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■会社員の介護保険料、年10万円を超える 背景に介護費の大幅増加 [健康ダイジェスト]

 大企業の社員らが入る健康保険組合で、介護保険料の負担が急速に増しています。全国約1400組合の2019年度予算によると、加入者1人当たりの納付額の平均は約6000円(約6%)増え、初めて年10万円を超えました。
 介護費の大幅な増加が背景にあり、気付きにくい形で現役世代に重圧がかかっています。必要性の低い介護サービスを抑える制度改革が急務です。
 健保組合は企業や団体ごとに社員とその家族が入り、約3000万人の加入者がいます。このうち40~64歳の従業員から介護保険料を徴収しています。
 健保組合は介護保険料率を決めて、社員らの所得に応じて同比率を乗じ、保険料を徴収しています。第一三共グループの健保組合は、2019年度の介護保険料率を1・2%とし、2018年度より0・2ポイント引き上げました。東京海上日動火災保険の健保組合も、介護保険料を0・16ポイント上げて1・44%としました。2020年度も引き上げる可能性があるといいます。
 エーザイの健保組合は、介護保険料を0・58ポイント引き上げて1・5%とした一方で、健康保険料は1・8ポイント引き下げて7・0%としました。
 2019年度は約3分の1の健保組合が保険料率を引き上げ、平均の介護保険料率は約1・6%に上昇しました。加入者1人当たりの保険料は2017年度は約8万9000円でしたが、2018年度に約9万5000円、2019年度は約10万1000円となりました。
 介護保険料が急増している要因の一つが、所得の高い会社員に保険料の負担増を求める仕組みにあります。
 政府が2017年度からこのような仕組みを段階的に導入しており、年収の高い会社員が多く集まる健保組合の負担が増しています。完全に移行する2020年度まで負担増が続きます。
 もう一つの要因は、介護サービスの費用が医療費を上回るペースで膨らんでいることです。医療費は2010年度から2018年度の間に約2割増えましたが、介護サービスの費用は同じ期間に約5割増えました。
 会社員らは給与から天引きで、介護保険を含む社会保険料を納めており、実際にどれくらい負担が増えているかわかりにくく、企業が賃上げをしても手取り額がそれほど増えない状況につながっています。高齢者の増加で介護サービスの需要は高まっていますが、給付と負担のバランスが重要になっています。

 2019年4月19日(金)




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■ピレネー山脈の高高度地域にもマイクロプラスチック 大気によって運ばれ堆積 [健康ダイジェスト]

 プラスチックによる汚染とは無縁と考えられている辺境の山岳地帯が、実際には大気中に浮遊するマイクロプラスチック(プラスチック微粒子)で覆われていると指摘する研究論文が15日、発表されました。「大気中濃度はフランスのパリなどの大都市に匹敵するほどだ」として、研究チームは懸念を示しています。
 イギリスの科学誌「ネイチャー・ジオサイエンス」に掲載された論文によると、2017年~2018年にかけての5カ月間にわたる調査期間中、フランスとスペインにまたがるピレネー山脈の無人の高高度地域では毎日、1平方メートル当たり平均365個のマイクロプラスチックが地上に降下したといいます。
 論文の筆頭執筆者で、イギリスのストラスクライド大学の博士課程学生のスティーブ・アレン氏は、「ピレネー山脈で実地調査を行った範囲でこれほど多くの微粒子が見付かったのは驚くべきと同時に、懸念すべきことだ」と話しています。
 今回の研究では、大半が直径10~150マイクロメートル(1マイクロメートルは1000分の1ミリ)のプラスチックの断片、繊維、シート状の薄い膜などを含むマイクロプラスチックに着目しました。比較のために挙げると、人毛の直径は平均約70マイクロメートル。
 プラスチックごみはこの数年間で、重大な環境問題として浮上してきました。毎年最大で1200万トンに上るプラスチックが世界の海洋に流入し、さらに数百万トンが内陸の水路や埋立地に集積していると考えられています。プラスチックは砕けて細かくなるのに数十年かかる上、その後も環境中に残存し続けます。
 プラスチックが野生生物へ及ぼす害や人の健康への潜在的影響などを評価するための科学的研究はまだ始まったばかり。今年発表された研究では、水深1万メートル以上の深海に生息する生物の消化管内からプラスチック片が発見されました。また、マイクロプラスチックは世界各地の水道水から検出されているほか、南極大陸の最果てでも見付かっています。
 論文の共同執筆者で、フランスの機能生態学・環境研究所のデオニー・アラン氏は、「今回の最も重要な発見は、マイクロプラスチックが大気によって運ばれ、大都市からは遠く離れた辺境の高高度山岳地帯に堆積するということだ。これは、マイクロプラスチックが大気汚染物質であることを意味する」と語りました。
 研究チームは、西ヨーロッパで最も手付かずの自然が残る場所の一つと長年考えられていた地域で、マイクロプラスチック濃度を個別に測定するために2種類の監視装置を使用しました。
 測定場所は最も近い村でも7キロ離れており、最も近くの都市であるフランス南部のトゥールーズからは100キロ以上の距離があります。
 大気の流れのパターンを分析した結果、一部のマイクロプラスチックは少なくとも100キロ以上移動したものだと研究チームは推測しました。
 風、雪、雨などで運ばれたサンプルは、標高1500メートル以上にあるベルナドゥーズの測候所で収集されました。
 分析の結果、マイクロプラスチック汚染物質の濃度がパリや中国南部の工業都市・東莞(とうかん)などの大都市で検出される濃度と同水準であることが明らかになり、研究チームは衝撃を受けました。
 アラン氏は、「今回の測定結果は、パリ首都圏に関して報告されている測定値の範囲内にあり、パリに匹敵すると見なすことができる」と説明し、「マイクロプラスチックの数がこれほど多いとは予想外だった」と語りました。

 2019年4月18日(木)




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■iPS細胞から作った網膜の移植、1年後の安全性確認 理研などが発表 [健康ダイジェスト]

 理化学研究所などは18日、他人のiPS細胞(人工多能性幹細胞)から作った網膜細胞を、失明の恐れがある目の病気「加齢黄斑変性」の患者5人に移植した臨床研究について、移植1年後でも懸念された細胞の腫瘍(しゅよう)化や大きな拒絶反応はなく、安全性を確認したと発表しました。実用化に向け、最大の障壁の一つを越えた形です。
 理研の高橋政代プロジェクトリーダーが、東京都で開かれた日本眼科学会総会で報告しました。さまざまな組織の細胞に変化できる他人のiPS細胞を使う移植で、1年間の安全性を検証した報告は初めて。ヒトのiPS細胞ができて11年余りたち、高橋プロジェクトリーダーは「安全性を確認する目的は達成された。iPS細胞を使った治療の実用化に向けて7合目の位置まできた」と話しています。
 研究チームは2017年3~9月、iPS細胞から変化させた約25万個の網膜細胞を液体に入れ、60~80歳代の男性5人の目に注射で移植。多くの人で拒絶反応が起きにくい型のiPS細胞を使い、それに合う患者が選ばれました。
 研究の主目的は安全性の確認で、移植した細胞は腫瘍化せず定着し、1人で軽い拒絶反応があったものの、薬で治まりました。5人とも視力は維持されているといいます。
 今回の報告について、再生医療に詳しい東京医科歯科大学の森尾友宏教授は、「大きな成果。ランドマーク的な仕事」と評価し、「今後は有効性をどこまで高められるかがポイントだろう」と話しています。

 2019年4月18日(木)

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