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■世界初の肺区域移植を受けた2歳男児が退院 岡山大学病院 [健康ダイジェスト]

 岡山大学病院(岡山市北区)で、30歳代の母親の左肺下部の下葉を分割して両肺に移す「生体肺区域移植手術」を受けた埼玉県の2歳11カ月の男児が6日、退院しました。
 病院によると、この手法では世界初の成功例であり、男児は手術時2歳9カ月で国内最年少の肺移植患者。
 男児は午前9時半ごろ、両親らに付き添われ、病院玄関に元気な姿を見せました。見送りの医師、看護師らに笑顔で手を振り、母親に抱かれて病院を後にしました。
 退院前に取材に応じた母親は、「発病前のように、大きな声で歌を歌ってくれてうれしい。友達や兄弟と遊ばせたり、再来年には幼稚園へ行かせたい。私たちに未来を与えてくれた移植スタッフに、感謝の気持ちでいっぱいです」と話しました。
 男児は今年5月、自発呼吸が困難になる重い肺の病気「特発性間質性肺炎」を発症。8月中旬には人工呼吸器を装着しても酸欠状態になりました。移植以外に救命の道がなく同月31日、岡山大学病院で約11時間の手術を受けました。
 肺組織は右肺が上葉、中葉、下葉、左肺が上葉、下葉に分かれています。生体肺移植は通常、肺活量が最も多い左右いずれかの下葉を使うものの、男児には大きすぎたため、左肺の下葉を肺として機能する最小単位「区域」に切り分けて移植しました。
 区域は一見して境界はないものの、細かな血管や気管支などが複雑に張り巡らされています。移植しても機能するよう傷付けずに血管や気管支を切り分け、吻合(ふんごう)するには高度な技術が求められました。
 男児は手術を受けた後、順調に自力呼吸を回復、9月中旬に人工呼吸器を外しました。現在は日常生活を送ることができるようになるまで回復し、重い拒絶反応もないということで、今後は自宅で生活しながらリハビリを行い、地元の病院で経過を観察するということです。
 執刀した呼吸器外科の大藤剛宏(おおとうたかひろ)肺移植チーフは、「元気に退院し、ほっとしている。移植した肺はよくなじみ、しっかりと機能している。これまで救命できなかった乳幼児にも生きるチャンスを与えることができるようにようになる」と話しました。

 2014年11月6日(木)

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