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■南アフリカで新たな変異型ウイルス確認 免疫回避、高い感染力の可能性 [健康ダイジェスト]

 南アフリカの国立伝染病研究所などは25日、同国で新型コロナウイルスの新たな変異ウイルスを確認したと発表しました。ウイルス表面の突起状のタンパク質「スパイク」に多数の変異が生じており、高い感染力やワクチンが効きにくい免疫回避の恐れがあります。まだウイルスの性質はほとんどわかっておらず、詳細な分析はこれからです。
 新たな変異型は専門的には「B.1.1.529」と呼ばれ、11月に南アフリカの隣国ボツワナで初めて見付かりました。香港でも南アフリカからの渡航者からウイルスが検出されました。今後、世界保健機関(WHO)が「懸念される変異型」か「注意すべき変異型」に指定すれば、「ニュー型」と命名される見通し。
 スパイクはウイルスが人の細胞に感染する際に働くタンパク質であり、ワクチン接種でできた抗体が攻撃する標的でもあります。このため、スパイクの変異によって構造が変化すれば、感染力や免疫の効き目に影響を与える可能性があると考えられています。
 イギリスのケンブリッジ大学のラビ・グプタ教授は「B.1.1.529の変異は(感染防御で働く)中和抗体の結合に影響を与えるものが多く、ウイルスの細胞への侵入能力を高めたり、細胞同士を融合させて細胞間の拡散を可能にしたりするものもある」と指摘しています。
 新たな変異型では、スパイクに30カ所以上の変異が起こっています。多くはイギリスで見付かったアルファ型、インドで見付かったデルタ型など他の変異ウイルスにも存在する変異ながら、一度に多くの変異を獲得したことに専門家は注目しています。
 イギリスのユニバーシティー・カレッジ・ロンドン遺伝学研究所のフランソワ・バルー所長は、「一度に多くの変異が蓄積されたことから、恐らく免疫不全者の慢性感染の中で進化した」との見方を示しており、グプタ教授も同じ考えです。
 免疫が働かない免疫不全の人でウイルスが長期にわたって慢性的に感染し、増殖を繰り返す中で変異を蓄積した事例はこれまでにも報告があります。アルファ型も、慢性的な感染の中で出現した可能性が指摘されます。南アフリカはエイズウイルス(HIV)の感染者が多い地域であり、エイズ患者で慢性的な感染が起こっていたことも考えられます。
 南アフリカでは首都プレトリアや最大都市ヨハネスブルクなどで新たな変異型の感染者が増えていますが、ウイルスの感染力が高くなっているのかはまだ不明。それまで南アフリカは感染者が少ない小康状態にあったため、新たな変異型の感染力がデルタ型より強いとは断定できないからです。
 ウイルスの変異やその組み合わせから感染力や病原性などの性質を推定することは難しく、バルー所長は「現段階では、どの程度の感染力があるかを予測することは困難だ。当分の間、注意深く監視し分析する必要があるが、新たな変異型の割合が近い将来に上がり始めない限り、過度に心配する理由はない」と話しています。
 イギリス政府は25日、イギリス健康安全保障庁(UKHSA)が新たな変異型に懸念を表明したことを受け、アフリカの6カ国を渡航制限の「レッドリスト」に追加すると発表しました。
 サジド・ジャビド保健相は、南アフリカ、ナミビア、レソト、ボツワナ、エスワティニ、ジンバブエからイギリスへ向かう航空便の運航を26日正午から中止すると発表。この6カ国はレッドリストに追加され、対象国から帰国するイギリス居住者やイギリス人、アイルランド人は、自費でホテルに10日間、隔離滞在することが義務付けられます。
 ジャビド保健相は、南アフリカで確認された新たな変異型についてはUKHSAが調査中だとしながらも、デルタ型に比べて「感染力が強い可能性がある」と述べ、「現在利用できるワクチンの効果が低い可能性がある」との見方を示しました。イギリスではこれまでのところ、同変異型は検出されていないとしています。

 2021年11月26日(金)




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