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■新しい受精卵診断を承認 日本産科婦人科学会 [健康ダイジェスト]

 体外受精をしても妊娠できなかったり流産を繰り返したりする女性を対象に、受精卵の染色体を特殊な検査法で調べ、異常がないものだけを子宮に戻す、新しい受精卵診断の臨床研究案を、日本産科婦人科学会の倫理委員会がまとめました。
 出産の確率を高められるか調べるのが目的ですが、ダウン症などの病気があるかどうかについても同時にわかることから議論を呼びそうです。
 新たな受精卵診断の臨床研究案は、日本産科婦人科学会の倫理委員会が11月25日承認したもので、対象となるのは、体外受精をしても3回以上着床しなかった女性と、流産を2回以上経験した女性です。
 体外受精の際、受精卵の染色体に異常がないかどうか「アレイCGH」と呼ばれる方法で調べ、異常がない受精卵を子宮に戻すことで流産のリスクを減らし、出産の確率を高められるかを調べます。
 ただし、この検査法では、23対あるヒトの染色体の異常が一度にすべてわかるため、流産を引き起こす染色体の異常だけでなく、ダウン症など出産の可能性がある染色体の病気や、男女の性別についても一緒に結果が出ます。
 倫理委員会では、これらの検査結果について、どこまで本人に伝えるかは、今後さらに議論するとしていますが、専門家は、より完璧な赤ちゃんを選ぶという傾向を助長するなど倫理的な問題も生じるのではないかと指摘しています。
 また、学会の指針でも、受精卵の診断は、重い遺伝病の子どもが生まれる可能性がある場合などに限るとしており、不妊治療を受ける女性一般を対象に、流産の予防を目的とした検査は認めていません。
 日本産科婦人科学会の苛原稔倫理委員会委員長は、「学会の指針を変えるわけではない。あくまでも出産を望む妊婦にとって効果のある方法か、医学的な検証のために行うものだ」と話しています。
 学会では今後、シンポジウムを開いて広く意見を聞くなどした後、理事会で実施の可否を協議し、承認されれば、来年にもこの臨床研究をスタートすることにしています。
 臨床研究案では、異常がない受精卵を選んで子宮に戻し、出産を目指す手法が流産回避に有効かどうかを検証。期間は3年間程度で、体外受精に3回以上失敗した女性や流産を2回以上繰り返す女性など数百人規模を対象に、従来の受精卵診断に一定の実績がある病院で実施します。
 日本ダウン症協会の玉井邦夫代表理事は、「受精卵の段階で障害がわかることで、生まれてからの子どもの姿を想像することもなく、出生前診断よりも安易に、その受精卵を選ばない判断をしてしまうのではないかと懸念している。学会の中だけではなく、もっと一般の国民に、この技術や倫理的な問題を理解してもらい、議論する必要があると思う」と話しています。

 2014年12月2日(火)

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