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■用語 XXX症候群 [用語(A〜Z、数字)]

[リボン]女性だけにみられる性染色体異常で、言葉の障害や運動機能の遅れがみられる疾患
 XXX症候群とは、染色体異常のうちの性染色体異常の疾患で、女性にだけ起こる先天的な疾患群。トリプルX症候群、スーパー女性、超女性とも呼ばれます。
 染色体は、体を作るすべての細胞の内部にあり、2つに分かれる細胞分裂の一定の時期のみ、色素で染めると棒状の形で確認できます。染色体には22対の常染色体と2対の性染色体とがあります。父親から22本の常染色体と1本の性染色体、母親から同じく22本の常染色体と1本の性染色体を受け継いで、全部で46対の染色体を持つことになります。
 性染色体にはXとYという2つの種類があり、Xを2本持つ場合は女性に、XとYを1本ずつ持つ場合は男性になります。染色体は女性だと46XX、男性だと46XYということになります。
 XXX症候群の女性の場合は、性染色体がXXXと1本多く、女性約1000人に1人の割合で生まれるといわれます。
 正確な原因は不明ですが、減数分裂の際に2対の染色体が分裂し損なってXが1つ多い卵子もしくは精子を作り出す、もしくは減数分裂後の受精段階で、胎児の前身の胎芽の細胞分裂でXが1つ多くなることで起こるとされます。母親の高齢出産で、XXX症候群の新生児女児が生まれる頻度が高いともいわれています。
 このXXX症候群は、パトリシア・ジェイコブズらがイギリスのスコットランドで、染色体構成47XXXを持つ2人の女性を見付け、1961年に最初に報告しました。
 染色体構成47XXXを持つ新生児女児のほとんどは、XXX症候群の症状をいくつかしか持っていないか、全く持っていません。
 新生児女児のほとんどは、身体的には誕生時から正常に発育します。ただし、誕生時の平均体重値は、正常な染色体を持つ女児よりわずかに低くなっています。8歳までは、正常な染色体を持つ女児よりやや身長の伸びが速く、最終的に2、3cm高くなり、高身長で手足の長い細身の体形になる人が多いとされます。
 ほとんどは、性関連と性ホルモン条件に関して、正常な染色体を持つ女児と違いはありません。外陰部や卵巣、子宮、膣(ちつ)に異常はなく、一般的な胸部、体毛の成長、そして第二次性徴も普通に現れます。妊娠、出産も可能で、その子供の大部分は正常な染色体を持って生まれます。
 染色体構成47XXXを持つ女児のほとんどは、通常の知能、もしくは低くても通常の範囲の知能を持っています。しかし、その多くは、言葉の障害や学習障害を持ち、運動機能や感情の発達の遅れがみられます。数は少ないものの、軽い知的障害を持っていることもあります。
 なお、XXX症候群の症状の現れは人によって大きく異なり、筋緊張低下によって上まぶたにしわが寄ったり、小指が短く内側に曲がった斜指症がみられることがあります。中には、発作や、腎臓(じんぞう)を含む泌尿生殖器の奇形など、より深刻な状態がみられることもあります。
 普通、XXX症候群のほとんどは、治療の必要はありません。

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■用語 XO症候群 [用語(A〜Z、数字)]

[トイレ]低身長を特徴とし、女性だけに起こる先天的な疾患
 XO(エックスオー)症候群とは、染色体異常のうちの性染色体異常の代表的な疾患で、女性にだけ起こる先天的な疾患。一般的にはターナー症候群と呼ばれます。
 染色体は、体を作るすべての細胞の内部にあり、2つに分かれる細胞分裂の一定の時期のみ、色素で染めると棒状の形で確認できます。染色体には22対の常染色体と2対の性染色体とがあります。父親から22本の常染色体と1本の性染色体、母親から同じく22本の常染色体と1本の性染色体を受け継いで全部で46対の染色体を持つことになります。
