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■用語 嚥下障害 [用語(あ行)]

[レストラン]食べ物を口の中に取り込んで飲み込むまでの過程が正常に機能しない状態
 嚥下(えんげ)障害とは、食べ物や水分を口の中に取り込んでから飲み込むまでの過程が正常に機能しない状態。嚥下困難、摂食嚥下障害とも呼ばれます。
 物を食べることは、食べ物を認識し、口に入れ、噛(か)んで、飲み込むまでの一連の動作からなります。このうちの飲み込むという動作が、嚥下に当たります。
 嚥下は、主に舌の運動により食べ物を口腔(こうくう)から咽頭(いんとう)に送る口腔期、嚥下反射により食べ物を咽頭から食道に送る咽頭期、食道の蠕動(ぜんどう)運動により胃まで運ぶ食道期に分けられます。嚥下には多くの器官がかかわっており、これらが障害を受けるさまざまな疾患で、嚥下障害が起こります。
 嚥下障害が起こると、食物摂取障害による栄養低下と、食べ物が気道へ流入する誤嚥による嚥下性肺炎(誤嚥性肺炎)が問題になります。
 嚥下障害を引き起こす疾患にはさまざまなものがありますが、脳出血や脳梗塞(こうそく)、認知症、パーキンソン病、筋委縮性側索硬化症などが原因となることがあります。
 嚥下する際には嚥下にかかわる筋力が必要となるため、筋ジストロフィーや重症筋無力症などで筋力が低下することが原因となります。
 加齢により咀嚼(そしゃく)や嚥下に必要な筋力が衰えるのも、原因の一つです。加齢に伴い唾液(だえき)が少なくなったり、歯の本数が少なくなったりすることから食べ物を噛みにくくなることも、原因として挙げられます。筋力が低下すると飲み込む時に気道を閉じることができなくなり、食べ物が気管に入りやすくなります。高齢者の肺炎のかなりの部分は、加齢による嚥下機能の低下による誤嚥によって引き起こされるともいわれています。嚥下性肺炎を発症すると、発熱、咳(せき)や痰(たん)の増加、呼吸回数の増加、息苦しさなどを認めます。
 そのほか、口腔がんや咽頭がんなどの悪性腫瘍(しゅよう)や、口唇口蓋(こうがい)裂、精神的要因、薬剤、環境要因、姿勢なども嚥下障害の原因となります。
 嚥下障害を起こすと、食べ物が飲み込みにくい、飲み込めない、つかえるとの自覚や、食事の時のむせ込みなどの症状が現れます。明らかな症状がないこともありますが、食事の状態で判断することもできます。固い物、ぱさついた物、まとまりのない物、味噌(みそ)汁など固形物と水物の混合した物は飲み込みにくい食べ物であり、食事に時間がかかるようになります。
 誤嚥の有無は、食べ物を飲み込んだ後の咳や、食後によく痰が出るなどからも判断できます。声質の変化もよくみられる症状で、食べ物を飲み込んだ後に声がかすれたり、口腔内に食べ物が残留することから痰が絡みやすくなり、がらがらした声になったりします。 
[レストラン]嚥下障害の検査と診断と治療
 耳鼻咽喉(いんこう)科、飲みこみ外来、嚥下外来などの医師による診断では、精神機能や身体機能も含めた全身状態をチェックします。次に口腔・咽喉頭の所見から、おおよその嚥下機能を判断します。舌の運動性は口腔期の食べ物の移動に、咽頭の知覚は咽頭期を引き起こすのに重要です。
 口腔から咽頭にかけては比較的簡単に観察できますが、下咽頭や喉頭の機能を確認するには、喉頭ファイバースコープなどの内視鏡検査が必要になります。実際に食べ物などを嚥下させて誤嚥などを検出する検査には、嚥下内視鏡検査があります。また、実際に食べ物がどのように飲み込まれるかを調べる方法としては、造影剤を用いて嚥下状態をX線透視下に観察する嚥下造影検査があり、現在では最も信頼性の高い方法と考えられています。
 耳鼻咽喉科、飲みこみ外来、嚥下外来などの医師による治療では、嚥下障害を引き起こす原因があればそれを取り除くことが重要です。また、嚥下障害の程度により、栄養摂取と誤嚥防止の観点から対応や治療法を決定します。
 嚥下障害が軽度な場合には、誤嚥が起こりにくいように、食べ物の硬さや形状を工夫します。水のようなものは誤嚥しやすいためトロミを付けることなどが、その代表例です。ある程度以上の嚥下障害があると、経口のみでは栄養摂取が不十分になるため、ほかの栄養補給法に頼らざるを得ません。栄養摂取については、高カロリー輸液を静脈内に投与する方法や、さまざまな経管栄養が発達してきており、生活スタイルに合わせてある程度の選択が可能です。
 一方、誤嚥の防止は非常に難しい問題になってきます。誤嚥は肺炎を引き起こし、生命の危険を招く可能性があります。厄介なことに、肺炎の発症は誤嚥の程度だけで決定されるものではありません。誤嚥物の性質、気道からの吐き出す力、肺の状態や全身状態などが複雑にかかわり、場合によっては少量の誤嚥でも肺炎を起こします。
 必要に応じ、嚥下リハビリテーション(嚥下訓練)や口腔ケアで、嚥下機能を保持したり、改善させたりすることを図ります。改善しないケースでは、肺炎すなわち誤嚥を防止するために、気管切開を行った上でカフ付きの気管カニューレという器具を装着することが必要な場合もあります。嚥下障害の改善や誤嚥防止を目的として、手術治療が行われることもあります。誤嚥をできるだけ少なくして経口摂取を可能にしようとする嚥下機能改善手術と、誤嚥をなくすことを主眼とした気道と食道を分離する誤嚥防止手術に大別されます。
 嚥下機能改善手術だけで嚥下機能が完全に回復するわけではないので、食事を取るためには術後の嚥下リハビリテーションが必須です。誤嚥防止手術では発声機能が失われるリスクがあるため、手術には医師による慎重な判断と、患者、家族の理解が必要となります。




