SSブログ

■がん標準治療の実施率、平均72% 2013年、がん研究センター調査 [健康ダイジェスト]

 国立がん研究センターは29日、全国の病院でがんの標準治療を受けた患者は平均72%だったと発表しました。
 標準治療は、科学的な根拠に基づく現時点で最良とされる治療。2013年にがんと診断された約45万人のうち、胃がんや肺がん、大腸がんなど9項目の治療・検査を調べました。同様の調査結果が初めて公表された2012年分と比べて、4ポイント増えました。
 全国のがん診療連携拠点病院など297施設が協力。がんの種類やステージなどを集めたがん登録と、その患者が受けた治療や検査のデータをもとに分析しました。拠点病院の参加率は68%(前回55%)でした。
 分析した項目ごとの実施率を見ると、肝臓がんの手術前検査は92%、比較的早期の肺がんの手術・放射線療法は89%と高い一方、乳房の切除手術後に再発リスクが高い患者が受ける放射線療法は37%、肺がんの手術後化学療法は44%と低くなりました。
 国立がん研究センター東病院乳腺・腫瘍(しゅよう)内科の向井博文医長は、放射線療法の実施率の低さについて「施設ごとに病理検査の手法が違い、再発の危険性が高い患者でも放射線療法を不要と考える医師がいるためではないか」と話しています。
 この調査では、ほかの病院に移った患者の経過を把握できない点が課題です。向井さんは、乳がんの放射線療法について「ほかの病院での治療を考慮した別の統計を使った調査では、約60%の実施率のものもある」といいます。そのほか、患者側が治療を希望しない、別の病気がある、高齢であるといった理由から、標準治療に至らないケースがあります。これらを踏まえて補正すると、実施率は9項目中6項目で推計90%を超えました。
 調査をまとめた国立がん研究センターの東尚弘・がん登録センター長は、「標準治療をしないという判断が妥当かを各施設や地域で検証してほしい」と指摘し、「調査結果をもとにほかの病院や医師と比べ、自身の診療を振り返る材料にしてほしい」と話しています。
 全国どこでも標準的ながん医療を受けられる「均てん化(平均化)」は、がん対策基本法が掲げる基本的施策の一つ。標準治療の実施率も、均てん化を見る指標の一つとされています。
 国立がん研究センターの若尾文彦・がん対策情報センター長は、「調査にはすべての拠点病院に参加してもらい、標準治療の実施率の格差をなくしたい。調査への参加を拠点病院の指定要件に入れることも必要だろう」と話しています。

 2017年11月30日(木)

nice!(7)  コメント(0) 
共通テーマ:健康

■血管内を高画質カラー画像で観察可能に パナソニックと大阪大が新型内視鏡を開発 [健康ダイジェスト]

 パナソニック(大阪府門真市)は28日、血管内を高画質のカラー画像で観察できる超小型カメラ付き内視鏡カテーテルを大阪大学などと共同で開発したと発表しました。血管用でカメラを先端に付けたタイプは世界で初めてといいます。
 開発にかかわった大阪大の岡山慶太・特任助教は、「治療が難しかった血管の病気も詳しく調べることができる。血管内治療の発展に貢献したい」と期待しています。
 開発した内視鏡カテーテルは、直径1・8ミリ、長さ5ミリの先端に画像センサーとレンズ、照明用ファイバーを組み込みました。血管内を映し出すモニターなどの装置がついた本体につないで使います。
 これまでの機器の約50倍となる約48万画素相当のカラー画像で、先端から前方を撮影できます。このため、手術の前後に血管内の動脈硬化や血栓の付き方、血管を広げる筒状の医療器具「ステント」をつけた後の状態などを詳しく観察できるようになりました。新薬やステントの開発にも役立ちそうです。
 これまでの機器は、血管断面の白黒画像を映し出すもので、医師が画像から血管内の状態を想像する必要がありました。
 パナソニックは約30年前から、医療機器用カメラを手掛けてきました。大阪大の研究チームとは2013年から、共同で研究開発を始めました。内視鏡向けカメラの技術や精密加工技術を活用し、血管に入れるため、先端を血管内部を傷付けない形に工夫しました。
 医療向けカメラ事業を担当する細矢雅彦さんは、「今後も大学や他の企業と一緒に医療機器に役立つカメラや部品を開発していきたい」と話しています。
 開発した内視鏡カテーテルは、医療機器メーカーの大正医科器械(大阪市大正区)が12月から病院向けに販売する予定。パナソニックは、2021年度には約8000本の出荷を目指します。