 性染色体にはXとYという2つの種類があり、Xを2本持つ場合は女性に、XとYを1本ずつ持つ場合は男性になります。染色体は女性だと46XX、男性だと46XYということになります。
 XO症候群の女性の場合の典型的な例は、45Xであり、Xが1つしかないものです。また、X染色体が2本あるのに先が欠けていたり、時には小さなY染色体の一部を持っていたり、46XXと45Xとが混ざり合っているモザイクを持つなど要因はさまざまです。
 XO症候群の発生頻度は、1000~2000人に1人と推定されています。先天的な疾患の中では、かなり多いほうといえるでしょう。しかも、この染色体構造を持っていると圧倒的に流産の確率が上がりますので、受精卵の段階での発生数はかなりであろうと考えられます。
 XO症候群、すなわちターナー症候群という疾患名は1938年、これを初めてきちんとまとめたアメリカの内科医ヘンリー・ターナーの名前に由来します。それから約20年後の1959年、染色体の検査が開発されてX染色体の一部欠落が原因と判明して以後、XO症候群、すなわちターナー症候群は染色体検査できちんと診断でき、幅広く見付けられるようになりました。
 その最も大きな特徴は、背が低いことです。ほかにも、首の回りの皮膚がたるんでいるためにひだができる翼状頸(よくじょうけい)、ひじから先の腕が外向きになる外反肘(がいはんちゅう)、乳房が大きくならない、初潮が来ないといった二次性徴欠如などの特徴があります。
 X染色体が少ないために、女性ホルモンや卵巣を作る能力が劣り、大人になっても女性らしい体つきになりにくい傾向があります。
 ただ、症状にも個人差は大きく、例えば二次性徴に関して、中学生になっても性の発達がみられない女性が多い一方、ほぼ正常に二次性徴が現れるXO症候群の女性もいます。中学生くらいまでは、低身長以外、あまり気になる症状がない女性も多くいます。
 また、合併症として、後天的に治療を要する症状が出てくる場合もあります。中耳炎、難聴、骨粗鬆(こつそしょう)症、糖尿病などがその例で、思春期年齢以降に起こることがあります。
 しかし、この疾患は染色体異常が原因のため、今のところ疾患そのものを治す方法はありませんが、成長ホルモン治療で身長は改善し、二次性徴も女性ホルモン剤の使用で治療が可能です。
 年齢により、小児科、婦人科、あるいは内分泌内科での検査が勧められます。
[トイレ]XO症候群の検査と診断と治療
 早期発見が重要です。XO症候群、すなわちターナー症候群という体質を正しく理解する時間的余裕が、本人と家族に得られます。背が低いのを少しでも高くしてほしいという女性に対して、よりよい治療成績も得られます。
 XO症候群における低身長症は成長速度が遅いわけですので、発見が遅れれば遅れるほど標準的な身長との差は開いて、せっかく治療しても取り戻すことが難しくなってきます。
 また、低身長症の裏に重大な疾患が隠されていた場合、それを早い段階で見付けて、早く治療することが大事です。成長を促すホルモンを出す脳や甲状腺(せん)、あるいは栄養を体に活かす役割を担う心臓、腎(じん)臓、肝臓、消化器官そのものに異常がある場合は、一刻も早くその元凶を治していかなければなりません。
 XO症候群の日本人女性は成長ホルモン治療を受けなかった場合、最終身長が平均139センチなので、治療希望の人には早期発見、早期治療は極端な低身長を防ぎ、最終身長を平均身長に近付ける上で効果がみられています。
 小児科、婦人科、内分泌内科の診断で、特徴的な症候により疑い、染色体検査でXO症候群であることが確定すれば、そのすべての人に成長ホルモン治療が公費でできます。
