SSブログ

■子供の心臓の幹細胞で再生医療 岡山大が治験を始める [健康ダイジェスト]

 重い心臓病の子供を対象に、心筋になる能力を持つ「幹細胞」を心臓から取り出し、培養後に本人に戻して機能を回復させる再生医療の治験が岡山大学病院で24日始まり、兵庫県西宮市の生後10カ月の女児に手術が実施されました。
 2年後の健康保険の適用を目指しており、同病院は、心臓病の子供を対象にした再生医療が実用化されれば世界初としています。
 治験は安全性や効果を確かめるのが目的で、今回の対象は、全身に血液を送り出す心臓の機能が弱い「機能的単心室症」。この病気の患者には、これまで血液の流れを改善する手術が行われていますが、完全に治すのは難しく、また日本では子供が心臓移植を受けられる機会が少ないため、新たな治療法として期待されています。
 手術を実施したのは、王英正教授などの医療チーム。24日、生後10カ月の女児の心臓から、わずかな組織を取り出す手術が行われ、今後、1カ月ほどをかけて、中に含まれる幹細胞を培養するということです。岡山大学病院によりますと、手術はおよそ3時間半で終わり、女児の容体は安定しているということです。
 手術を受けたのは、兵庫県西宮市に住む大庭あかりちゃん。機能的単心室症の一種で、全身に血液を送り出す左心室が非常に小さい、「左心低形成症候群」と診断されました。生まれて間もなく、肺に血液を送る右心室の力を借りて全身に血液を送り出すようにする手術を受けましたが、このまま成長すれば十分な機能を果たせなくなるおそれがあったということです。
 医療チームはこれまでに、0歳から5歳までの延べ41人の子供を対象に臨床研究を行い、幹細胞を体に戻した後1年が過ぎると、血液を送り出す心臓の機能が平均で7パーセント改善し、目立った副作用はみられなかったということです。
 今後、治験は岡山大学病院のほか、神奈川県と静岡県の病院の3カ所で合わせて39人の6歳以下の患者を対象に行われ、安全性や効果が確認されれば、通常1年ほどかかる審査期間が半年程度に短縮される厚生労働省の「先駆け審査指定制度」に基づいて審査が行われる見込みです。
 手術を前に母親の大庭まどかさんは、「心臓の機能が1パーセントでも改善するならと、わらにもすがる思いで治験に参加しました。今の医療では助からない病気もあるので、同じような難病の子供たちが助かる道ができればいいと思います」と話していました。
 執刀した王教授は、「健康保険が適用されれば、より多くの施設で、より多くの患者に対して、この治療を行うことができる。世界で初めてのこの技術を確立し、難病で苦しむ子供に新たな治療法を提供したい」と話しています。

 2016年8月24日(水)

nice!(9)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:健康

nice! 9

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0