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■食中毒事件の重症患者に脳症多発 厚労省研究班設置へ [健康ダイジェスト]

 富山、石川、福井の北陸3県と神奈川県で20店舗を展開する焼き肉チェーン店「焼肉酒家えびす」での腸管出血性大腸菌による集団食中毒事件で、重症化した患者の多くが腎臓の働きが悪化するだけでなく、脳神経細胞が傷付く脳症も併発していることがわかりました。
 診療に当たる医師らは厚生労働省の研究班を作り、治療法や重症化する患者の見分け方などの検討を始めます。
 富山県などによると、腸管出血性大腸菌O111やO157に汚染されたユッケなどが原因とみられる今回の集団食中毒による入院患者は5月末現在で41人。そのうち31人が腎臓の働きが悪くなる溶血性尿毒症症候群(HUS)を起こしました。
 HUSは、腸管出血性大腸菌による食中毒で、重症化すると起こりやすい病状。平均して全患者の1~10パーセントが起こすとされています。一方、重い脳症を同時に引き起こす頻度は、それほど高くないとみられてきました。旧厚生省の研究班は、脳症発症はHUS患者の約5パーセントと報告しています。
 しかし、富山県などで治療に当たっている医師などによると、今回はHUSを起こした31人の約4割に当たる12人が脳症を起こしました。亡くなった4人も含まれ、多くの脳症患者が一時期は人工呼吸器が必要になるなど重篤な状態に陥りました。
 HUSと脳症を起こした患者2人の治療に当たっている谷内江昭宏・金沢大教授(小児科)は、「詳細はまだ不明だが、従来より脳症が多く、しかも重症になる印象を受ける」といいます。
 これまでの腸管出血性大腸菌の報告では、重い脳症が起こる場合、多くはHUSとほぼ同時期に発生しました。今回はHUS発症から数日経ってから症状が急速に変化し、脳症が起こることも少なくなかったといいます。
 重症の脳症が多い理由はまだ解明されておらず、治療法も確立していません。今回のケースでは、医師らは早めに特殊な透析を実施するなど試行錯誤しているのが現状。
 治療法の確立と重症の脳症が起こる可能性の有無を早期に見極める方法を見付けるため、富山県の医師らが中心になり、厚生労働省の研究班を近く立ち上げます。富山県や石川県などに入院している重症患者の症状や治療歴などの情報を交換し、なぜ脳症が多いのかという原因解明にも取り組む方針です。
 食中毒の原因となっているO111やO157などの腸管出血性大腸菌は、腸内でベロ毒素を産生して、激しい腹痛、水様性の下痢、血便を引き起こし、特に小児や老人では、HUSや脳症を引き起こしやすいので注意が必要です。脳症を合併すると、刺激に過敏になり、重症の場合、けいれんを起こしたり、意識がなくなり死亡する場合もあります。

 2011年6月6日(月)




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