 成長ホルモン治療の方法は、自己注射方法で、家庭で注射を行います。そのため、医師の適切な指示により注射をすることが必要です。年齢に応じ、夜寝る前に毎日、あるいは2日に1回注射をします。
 小さいうちは、親などが注射をし、自分でできるようになれば本人が行います。注射針はとても細く、痛みは少ないので心配ありません。
 成長ホルモン注射は基本的に、最終身長に達するまで続けることが必要です。具体的には、年間成長率が1センチになった時か、手のレントゲンで骨端線が閉じる時まで、すなわち15〜16歳ころまで続けることになります。
 しかし、思春期の早い遅い、性腺刺激ホルモン分泌不全の有無によって治療期間が異なり、20歳を過ぎることもあります。
 身長の伸びの程度もさまざまな条件が関係してきますが、一般的にホルモン不足が重症なほど成長率も高いといえます。
 成長ホルモン治療ではまれに、副作用がみられることもあります。注射した部位の皮膚が赤くなったり、かゆくなったり、へこむこともあります。同じ部位ばかりに注射するのでなく、毎回注射する部位を変えることが重要です。
 身長が伸びるのに伴って、関節が痛むこともあります。多くはいわゆる成長痛で、一時的なもので心配いりません。しかし、股(こ)関節の痛みが強い時や長時間続く時は、大腿骨(だいたいこつ)骨頭すべり症なども疑う必要があります。
 一時期、成長ホルモン治療と白血病発症との関連性が心配されましたが、現在ではその関連性は否定されています。 原則として安全な治療薬ですが、治療中はもちろん、治療後も定期的に検査を行うなど、副作用がないかを医師が調べる必要があります。

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■用語 EGID(好酸球性消化管疾患) [用語(A〜Z、数字)]

[レストラン]血液中の好酸球が消化管の粘膜に浸潤して、種々の症状を来す疾患の総称
 EGID(Eosinophilic Gastro-Intestinal Disorders)とは、血液中の好酸球が消化管の粘膜に浸潤して、種々の症状を来す疾患の総称。好酸球性消化管疾患とも呼ばれます。
 好酸球(Eosinophil)は、免疫にかかわる白血球の一種で、ある種の寄生虫に対して体を守る免疫機能を担い、アレルギー反応の制御を行う一方で、このアレルギー反応による炎症の一因にもなる細胞です。
 この好酸球が引き起こすEGIDは、好酸球性食道炎(Eosinophilic Esophagitis)と好酸球性胃腸炎(Eosinophilic Gastroenteritis)に大きく分けられます。
 好酸球性食道炎の患者が2000年以降、欧米諸国で急増し、病態の解析や治療に関する研究が進んだことにより、日本でもEGIDが注目されるようになりました。
 欧米ではEGIDのほとんどが好酸球性食道炎ですが、日本では好酸球性胃腸炎のほうが多く認められています。
 好酸球性食道炎は、血液中の好酸球の食道壁への浸潤を特徴とする炎症性消化管疾患。詳しい原因は不明ですが、飲食物を含む何らかの物質が直接、間接の引き金になってアレルギー反応が起こり、血液中の好酸球が大量に産生される結果、食道壁の粘膜に多数浸潤して慢性炎症が引き起こされ、これが原因となって食道の正常な機能が障害されます。
 胸痛、胸焼け、食物を飲み込みにくくなる嚥下(えんげ)障害、食物のつかえ感、腹痛などが主な症状です。進行すると、食道粘膜の下層にむくみや繊維化が起こり、食道の狭窄(きょうさく)によって食べ物の通過障害を起こすことがあります。
 また、好酸球性食道炎の発症者は、喘息(ぜんそく)やアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患の病歴を高い頻度で有しています。
