■病気 性感染症(STD) [病気(さ行)]
日本では、コレラ、赤痢といった法定伝染病は以前に比べて、少なくなりました。代わって、新たな感染症が増えています。
世界的な問題になっているエイズも、その一つです。また、クラミジア感染症、性器ヘルペス感染症など、その他の性感染症(STD=sexually transmitted diseases)も増えています。これらは若者の間で流行していることに加えて、一般市民に広がっていることで社会問題になっています。
性の解放、男性同性愛の増加、無防備な性行為、軽いSTDの放置などが、流行拡大の要因と考えられています。
また、海外との交流が活発になることで増えてきた輸入感染症も、増加の一途をたどっています。輸入生鮮食品などによる寄生虫病も、その一つです。
インフルエンザも、代表的なウイルス感染症です。香港でニワトリから人に感染した新型インフルエンザも記憶に新しいところで、ここ数年のインフルエンザの流行はA香港型が主流なのですが、同じA香港型でも突然変異で少し変化したウイルス株が次々と現れて毎年、重症な症状を引き起こしています。
最近、報告された新しいウイルス感染症では、成人T細胞白血病リンパ腫(ATLもしくはATLL=adult T-cell leukemia-lymphoma)があります。これは昔からあった白血病の一種ですが、キャリアからの輸血、性交、母乳などにより感染します。
感染症の多くは、気を付けていれば防げる病気です。感染源との接触に十分注意するほか、日常の健康状態に配慮し、環境や食生活の衛生保持が必要です。もちろん、有効な予防接種も大いに役立ちます。
いろいろなSTD
性感染症(STD)については、セックスによって移る病気全般を指しています。かつては「性病」と呼ばれ、「遊んでいる人の病気」というイメージが強かったのですが、現在はインフルエンザなどと同じ感染症の一つと考えられ、セックスをしたことのある人なら誰でもかかる可能性のある病気、と見なされています。
STDの病気の範囲はとても広く、クラミジア、性器ヘルペス、淋菌感染症、毛じらみ・疥癬(かいせん)、子宮頸がんの原因になる尖形(せんけい)コンジロームやウイルス性肝炎(B型・C型肝炎)などがあり、さらにエイズ(HIV感染症)や成人T細胞白血病(ATL)まで含まれるわけです。
以下、特に流行して問題の多い病気に絞って、STDを紹介しましょう。
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クラミジア |
クラミジアとは、セックスによりクラミジア・トラコマティスという病原体に感染する病気。潜伏期間は数日だが、感染した病原体が少ないと、1カ月ぐらい後に発病する場合もある。 |
感染初期であれば、適切かつ十分な抗生物質の飲み薬により、通常2週間ほどで治療可能。 |
尖形(せんけい)コンジローム |
セックスにより、ヒトパピローマウイルス(HPV)に感染して発症。 |
患部を電気で焼いたり、凍結させて取り除いたりする外科的手術による治療法と、患部に軟膏を塗る治療法とがある。 |
淋菌感染症 |
淋菌と呼ばれる細菌によって感染。1回のセックスで移る確率は50%とも言われ、かなり強い感染力を持つSTDが淋菌感染症だ。 |
適切かつ十分な抗生物質を4-7日投与するが、治癒の判定は専門医にゆだねるべき。自己判断で投薬の中止をしてはいけない。筋肉注射が有効な場合もある。 |
性器ヘルペス |
性器ヘルペスは、単純ヘルペスウイルスによって感染する。STDの中では、クラミジアに次いで発症が多い。 |
高熱や激痛などの重症のものには、抗ウイルス剤の注射や飲み薬が処方され、水ぶくれや潰瘍には軟膏が処方される。 |
毛じらみ・疥癬(かいせん) |
どちらも寄生虫によって感染。 |
体毛を剃ることが治療の第一歩。成虫は肌から離れると数時間で死んでしまうが、卵は生き続けるため駆虫剤を使うが、とにかく根気強い治療が必要。 |
HIV感染症(エイズ) |
HIV(ヒト免疫不全ウイルス)に感染して起こる病気。発病するとカリニ肺炎、カポジ肉腫という腫瘍などに侵され、全身が衰弱していく。1回のセックスで移る確率は0.1~1.0%と感染力はさほど強くはないものの、感染後、約10年間の潜伏期は症状が出ないため、見逃してしまうことも多い。 |
感染しているか否かは、血液検査でわかる。現在のところ特効薬はないが、抗ウイルス剤を飲むことで、発症を遅らせることができる。よい薬も開発されているので、根気よく治療を続けながら特効薬の開発を待つことも、可能。 |
詳しい病気の解説は四百四病の事典(http://ksjuku.com/jiten.html)へどうぞ
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