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■長時間労働と自殺、建設業の現場監督で深刻 2019年版過労死白書 [健康ダイジェスト]

 政府は1日、2019年版の「過労死等防止対策白書」を閣議決定しました。重点業種として新たに定めた建設業とメディア業の実態調査をまとめました。
 特に労働時間が長かったのが建設業の現場監督で、6人に1人に当たる16・2%が週60時間以上。月換算すると、労災認定の目安である「過労死ライン」の残業80時間を超過する水準でした。
 政府は「過労死等防止対策大綱」で、長時間労働などの問題があり、特別調査をする業種を定めています。昨年7月の大綱改定で、建設業とメディア業を追加しました。
 大綱では、労働時間が週60時間以上の労働者の割合を2020年までに全体の5%以下にする目標を掲げており、2018年の全業種平均は6・9%でした。
 建設業への調査では、9・9%が労働時間が週60時間以上でした。職種別でみると、現場監督が16・2%、施工管理や設計士など「技術者」は7・1%、現場で作業する「技能労働者」は3・5%でした。
 現場監督の労働時間が長くなる理由(複数回答)は、「業務量が多い」が64・1%でトップ。「事務書類が多い」(49・3%)、「人員不足」(47・7%)、「顧客からの不規則な要望」(44・2%)が続きました。
 2010年からの約5年間に建設業では、脳・心臓疾患と精神疾患が計311件労災認定されました。現場監督は59件の精神疾患が労災認定され、未遂を含む自殺はうち30件で、原因は長時間労働が最多でした。
 メディア業は、労働時間が週60時間超が2・9%でした。放送業が最多の3・9%で、広告は2・5%。新聞では2%、出版で1・3%でした。
 2010年からの約5年間にメディア業で労災認定された精神障害の事案30件を分析すると、20歳代で11件、30歳代で8件と若い世代の発病が目立ちました。4件の自殺は、すべて20歳代でした。メディア業では、電通の新人女性社員の自殺が2016年に労災認定を受けています。
 労災認定された精神障害の要因も性別に分析したところ、男性は「仕事内容・仕事量の変化」が23・1%でトップ。「嫌がらせ、いじめ、暴力」(15・9%)、「上司とのトラブル」(15・3%)に続き、「2週間にわたって連続勤務」(14%)、「月80時間以上の時間外労働」(12・8%)が並んだ上位5つの内、3つが仕事量に関連する内容でした。
 一方、女性は看護師や介護士が担当者の自殺に直面するなど「悲惨な事故や災害の体験、目撃」が21・9%でトップとなり、性差が出る結果となりました。その他は「セクシュアルハラスメント」(19・7%)、「嫌がらせ、いじめ、暴力」(16・6%)、「上司とのトラブル」(15%)が多くなりました。
 2018年度の民間企業における過労死や未遂含む過労自殺は、計158件。2017年度の190件から17%減少したものの、厚労省の担当者は「いまだ高い水準にあり、一層の対策が必要」としています。

 2019年10月1日(火)   

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■植え込み型の補助人工心臓で不具合 患者1人死亡で自主回収 [健康ダイジェスト]

 重い心不全患者らの心臓の働きを助ける植え込み型補助人工心臓「エバハート」を製造販売する長野県諏訪市のサンメディカル技術研究所は9月30日、血液ポンプの一部に不具合があり患者1人が死亡した事例があったとして、2017年5月までに出荷し利用中の旧型23台を自主回収すると長野県に報告しました。同社では、対象者の機器を新型の機器と交換する方向で対応したいとしています。
 植え込み型補助人工心臓は血液を循環させる役割があり、血液を送るポンプを体内に取り付けます。エバハートはシンプルな構造の遠心ポンプで、従来品に比べ埋設部が「こぶし大」で重さは約400グラムと小型化。患者への負担の少ない機器として2011年4月から出荷が始まっています。
 同社によると、死亡事例は今年9月10日に発生。構成品の血液ポンプのモーター回転部が経年劣化により変形を起こして外装ケースに接触し、回転障害を起こし停止したことが原因としています。使用期間が耐用年数の6年を下回っており、製品に欠陥があったと判断したといいます。すでに13日から、回収は始まっています。
 対象となる旧型の機器は170台出荷されており、168人の患者に施術されています。このうち現在も使用している患者は22人。同社では主治医に情報を提供ずみで、状況に応じて自主回収した上で新型の機器と交換をしていきたいとしています。
 現在製造販売している新型は変形する可能性のない材料を使用し、同社は「当該現象が発生する可能性はなく、今後も継続的に供給が可能」としています。
 サンメディカル技術研究所は、諏訪地方の地元企業が諏訪発の医療機器として「エヴァハート(旧名称)」を開発するために、1991年に設立。2005年から治験が始まり、2010年暮れに製造販売承認を取得し、翌2011年4月から販売を開始しました。
 しかし、承認の遅れなどで当初予定を大幅に下回り業績が低迷。取引先だった輸送関連機器製造のハイレックスコーポレーション(兵庫県宝塚市)が、新会社として事業を引き継いでいます。

 2019年10月1日(火)

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