 日本では比較的まれですが、近年は男性を中心として患者数が増加しています。発症者の平均年齢は49歳。
 胸焼けや食物のつかえ感など好酸球性食道炎と類似した症状を示す疾患に、胃液、十二指腸液の食道への逆流によって、食道の内面を覆う粘膜に炎症が起こる逆流性食道炎があります。医療機関で逆流性食道炎と診断されて、胃酸の分泌を抑えるプロトンポンプ阻害薬(PPI)を服用しても症状が改善しない患者の一部には、好酸球性食道炎が含まれるとみられています。
 好酸球性食道炎を疑い、診断・治療機器の整った大学病院などの内科、気管食道科を受診することも勧められます。
 一方、好酸球性胃腸炎は、血液中の好酸球の消化管壁への浸潤を特徴とする炎症性消化管疾患。こちらも詳しい原因は不明ですが、胃や腸に入ってきた飲食物を含む何らかの物質が直接、間接の引き金になってアレルギー反応が起こり、血液中の好酸球が大量に産生される結果、胃壁や腸壁の粘膜に多数浸潤して慢性炎症が引き起こされ、これが原因となって胃や腸の正常な機能が障害されます。
 病変は胃、十二指腸、小腸などに好発し、食道や大腸にも病変を認める場合もあります。
 好酸球性胃腸炎にはかなり長い潜行期間があると見なされ、顕性化すると発熱、全身倦怠(けんたい)感、疲れやすさを覚え、少量の食物で上腹部の膨満感と停滞感を来して十分に食事が取れなくなります。
 下痢、腹痛、胸痛、嘔吐(おうと)がみられ、胃や小腸から出血するようになり、特に胃の前庭部と十二指腸の上部に、びらん、むくみ、発赤、潰瘍(かいよう)、出血が現れます。
 炎症が胃や腸の粘膜に及ぶと、腹水が生じることがあります。病変の広がりと程度によって、軽度から重度の飲食物の消化障害、栄養物の吸収障害と蛋白(たんぱく)質喪失胃腸症を来し、次第に鉄欠乏性貧血と低蛋白血症が目立つようになります。
 小腸の病変が強いと、繊維性狭窄のために腸の内容物である飲食物や消化液の通過障害が起こる腸閉塞(へいそく)となることもあります。
 なお、好酸球性胃腸炎の発症者は、喘息などのアレルギー疾患の病歴を高い頻度で有しています。
 まれな疾患ですが、小児から高齢者までのあらゆる年齢層に生じ、20歳代から50歳代の年齢層に好発しています。
 下痢、腹痛が繰り返しみられ、胃薬の効果がない時には、好酸球性胃腸炎を疑い、消化器科、消化器内科、内科を受診することが勧められます。
[レストラン]EGID(好酸球性消化管疾患)の検査と診断と治療
 内科、気管食道科の医師によるEGID(好酸球性消化管疾患)のうちの好酸球性食道炎の診断では、食道粘膜の組織を採取して調べる生検を行って、好酸球の浸潤の存在を認めれば、それでほぼ確定します。
 また、問診による喘息などのアレルギー疾患の病歴、血液検査による末梢(まっしょう)血液中の好酸球の増加、内視鏡検査による食道の壁の肥厚、縦方向のしまや白い斑点(はんてん)、環状狭窄の存在なども確認します。
 鑑別する疾患としては、胸焼けや食物のつかえ感などで類似した症状を示す逆流性食道炎が重要です。逆流性食道炎は、胃液、十二指腸液の食道への逆流によって、食道の内面を覆う粘膜に炎症が起こる疾患です。
 内科、気管食道科の医師による好酸球性食道炎の治療では、アレルギー反応を起こす原因と考えられる抗原の除去が基本となります。食事療法として、抗原と疑われる食品を検査して特定し、その食品を除いた食事を用いる方法、検査は行わず一般的に抗原となりやすい牛乳、卵、肉、魚などの食品を除いた食事を用いる方法、アミノ酸成分栄養食を用いる方法の3種類があります。
 薬物療法として、好酸球による炎症を抑えることを目的に、副腎(ふくじん)皮質ホルモン(ステロイド剤)の吸入剤が主に用いられます。吸入剤は局所的に作用するため副作用が少なく、気管に吸い込まず、いったん口の中にため、唾液(だえき)と一緒に飲み込みます。重症の人には、ステロイド剤の内服剤を用いることもあります。
