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■炎症性腸疾患の治療薬、安全な服用量算定に成功 滋賀医科大の研究チーム  [健康ダイジェスト]

 滋賀医科大学の河原真大講師らの研究チームが、炎症性腸疾患や急性白血病の治療薬「チオプリン」の安全な服用量を見積もることに成功し、24日にイギリスの学術誌のオンライン版で研究成果を報告しました。
 これまでは副作用が生じる量がわからず、服用にはリスクが伴っていました。骨髄移植後に再発した白血病にチオプリンが効果的な可能性も浮上し、河原講師は「より安全な投与や応用につなげられる」と話しています。
 チオプリンは、血液中の白血球などを生み出す「造血幹細胞」に作用し、体の免疫が過剰に働くのを防ぐ薬。非常に安価なことから、免疫が食物などに対して異常に働くことで腸に炎症が生じるクローン病などの炎症性腸疾患の国内患者約20万人のうち約3割が服用しています。
 一方、日本人を含むアジア人の約4人に1人はチオプリンの作用にブレーキをかける役割の遺伝子に異常があり、薬が効きすぎることで副作用が生じ、50人に1人の割合で髪が抜け落ちたり、白血球がほとんどなくなったりするなどの重篤な症状が出るとされています。
 河原講師らは実験用のマウスの遺伝子を操作することにより、チオプリンに敏感な体質を持つマウスを生み出し、副作用を再現することに成功。実験ではチオプリンを服用した敏感な体質のマウスの造血幹細胞が攻撃され、副作用として骨髄細胞が減少したことが確認されました。チオプリンの副作用を動物実験で再現したのは世界で初めてといいます。
 実験をもとに、河原講師らは体重60キロの成人で1日当たり1ミリグラム以下の服用量なら、チオプリンに敏感な体質の人でも副作用が生じないことを突き止めました。
 河原講師は、「敏感な体質の患者も安全な量がわかれば、副作用を避けて服用できるようになる」と期待を寄せています。
 さらに、チオプリンに敏感な体質を持った白血病のマウスがチオプリンの副作用が生じない体質のマウスから骨髄移植を受けると、白血病を再発した際に、移植前は使うのが難しかったチオプリンが逆に高い治療効果があることも判明しました。
 河原講師は、「骨髄移植後に再発した白血病の治療は非常に難しいが、チオプリンの投与が有効な可能性がある。臨床研究で詳細を明らかにしたい」としています。

 2019年10月27日(日)

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