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■餅詰まらせ病院に搬送、7割が元日に集中 東京消防庁が注意喚起 [健康ダイジェスト]

 過去5年間の正月三が日に、東京都内で餅(もち)をのどに詰まらせて病院に搬送された約100人のうち、7割が元日に集中していることが東京消防庁の調べでわかりました。東京消防庁は多くの人が元日に久しぶりに餅を食べることから詰まらせやすいとみて、注意を呼び掛けています。
 東京消防庁によりますと、2014年から今年までの5年間の正月三が日に、東京都内で餅をのどに詰まらせて窒息状態に陥り、救急車によって病院に搬送された人は合わせて97人で、このうち5人が死亡しました。
 搬送された人の9割は60歳以上が占めており、餅をかんだり飲み込んだりする力が弱いことが原因とみられるということです。
 また、過去5年間に搬送された97人を日付別に調べると、全体のおよそ7割に当たる合わせて66人が、いずれも元日に搬送されていたことがわかりました。
 東京消防庁は多くの人が元日に久しぶりに餅を食べることからのどに詰まらせやすいとみて、注意を呼び掛けています。
 一工夫でトラブルが生じるリスクは下げられます。あらかじめ一口大に切っておくことが第一。次に、水分があると餅の付着性が下がって飲み込みやすくなるため、よくかんで唾液(だえき)と十分に混ぜ、こまめに飲み込みようにし、食べる前には汁物などで口を潤します。その点で、磯辺焼きより、大根おろしであえるなど水分と一緒に食べたほうがいいといえます。
 食べる時は会話を控え、いすの奥に腰掛けて体を安定させます。特に高齢者や子供は、周囲の人が見守るのが望ましく、乳児は控えます。
 もし餅を詰まらせたら、周囲の人はどう対処したらいいのでしょう。自力で強いせきをしている時は、続けるように促すとともに、119番通報して救急車を呼ぶこと。せきができない、あるいは初めはせきをしていたのに、できなくなってきた場合には、背部叩打(こうだ)という応急処置を行います。
 救助者が患者の背後から、片手で胸または下あごを支えてうつむかせます。もう片方の手のひらの付け根で、肩甲骨の間を何度も強く迅速にたたいて餅を吐き出させます。この背部叩打に、腹部突き上げという応急処置を組み合わせることも有効。まず救助者が患者の背後から、両腕を腹部に回します。片方の手で握り拳を作り、親指側を患者のへその上、みぞおちより下に当てます。その握り拳をもう一方の手で握り、素早く手前上方に向かって圧迫するように突き上げます。
 救急車の到着まで、背部叩打と腹部突き上げの2つを繰り返すといいといいます。119番通報でも応急処置の指導をしてくれます。

