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■中国で世界初のゲノム編集の双子誕生か 生命倫理面で論議も [健康ダイジェスト]

 中国の南方科技大学(広東省深圳市)の研究者が、遺伝子を効率よく改変できる「ゲノム編集」技術を人の受精卵に適用し、双子の女児が11月に誕生したとAP通信などが26日、報じました。事実なら、ゲノム編集で遺伝子を操作した子供が生まれたのは世界で初めて。ただ生命倫理や安全面での課題が多く、議論を呼びそうです。
 大学側はホームページで、「学内では報告されていない。学術倫理や規範に反する」との声明を出し、調査を進める方針。
 同大の賀建奎副教授が、AP通信や中国メディアに語りました。27~29日に香港で開くゲノム編集の国際学会で詳細を発表する見通し。
 エイズウイルス(HIV)が細胞に侵入する入り口となるタンパク質の働きを遺伝子操作で抑えることで、エイズ感染を防ぐ狙いといいます。7組の男女が実験に参加し、1組が妊娠・出産しました。男性全員がHIVに感染しているものの、実際に女児がHIVの耐性を持って生まれてきたかどうかは不明で、今後18年かけて追跡調査するとしています。
 これまで遺伝性難病の治療などを目的としたゲノム編集の研究は、海外で進められてきました。今回実験した賀副教授はアメリカのスタンフォード大などに留学した後、中国に戻り研究を続けました。ゲノム関連のベンチャー企業2社も起業したといいます。
 ゲノム編集は生命の設計図とされる遺伝情報を精度よく改変できる画期的な技術ですが、安全性は確立していません。ある病気に感染しないように操作しても、他の病気にかかりやすくなる可能性があります。生命倫理面でも、望み通りに遺伝子を書き換える「デザイナーベビー」への応用につながりかねないとの懸念がありました。
 ゲノム編集で改変した遺伝子が子孫に伝わる恐れがあり、ドイツ、フランスなどは受精卵のゲノム編集を法律で禁止しました。日本は子宮に戻す医療応用は当面禁止するものの、基礎研究のみ認める指針を国が作成中で、2019年4月にも解禁する見通しです。
 南方科技大学は声明で、賀副教授が2月から休職中であることも明らかにしました。
 生命倫理に詳しい北海道大学の石井哲也教授は報道を受けて、「中国では指針でこのような遺伝子改変は禁止となっているはずで、まだ論文が出ていないので真偽のほどは定かではない。生まれてから健康障害を起こす可能性があり、追跡調査が必要だ」と話しています。

 2018年11月26日(月)

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