 また、食道の運動機能が低下して胃酸の逆流症状を併発する場合、酸の分泌を抑えるプロトンポンプ阻害薬(PPI)を補助的に使用することもあります。
 食事療法、薬物療法で症状が改善しない場合や、食べ物のつかえや嚥下障害が強い場合は、狭くなった食道を広げる外科手術を行うこともあります。
 消化器科、消化器内科、内科の医師によるEGID(好酸球性消化管疾患)のうちの好酸球性胃腸炎の診断では、胃や十二指腸などの粘膜組織を採取して調べる生検を行って好酸球の浸潤の存在を認め、腹水中の多数の好酸球の存在を認めれば、それでほぼ確定します。
 また、問診による喘息などのアレルギー疾患の病歴、血液検査による末梢血液中の好酸球の増多、内視鏡検査によるびらん、むくみ、発赤の存在、腹部超音波検査またはCT検査による胃や腸壁の肥厚の存在も確認します。
 鑑別する疾患としては、硬性がん、メネトリエ病、胃の平滑筋腫(しゅ)または平滑筋肉腫、悪性リンパ腫、多発性内分泌腺(せん)腫、好酸球性肉芽腫などがあります。
 消化器科、消化器内科、内科の医師による好酸球性胃腸炎の治療では、消化管の安静や保存的治療を行います。
 消化管の安静としては、牛乳、卵、肉、魚などの食事性アレルギーの原因になりやすい食物を除いた除外食を摂取し、糖質を主にした輸液を中心にします。
 保存的治療としては、早期に副腎皮質ホルモン(ステロイド剤)のプレドニゾロンを1日30〜40mg 程度で使用します。効果のあるケースでは、1週間も使用すれば症状は改善するので、それから徐々に減量し、4週程度で終了するのが一般的です。胃腸症状は急速に軽症化し、腹水は消失、末梢血液中の好酸球はほとんど認められなくなります。
 同時に、胃酸の分泌を促す物質の働きを抑える作用や止血作用のあるシメチジン製剤と、胃酸を中和する制酸剤を併用することもあります。制酸剤はシメチジン製剤の効果を増強するとともに、粘膜保護の役割を果たします。
 消化管の狭窄、閉塞が起こっている場合は、外科手術を行うこともあります。




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■用語 NAFLD(非アルコール性脂肪性肝疾患) [用語(A〜Z、数字)]

[喫茶店]アルコールを全く飲まない人や、少しだけ飲む人に脂肪性肝障害がみられる病態
 NAFLD(Non-Alcoholic Fatty Liver Disease)とは、アルコールを全く飲まない人や、少しだけ飲むという人にアルコール性肝障害に類似した脂肪性肝障害がみられる病態。 非アルコール性脂肪性肝疾患とも呼ばれます。
 肝細胞に中性脂肪が沈着して、肝障害を引き起こす病態を脂肪性肝疾患といいます。そして、肝臓の組織で、脂肪滴を伴う肝細胞が30パーセント以上認められる場合を脂肪肝といいます。現在、検診受診者の20〜30パーセントは脂肪肝であり、頻度は年々増加しています。
 この脂肪肝としては、以前は大量のアルコールを摂取する人に多くみられるアルコール性脂肪肝や、脂肪肝に肝炎を伴ったASH(Alcoholic Steato Hepatitis)、すなわちアルコール性脂肪性肝炎が知られていましたが、アルコールを全く飲まない人や、少しだけ飲むという人にも、肥満や糖尿病などの生活習慣病の表現形として、飽食と運動不足による過栄養を基盤とした内臓脂肪の蓄積によってNAFLD(非アルコール性脂肪性肝疾患)を発症することが多くなりました。
 現在、成人の8パーセント程度は、NAFLDであるといわれ、国内に約1000万人の発症者がいると推定されています。
 NAFLDは、肝細胞に中性脂肪が沈着するのみの単純性脂肪肝(Simple Fatty Liver)と、肝細胞に脂肪が沈着するとともに炎症を起こし、線維化が進行するNASH(Non-Alcoholic Steato Hepatitis、ナッシュ)、すなわち非アルコール性脂肪性肝炎に大別されます。
