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■お産の事故報告書、半数以上が非公表 運営法人が条件を設定 [健康ダイジェスト]

 お産の事故で赤ちゃんが重い脳性まひになった場合に補償金を支払う「産科医療補償制度」に基づく事故報告書(要約版)の半数以上が非公表になっています。従前はウェブサイトで全件公表していましたが、制度の運営法人が公表の条件を設けたためで、非公表は少なくとも1339件を数えます。
 事故報告書の公表は、事故から得られた知見や教訓を再発防止に生かす意義があり、専門家らから批判が出ています。
 産科医療補償制度は、日本医療機能評価機構が2009年から運営しています。事故の再発防止のため、補償金が支払われた事故を専門家らが分析し、原因や再発防止策などをまとめた報告書を赤ちゃんの保護者と医療機関に郵送後、要約版をウェブサイトで公表していました。親子や医師は匿名で、お産の時期や医療機関名は載せていません。
 要約版は、医療者の研修や研究のほか、事故が適切に分析されたかを患者団体が確認するなどの目的で活用されていました。
 しかし、日本医療機能評価機構は昨年8月から要約版の公表を中止。その後、赤ちゃんの保護者と医療機関の一方でも公表を拒めば、公表しない方針にしました。
 日本医療機能評価機構は、法的には両者の同意がなくても公表できると判断したものの、担当者は「その判断に判例などのお墨付きがあるわけではない。個人情報保護の意識が高まっていることなどから、同意をとったほうがいいと判断した」と説明しています。一方、要約版を公表していたことで起きたトラブルはないといいます。
 日本医療機能評価機構は医療機関と保護者に、公表に同意するかどうかの確認文書を送付。1月末から、同意を得た要約版の公表を始めました。方針変更前なら公表していた事故は少なくとも計2188件あるものの、4月8日までに公表されたのは849件。約6割に当たる1339件は非公表のままです。日本医療機能評価機構は、「同意は得たが作業上まだ公表していない事例はある」としています。
 長女をお産の事故で亡くし、この産科医療補償制度に基づく事故の再発防止策をまとめる委員会メンバーの勝村久司さんは、「1件ごとに脳性まひの子を育てる大変な体験がある。保護者は事故を2度と起こしてほしくないという思いが強い。事故の原因分析の目的が再発防止であることを踏まえれば、1件でも要約版の公表を止めてはいけない」と話しています。
 この産科医療補償制度での原因分析の経験がある加藤高志弁護士は、「法的には報告書の公表に同意はいらないと認めながら、機構が同意を必要としたのは理屈が通らない。公表に消極的な医療機関への配慮ではないか」と指摘しています。
 国の運輸安全委員会による航空、鉄道、船舶の事故調査報告書は、再発防止に役立て、調査の透明性を保つため、公表されています。

 2019年4月12日(金)

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