 2018年12月31日(月)

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■障害者への虐待、過去最多2618件 施設職員の加害が増加 [健康ダイジェスト]

 厚生労働省は26日、2017年度に全国の自治体などが確認した障害者への虐待は前年度より98件多い2618件だったと発表しました。特に障害者福祉施設職員による虐待が増えており、厚労省は「背景には施設の利用者の増加があり、施設側が自ら通報するケースが増えていることが要因」とみています。
 1件で複数の人が虐待を受ける場合もあり、被害者数は346人増の3544人、死亡者数は4人減の1人でした。虐待件数と被害者数は、調査が始まった2012年度以降最多でした。
 虐待を受けた人の障害の種類別では、重複障害を含め、知的障害1825人、精神障害1101人、身体障害720人。虐待の種類については、暴力などの「身体的虐待」や「経済的虐待」、「心理的虐待」が多いということです。
 家族など養護者による虐待は19件増の1557件、被害者は16人増の1570人で、このうち1人が死亡しました。雇用主や職場の上司らによる虐待は16件増の597件、被害者は336人増の1308人。また、障害者福祉施設の職員らによる虐待は63件増の464件、被害者は6人減の666人でした。
 養護者による虐待は2012年度からほぼ横ばいが続いていますが、雇用主らは4・5倍、施設職員は5・8倍に増えています。
 施設での虐待の発生要因(複数回答)は、職員らの「教育・知識・介護技術などの問題」(59・7%)が最多。このほか「倫理観や理念の欠如」(53・5%)、「職員のストレスや感情コントロールの問題」(47・2%)などでした。
 厚労省は、「施設職員に対し、利用者への対応や感情のコントロールなどの研修を強化していきたい」としています。

 2018年12月30日(日)

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■初の錠剤は服用1回タイプ、インフルエンザ新薬に注目 子供には処方できないケースも [健康ダイジェスト]

 インフルエンザが本格的な流行期を迎えています。厚生労働省によると、23日までの1週間の患者数は全国で推計31万3000人。正月休み明けに会社や学校が再開すると、さらに感染者が増える恐れがあります。
 そんな中、今季は利便性の高い新薬「ゾフルーザ」が登場し、治療薬の選択肢が広がっています。
 インフルエンザ治療薬は主に4種類ありますが、今年3月に発売されたゾフルーザは初の錠剤で、服用はわずか1回。製造元の塩野義製薬(大阪市中央区)によると、4~9月の売り上げはインフルエンザ薬の65%を占め、注目の高さがうかがえます。
 従来の治療薬は細胞内で増殖したウイルスが細胞の外に広がるのを抑えますが、ゾフルーザは細胞内でウイルス自体の増殖を抑えるのが特徴で、ウイルスを減らすのが速く高熱や体の痛みで苦しむ日が少なくてすみ、周りの人への感染をより抑えられる可能性があるとされています。
 ユアクリニックお茶の水(東京都千代田区)の杉原桂(かつら)院長(小児科)は、「ゾフルーザの使用はもっと広がるだろう」と話しています。仕事のある人は、服用が1回ですむ薬を希望することが圧倒的に多いといいます。粉末を吸入するタイプや点滴薬が普及していますが、「ゾフルーザは錠剤なので服用しやすく、体内に取り込む確実性も高い」といいます。対象は体重10キロ以上ですが、錠剤を飲めない子供などは処方できないこともあります。
 ゾフルーザに、カプセルを複数回服用するインフルエンザ治療薬タミフルと同程度の治療効果があることは、成人を対象とした国際共同試験で示されています。ただ、発売から日が浅く、データがまだ少ないため、日本小児科学会は今シーズンの治療指針で推奨していません。
 薬が効きにくい耐性ウイルスを懸念する専門家の声もあります。国際共同試験では成人の9・7%、小児の23・3%で確認され、いずれもタミフルより高くなっています。耐性ウイルスに感染すると、発熱などの症状が消えるまでの時間も長くなります。
 国際共同試験に参加したけいゆう病院(横浜市)の菅谷憲夫感染制御センター長は、「重症の患者など、状態が悪い人に使った場合の影響が心配だ」と話しています。
 塩野義製薬は、「有効性と安全性のデータを蓄積し、適正使用を推進したい」としています。

 2018年12月30日(日)

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