 後者のNASH(非アルコール性脂肪性肝炎)は、成人の1パーセント程度にみられ、国内に約100〜200万人の発症者がいると推定されています。NAFLDの重症型と考えられており、自覚症状がないまま、肝硬変に至り、肝臓がんを引き起こす可能性もあります。
 単純性脂肪肝からNASHの発症に至る原因はまだはっきりとはわかっていませんが、2つのヒット理論が広く受け入れられています。肥満、糖尿病、脂質異常症(高脂血症)などにより、肝細胞に中性脂肪が蓄積し、脂肪肝になるのが第1のヒット。さらに、炎症を起こす免疫物質や腸内細菌の毒にさらされたり、体内の活性酸素が増える酸化ストレスになったりする第2のヒットの刺激を受けると、NASHに進みます。
 NASHは、単純性脂肪肝と同じく自覚できる症状はほとんどありません。しかし、一部の発症者では疲れ、だるさ、または右上腹部の不快感を感じることがあります。
 40〜60歳の中年女性に最もしばしばみられ、その多くは肥満、2型糖尿病、または脂質異常症を示しますが、すべての年齢の男女に起こり得ます。
 NAFLDそのものでは自覚症状が出ることはほとんどないので、健診でチェックされるか、ほかの疾患で血液検査をした時に肝機能異常があって、発見の契機になることがあります。中には血液検査では肝機能正常のNAFLDもあり、この場合は健診の超音波検査で指摘されることもあります。
[喫茶店]NAFLD(非アルコール性脂肪性肝疾患)の検査と診断と治療
 消化器内科、消化器科、内科の医師による診断では、単純性脂肪肝の程度が進みNASH(非アルコール性脂肪性肝炎)が疑われる場合、画像検査や血液検査だけでは判断が付かないため、確定診断には、針を皮膚から肝臓へと突き刺し、肝臓の組織の一部を採取する肝生検を行います。
 NASHで最も多くみられる検査所見の異常は、アミノトランスフェラーゼ(アミノ基転移酵素)値の上昇。肝酵素のAST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)値とALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)値の軽度の上昇もみられます。AST/ALT比は通常、1・0以下です。
 アルコール性肝障害との鑑別が最も重要で、問診によってアルコール摂取量を把握することと、アルコール性肝障害ではAST/ALT比が1・0以上となることで鑑別します。ウイルス性肝炎B型、ウイルス性肝炎C型、自己免疫性肝炎、薬物性肝障害などとの鑑別も必要です。
 消化器内科、消化器科、内科の医師による治療では、ライフスタイルの見直しを行い、低カロリーで栄養バランスのよい食事を心掛け、適度な運動を取り入れます。
 肝臓に炎症や線維化がみられる場合は、そのまま放置すると悪化する恐れがあり、原因となる肥満、2型糖尿病、脂質異常症を食事療法、運動療法で改善することが重要です。
 ライフスタイルを見直しても肝機能異常が治らない場合は、薬物療法が行われる場合もあります。抗酸化剤のビタミンE、ビタミンC、糖尿病治療薬のチアゾリジン系薬剤、ビグアナイド系薬剤、シダグリプチン、脂質異常症治療薬のフィブレート系薬剤、エゼチミブ、EPL、肝庇護(ひご)剤のウルソ、グリチルリチンなどが使用されるほか 、NASHでは過剰な鉄が肝臓に負担を掛けますので、1日の食事中の鉄を6〜7ミリグラム以下に減らします。
 また、NASHから肝硬変、肝臓がんへと進むことがあるため、肝機能を検査して常に確認しておくことが大切になります。




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