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■iPS細胞の集団から分化能力が高い細胞を分離 大阪大、京都大などが成功 [健康ダイジェスト]

 人の不均一なiPS細胞(人工多能性幹細胞)の集団から、さまざまな組織に分化する能力が高いタイプの細胞を分離し、培養する手法を開発したと、劉莉大阪大学特任准教授(前・京都大学特定准教授)らの研究チームが29日、アメリカの科学誌「ステムセル・リポーツ」(電子版)に発表しました。
 従来の技術で作製したiPS細胞は均一ではなく、異常な細胞が混ざっている可能性もあり、目的の細胞を得るのに効率が悪いという課題がありました。
 大阪大と京都大などの研究チームは、ゼラチンを材料にした超極細で繊維状のナノファイバーを使って板状の実験器具を作り、iPS細胞の集団を単一の細胞ごとに分離。この中に、平たくなる単層構造の細胞とドーム状に盛り上がる多層構造の細胞という2つのタイプがあることがわかりました。
 このうちドーム状の多層構造の細胞は、分化する能力が高いことが判明。このタイプの細胞は、ゼラチンナノファイバーの上でしか維持できず、ゼラチンナノファイバーが培養にも適しているといいます。
 劉特任准教授は、「ナノファイバーを使えば均一で高品質な細胞を再生医療現場に安定的に提供することが可能になる」としています。

 2018年6月30日(土)

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■東京都内の花粉観測量、10年平均比較で2・7倍 スギやヒノキの放置が原因か [健康ダイジェスト]

 東京都内のスギとヒノキの花粉観測量を10年平均で比べた場合、2002〜2011年は1985〜1994年の2・7倍になるとの調査結果を、耳鼻咽喉科の医師らでつくるNPO法人「花粉情報協会」がまとめました。安価な外国産木材の輸入が増え、花粉を出す国内のスギやヒノキが伐採されずに放置されたことが原因とみられます。
 調査は東京都内の品川を観測地点とし、屋外に置いたスライドガラスで1平方センチ・メートル当たりの花粉数を毎日、計測。花粉の量は各年の気象条件に左右されるため、10年平均で傾向をみました。
 その結果、1985〜1994年は平均1859個でしたが、2002〜2011年は4949個と2・7倍に増加していました。
 耳鼻咽喉科医の今井透理事長は、「戦後、植林されたスギやヒノキは成長すると花粉を出す。花粉を出さない新しい品種への植え替えを進める必要がある」と話しています。

 2018年6月29日(金)

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■ぜんそく、重症化につながる「線維化」の仕組み解明 千葉大 [健康ダイジェスト]

 千葉大学の研究チームが、ぜんそくで気管などの組織が硬くなり、重症化につながる「線維化」の仕組みを解明したと発表しました。重症患者の治療に道を開く可能性があるとしています。
 ぜんそくは、慢性化して気管などの組織が硬くなる線維化が進むと、炎症を抑える薬が効きにくくなって息切れ、呼吸困難を引き起こす重症化につながることから、千葉大学大学院の中山俊憲教授などの研究チームは、新たな治療法の開発に向け人のぜんそくをモデル化したマウスで線維化の仕組みを調べました。
 その結果、ぜんそくのマウスの免疫細胞の中には、ダニなどアレルギーの原因と結び付くと、「アンフィレグリン」という特定のタンパク質を分泌するものがあり、「好酸球」という白血球がこのタンパク質と反応して、線維化を引き起こす「オステオポンチン」という特定のタンパク質を大量に生み出していることがわかったとしています。
 実際に、ぜんそくのマウスに好酸球の反応を抑える薬を投与したところ、気管の線維化を改善できたといいます。また、人の組織を使った実験でも、同じ仕組みで線維化が進むことをうかがわせるデータが得られたとしています。
 中山教授は、「これまで難しかった重症のぜんそく患者の治療に道を開く可能性がある。5年から7年程度かけて新たな治療薬の開発に取り組みたい」と話しています。

 2018年6月29日(金)

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■インフルエンザで肺組織に障害、マウスで観察に成功 東京大医科学研究所  [健康ダイジェスト]

 インフルエンザに感染したマウスの肺を生きたまま観察し、蛍光技術を使って免疫細胞の動きや血流の変化、肺組織の損傷の様子をとらえることに初めて成功したと、東京大学医科学研究所の河岡義裕教授(ウイルス学)らの研究チームが25日付のアメリカの「科学アカデミー紀要」(電子版)に発表しました。
 致死率の高いウイルスのほうが通常の季節性のウイルスよりも、血流速度の低下が早く起きるなど症状の違いも、判明しました。
 インフルエンザに感染した肺ではさまざまな免疫反応が起こりますが、肺は呼吸により動くため、生体で観察するのは困難でした。研究チームは、感染した細胞が蛍光を発するよう遺伝子改変したウイルスをマウスに感染させ、さらに肺の血流や免疫細胞の一種「好中球」を蛍光で光らせる薬剤を血管から投与。麻酔下で開胸し、特殊な顕微鏡を使って一定間隔で撮影した肺の画像を詳細に解析しました。
 致死率50%で流行が懸念されるH5N1型鳥インフルエンザと、季節性のウイルスをそれぞれ感染させたマウスに加え、健康なマウスも比較。感染したマウスの肺では血流が遅くなり、感染初期に好中球の数が増える一方、好中球の移動速度は落ちることがわかりました。そうした変化はH5N1型のほうが季節性より早く生じ、炎症や肺胞が潰れるなどの組織障害が激しく起こっていました。
 H5N1型が重篤化する理由の解明に役立つと期待され、河岡教授は「結果を数値化することもでき、ウイルスの特性の解明や治療法の開発などに役立つ可能性がある。また、他のさまざまな呼吸器感染症にも応用できる」と話しています。

 2018年6月28日(木)

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