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■国内初、慢性肉芽腫症に遺伝子治療 成育医療研究センター [健康ダイジェスト]

 国立成育医療研究センター(東京都世田谷区)は11月7日、白血球の機能が生まれ付き異常で重い感染症を繰り返すX連鎖慢性肉芽腫症の20歳代男性に対する造血幹細胞遺伝子治療を、国内で初めて7月に実施したと発表しました。
 6週間経過後も、血液の機能が一定程度保たれていることが確認されたため、同センターは「生着した」と判断し、男性は全身状態良好で10月下旬に退院しました。6週間を超えて機能が一定程度保たれているのが確認されたのは、世界で2例目。
 治療は、男性から取り出した造血幹細胞に遺伝子を導入して培養した上で、体内に戻す手法。会見した同センター成育遺伝研究部長の小野寺雅史氏は、「造血幹細胞移植が有効な疾病については、同じような戦略が取れるのでは」と、期待を示しました。
 X連鎖慢性肉芽腫症は、免疫にかかわる1つの遺伝子の異常で発症する単一遺伝病で、血液成分のうち単球や好中球などの白血球が作れず、殺菌能力が低下する国指定の難病。患者は国内に200人前後おり、重篤な感染症に度々罹患します。男性も、肺や肝臓の感染症で10回以上入院しました。
 従来の治療法として、白血球や赤血球などを生み出す造血幹細胞の移植がありますが、白血球の型であるHLA適合ドナーが見付からなかったり、見付かっても全身状態が悪くて移植自体が危険な場合も多々あります。
 今回、同センターでは、患者の末梢血を採取し、遺伝子を細胞へ運ぶ運搬役として改変されたウイルスベクターを用いて、正常な遺伝子を注入。培養後に、点滴で患者の体内に戻しました。実施日は、今年の7月22日。結果として、好中球や、殺菌能力を示す活性酸素産生能が確認されました。
 現在まで同様の治療は世界で4例実施され、1例目を除いて、6週間以内に血液の機能がほぼ失われていましたが、今回は6週目以降も血液の機能が一定程度、保たれており、今後も15年以上にわたって効果と副作用を観察します。
 原発性免疫不全症に対する造血幹細胞遺伝子治療としては、2003年のアデノシン・デアミナーゼ欠損症(ADL欠損症)に続いて2例目。遺伝子治療は、移植に比べて、免疫応答による合併症の可能性が低く、前処置が軽度で致死的な感染症を引き起こす危険性が少ないとされます。
 小野寺氏は、今後、白血病などが発症しないか見守りながら、5年間で5例程度の実績を積み、ADL欠損症やウィスコットアルドリッチ症候群の患者に対しても、同様の手法の治療を試みたいとしています。

 2014年11月9日(日)

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