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■がんゲノム医療、全国40病院で 30カ所超を拠点病院に指定 [健康ダイジェスト]

 厚生労働省はがん患者の遺伝情報から最適な治療薬を選ぶ「がんゲノム医療」を全国で受けられるよう医療提供体制をつくります。遺伝子検査を実施し治療方針を決める病院は、中核拠点の大病院11カ所に30カ所程度を追加し、合計約40カ所に整えます。
 遺伝子検査が示した保険外の抗がん剤治療と、保険医療を組み合わせた混合診療を迅速に受けられるようにします。がんゲノム医療は2019年春にも保険適用になる見通しで、がん患者の治療の選択肢が広がりそうです。
 がんゲノム医療で使う遺伝子パネル検査は、多数の遺伝子を一度に検査して最適な抗がん剤を選び出します。効果が高く副作用も少ないとされます。一部の検査は春にも保険適用される見込み。
 厚労省は国立がん研究センター中央病院、東京大学病院、京都大学病院など11病院を「中核拠点病院」に指定しましたが、保険適用が始まれば、対応し切れなくなる恐れもあり、30カ所超を「拠点病院」として2019年度中に追加指定します。実際の治療に当たる全国135カ所の「連携病院」と合わせ、全国で医療を提供する体制が整います。
 混合診療を迅速に受けられる仕組みもつくります。日本は混合診療を原則禁止しており、保険診療と保険外診療を組み合わせた治療を受けると、保険診療分も含めて医療費は全額自己負担になります。遺伝子パネル検査を保険適用しても、そこで導かれた治療法が混合診療ルールに抵触すれば患者の医療費負担は重くなり、普及の制約になりかねません。
 そのため厚労省は例外として混合診療が認められる「患者申し出療養」の仕組みを使いやすくします。該当すると薬代は全額自己負担のままですが、保険診療分は原則3割ですみます。
 国立がん研究センター中央病院が抗がん剤治療の計画書を事前に作り、各地の病院が共有。過去の事例から病院内の準備期間を2カ月程度に短縮できる見込みで、患者の申し出から3カ月半程度で治療を始められそうです。
 遺伝子検査で最適な治療法と示されそうなのは保険適用外の抗がん剤が大半とみられ、保険外の治療を希望する患者が大幅に増える可能性があります。胃がんに効果がある保険適用の抗がん剤を、保険外となる肺がんの治療で使うことが有効という結果が示されることなどがあり得ます。
 国立がん研究センターによると、生涯でがんに罹患するリスクは男女ともに「2人に1人」。がんゲノム医療は一人ひとりの患者の状況に合わせた「個別化治療」につながると期待を集めます。ただ、すべてで有効な治療法に結び付けられるわけではありません。数十万円に上る検査費用が保険適用されれば、患者の自己負担は原則3割に抑えられる一方、保険財政を圧迫する恐れもあり、費用対効果の検証が必要になりそうです。

 2019年1月15日(火)

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