストー症候群へ変容することも多くみられます。
予後は不良で、90パーセント以上に何らかの精神運動発達障害みられます。また、50パーセント以上に他の発作型の合併がみられます。ウエスト症候群の発作そのものは、2~3歳以後になると自然消失しますが、多くはレノックスガストー症候群や焦点発作などの他の発作型へ移行します。脳波のヒプスアリスミアも発達の一時期にみられる異常で、年齢とともに、焦点性発作波や不規則棘徐波(きょくじょは)結合に移行します。
ウエスト症候群で予後良好なものとしては、発症以前の発達が正常で、治療が発症1カ月以内に開始されて発作が抑制され、脳波で局在のみられないものが挙げられます。発作の消失は、必ずしも知能の改善を意味しません。
ウエスト症候群とは、生後4カ月から1歳ころの小児、特に男児に多く発症する予後不良のてんかん。1841年にウエストという医師が彼自身の息子の病状と経過を報告したのが最初で、点頭てんかんとも呼ばれます。
てんかんは、脳の神経細胞の伝達システムに一時的な機能異常が発生して、反復性の発作が起こる疾患です。発作時には意識障害がみられるのが普通ですが、動作の異常、けいれんなどだけの場合もあります。こうした異常な症状が長期間に渡って何度も繰り返し現れるのが、てんかんの特徴です。
てんかんの一つのウエスト症候群は、新生児期から乳児早期に発症する大田原症候群、2歳~8歳に発症するレノックスガストー症候群とともに、年齢依存症てんかん性脳症に分類されます。それぞれのてんかんの好発年齢が乳幼児期にみられること、大田原症候群からウエスト症候群へ、さらにウエスト症候群からレノックスガストー症候群へと年齢とともに変容することが多いため、脳の発達過程とこれらのてんかんの発症が密接に関連しているものと考えられています。
ウエスト症候群は、発症前の発達が正常で、いろいろな検査でも原因が見いだせない特発性と、明らかな原因となる基礎疾患があって脳に障害が存在し、その随伴症状として発作がみられる症候性の2つに大別されます。特発性が10から20パーセント、症候性が80から90パーセントを占めます。
症候性の基礎疾患としては、胎内感染症、先天性脳奇形、先天性代謝異常症、新生児頭蓋内(ずがいない)出血、新生児低酸素性虚血性脳症、小頭症、髄膜脳炎、結節性硬化症、フェニルケトン尿症、頭部外傷などがあります。原因となる基礎疾患のうち、単性疾患としては結節性硬化症が最も多く、皮膚の白斑(はくはん)が診断の手掛かりとなります。
発作の型としては、瞬間的な全身性ミオクロニー発作が特徴です。すなわち、驚いたように両腕を上げると同時に頭部を前屈(点頭)する短い強直発作が数秒間の間隔で、数回から数十回と反復して起こります。このような反復発作をシリーズ形成といい、寝て起きた時あるいは眠くなった時など1日に数シリーズ繰り返してみられます。
発作が起こるとともに、今まで笑っていた乳児が笑わなくなったり、お座りしていた乳児がお座りしなくなるような精神運動発達の荒廃がみられてきます。
症状がある場合は、小児科、あるいは神経内科を受診します。早期診断と早期治療開始が重要で、とりわけウエスト症候群の発症まで正常の発達がみられていた特発性では、治療によって良好な予後が期待されます。
医師による診断では、脳波検査が決め手となり、ヒプスアリスミア(脳波の不整波)と呼ばれる特徴的な所見がみられます。生後1カ年未満で、10分間程度の間に発作が10~30回まとまってみられるシリーズ形成、ヒプスアリスミア、精神運動発達遅滞がみられれば、ウエスト症候群と確定されます。原因となる症候性の基礎疾患の検討も重要で、血液検査、頭部CT、頭部MRI検査などを行います。
医師による治療では、バルプロ酸、ゾニサミド、ニトラゼパム、クロナゼパムなどの抗てんかん薬と、ビタミンB6の大量投与が試みられますが、有効でない場合も少なくありません。
その場合は、副腎(ふくじん)皮質刺激ホルモン(ACTH)療法が行われます。約70パーセントにコントロールが期待されますが、副作用として感染症、高血圧、電解質異常、一過性の脳委縮などがみられることがあるため注意が必要で、最近はなるべく少量を短期間に使用する傾向があります。症候性では、ACTH療法で一時的にコントロールできても再発することも多く、年齢が進むとレノックスガストー症候群へ変容することも多くみられます。
予後は不良で、90パーセント以上に何らかの精神運動発達障害みられます。また、50パーセント以上に他の発作型の合併がみられます。ウエスト症候群の発作そのものは、2~3歳以後になると自然消失しますが、多くはレノックスガストー症候群や焦点発作などの他の発作型へ移行します。脳波のヒプスアリスミアも発達の一時期にみられる異常で、年齢とともに、焦点性発作波や不規則棘徐波(きょくじょは)結合に移行します。
ウエスト症候群で予後良好なものとしては、発症以前の発達が正常で、治療が発症1カ月以内に開始されて発作が抑制され、脳波で局在のみられないものが挙げられます。発作の消失は、必ずしも知能の改善を意味しません。
タグ:用語(う) てんかん ウエスト症候群 脳梗塞 頭痛 髄膜炎 脳腫瘍 脳卒中 片頭痛 日本脳炎 くも膜下出血 アルツハイマー型認知症 健忘症 多発性硬化症 聴神経腫瘍 未破裂脳動脈瘤 血栓症 脊髄小脳変性症 パーキンソン病 レビー小体型認知症 脳血管性認知症 脳炎 認知症(痴呆症) 水頭症 若年性認知症 群発頭痛 緊張性頭痛 脳膿瘍 舞踏病 ハンチントン病 小舞踏病(ジデナム舞踏病) 脊髄炎 脊髄空洞症 脊髄腫瘍 点頭てんかん 脳ヘルニア 薬物乱用頭痛 クルーゾン症候群 アペール症候群 多発性脳梗塞 もやもや病 若年性健忘症 一過性全健忘症 ウィリス動脈輪閉塞症 レノックスガストー症候群 早期乳児てんかん性脳症 早期ミオクロニー脳症 大田原症候群 年齢依存性てんかん性脳症 下垂体腺腫 ラクナ梗塞 第8脳神経腫 脳脊髄膜炎 前庭神経鞘腫 若年性脳梗塞 高血圧性脳症 頸動脈狭窄 一過性黒内障 内頸動脈狭窄症 脳動脈瘤破裂 脳動静脈奇形 隠れ脳梗塞 椎骨動脈解離 脳底部異常血管網症 頸部内頸動脈狭窄症 コルサコフ症候群 亜急性硬化性全脳炎 ウェルニッケ・コルサコフ症候群 グリシン脳症 穿通枝梗塞 無症候性脳梗塞 微小脳梗塞