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■加熱不十分な豚や野生動物の肉を食べた人は献血控えて 日赤、E型肝炎防止に辞退を呼び掛け [健康ダイジェスト]

 血液製剤の輸血で80歳代の女性がE型肝炎ウイルスに感染し、昨年11月に劇症肝炎で死亡していたことが1月末、厚生労働省の有識者会議で報告されました。E型肝炎ウイルスは主に、よく加熱されていない豚や野生動物の肉を食べることなどで感染します。有識者会議で報告した日本赤十字社は、当分の間、加熱不十分な肉を食べるなどした人に献血の自粛を呼び掛けています。
 日赤によると、死亡した80歳代女性は多発性骨髄腫を患い、抗がん剤治療を5カ月間受けた後、昨年7月に輸血を受けました。その後、10月には肝臓機能の数値が悪化したため抗がん剤投与が中止されました。いったん快方に向かったことで抗がん剤治療が再開されると、容体が悪化し、11月に劇症肝炎で死亡しました。肝臓機能の低下に加え、輸血でE型肝炎ウイルスに感染したことが複合的な要因となり、劇症肝炎を発症したとみられています。
 献血者の血液から、死亡した女性から検出されたものと同じE型肝炎ウイルスが検出されています。献血者はE型肝炎を発症していなかったものの、献血の約2カ月前に生の鹿肉を食べ、E型肝炎に感染した可能性があるといいます。
 E型肝炎は、E型肝炎ウイルスに汚染された水や肉などの摂取で感染します。食品安全委員会の委員も務めた川崎市健康安全研究所の岡部信彦所長は、「症状がないまま治癒する場合が大多数のため、感染に気付かない人も少なくない」と指摘しています。
 日赤によると、2002年以降、輸血でE型肝炎ウイルスに感染しE型肝炎を発症したのは23件で、軽症だったケースが多いといいます。女性の死亡を受け、日赤はこれまで血液のE型肝炎ウイルス混入の検査をE型肝炎患者が多い北海道のみで実施していましたが、今後全国に広げて再発防止を図ります。また、低価格で検査できる試薬の開発も急いでいます。
 しかし、検査の導入には少なくとも1~2年かかるため、当面は感染の恐れがある献血者に対して、辞退を呼び掛けます。医療機関に対しては、輸血用血液製剤に感染症のリスクがあることを改めて周知します。ただし、血液中にE型肝炎ウイルスが残っている期間は長くはないといいます。
 日赤広報は、「肝炎ウイルスは、輸血を受けた人が後に感染する可能性がある。肝炎罹患の有無などの問診に正しく回答してもらうなど『責任ある献血』への協力をお願いしたい」としています。
 E型肝炎は、感染から発症までの潜伏期間が2〜9週間(平均6週間)と長いこともあり、感染源が特定されないことも少なくありません。国立感染症研究所の感染症発生動向調査によると、2012年から2016年までにE型肝炎として届け出があった701人のうち、推定感染源の記載があったのは約4割の290人にとどまっています。
 推定感染源で最も多かったのが豚(肉・レバー)で121人、次いでイノシシ34人、鹿32人の順でした。豚では半数の61人がレバーを食べており、29人が生で食べていました。
 食品衛生法で2015年6月から豚の肉・レバーの生食用提供が禁止さましたが、2016年の感染者にも生食した人がいました。「加熱用といいながら生レバーを提供する店や、焼かずにこっそり生で食べる人がいる」との東京都内の保健所担当者の指摘もあり、禁止以降も生食する人が絶えないのが感染の一因と見なされます。
 新たなグルメとして注目され、鳥獣被害防止対策として農林水産省が活用を推進する鹿やイノシシなどジビエ(野生動物)の肉・レバーも要注意。ジビエの肉・レバーは生食での提供が禁止されていないものの、E型肝炎ウイルスに汚染されていることがあります。生や加熱不十分で食べたことが原因での感染が、これまでにも多数報告されています。
 岡部所長は、「E型肝炎のほとんどは自然治癒するとはいえ、中には劇症肝炎に進展し、死亡することもある。特に妊婦や高齢者はリスクが高い。豚やジビエの肉・レバーは中心部まで十分に加熱して食べてほしい」と話しています。

 2018年2月23日(金)

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