 2017年11月30日(木)

nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:健康

■がん拠点84病院で保険外の免疫療法を実施 厚労省調査 [健康ダイジェスト]

 がん診療の拠点病院の一部で、効果が確認されておらず保険診療が適用されていない免疫療法が実施されていたことを受けて、厚生労働省が実態調査した結果、全国の84の病院が実施していたことがわかりました。
 厚労省は、がんの拠点病院では効果が確認された標準治療を行うことが原則としていて、免疫療法を行う場合は効果を検証する臨床研究の枠組みで実施すべきだとしていますが、5つの病院はこれに該当せず、全国の拠点病院に対し臨床研究以外では原則、行わないよう求めることにしています。
 がん診療の拠点病院は地域の中核として質の高い診断や治療を行う医療機関として、厚労省が全国434の病院を指定しており、治療の診療報酬が加算されたり、国や都道府県から補助金を受けたりしています。
 この拠点病院の一部で、治療の効果が国によって確認されておらず、保険診療が適用されていない免疫療法が実施されていたことが明らかになり、厚労省が実態調査を行って、29日に開かれた検討会で結果を報告しました。
 報告によりますと、今年9月の時点で全国84の拠点病院が、保険診療が適用されていない免疫療法を自由診療として実施していました。うち79の病院は臨床研究の枠組みで行ったと回答していますが、残りの5つの病院は臨床研究ではなく、患者の依頼を受けたことなどから実施したとしています。
 厚労省は近く、全国の拠点病院に対し、効果を検証する臨床研究以外では原則、免疫療法を行わないよう求めることにしています。
 体の免疫機構を利用してがん細胞を攻撃する免疫療法は、手術や抗がん剤、放射線に続く第4の治療として注目され、研究が活発に行われています。一方で、一部の医療機関では、効果の期待できない免疫療法を研究以外の目的で高額で提供しているとの批判もあります。
 厚生労働省の検討会のメンバーで、国立がん研究センターの若尾文彦医師は、「がん診療の拠点病院では科学的根拠に基づいた医療を提供することが必要で、そうでないものはあくまで研究として行い、有効性が確認できたかどうか、結果をきちんと公表すべきだ。また、臨床研究であっても患者が高額な治療費を支払うケースがあり、それが妥当かどうか議論が必要ではないか」と話しています。

 2017年11月29日(水)

nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:健康

■性同一性障害者の適合手術、来年度から保険対象に 従来は治療に100万円以上も [健康ダイジェスト]

 厚生労働省は、体と心の性が一致しない性同一性障害(GID)の人が体を心の性に合わせる「性別適合手術」を、来年度から公的医療保険の対象に含める方針を固めました。29日に開かれた中央社会保険医療協議会(厚労相の諮問機関)に提案し、大筋で了承されました。
 この手術は今、公的医療保険の対象外のため多額の費用がかかります。それが保険適用されれば、原則3~1割の自己負担額で済むようになります。高額療養費制度によって、自己負担額に上限も設けられます。
 医療機関で性同一性障害の診断を受けた人に対しては、カウンセリングなどの精神療法やホルモン療法のほか、子宮や卵巣、精巣を摘出したり陰茎を切断したりする性別適合手術の治療があります。ただ、精神療法以外は保険が適用されず、治療に100万円以上かかることも多くなっています。
 一方、2004年に施行された性同一性障害特例法では、戸籍の性別変更の条件として、「2人以上の医師による診断」「20歳以上」「婚姻していない」などに加え、性別適合手術を受けることを求めています。このため比較的費用が安い海外に渡航して手術を受ける人も多く、当事者へのアンケートでは国内と国外での手術件数がほぼ同数になっています。
 厚労省は性別適合手術を受けるための医療環境が整ったことや、性的少数者が社会的に認知されてきたことを踏まえて、保険適用の可否について議論が必要と判断していました。保険適用の範囲については、性別変更の条件を踏まえ、体を心の性に近付けるホルモン療法は対象から外す方向で検討します。
 性同一性障害は体と心の性が一致しない障害で、肉体的な性別に不快感を持ち、心の性別で日常生活を送ることを望みます。原因はわかっていません。
 厚労省などによると、性同一性障害で国内の医療機関を受診した人は、2015年末までに延べ約2万2000人。性別変更した人は、2016年末までに約6900人にとどまります。

 2017年11月29日(水)

nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:健康