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■けがで傷付いた脳、幹細胞の移植で再生 バイオベンチャー、治験で確認 [健康ダイジェスト]

 バイオベンチャーのサンバイオ(東京都中央区)は、幹細胞を用いて、けがで傷付いた脳の神経組織の修復を図る再生医療の治験で、体を動かす機能の改善を確認したと明らかにしました。再生医療製品としての製造販売承認を目指し、来年1月までに厚生労働省に申請する予定です。
 アメリカで4月にあったアメリカ・脳神経外科学会で発表しました。健康な人から採取した骨髄液から、骨や血管などになる能力がある「間葉系幹細胞」を取り出して大量に培養し、細胞薬として再生医療製品にします。これを患者の損傷部のそばに注射で移植します。幹細胞が脳内の神経細胞の再生を助け、運動機能の改善につながると、同社は説明しています。
 治験は日本とアメリカの慢性期の外傷性脳損傷の61人で実施し、幹細胞を移植した46人と、移植しなかった15人を比較しました。手足を動かすといった運動機能を評価する指標では、移植したグループは平均で8・7ポイント改善。移植しなかったグループも2・4ポイント改善したものの、同社は「統計学的に有意な差が確認できた」としました。
 移植した全員に頭痛などが起きましたが、90%以上は細胞薬と関連がなかったとみられることから、同社は、安全性の懸念は認められなかったとしました。他人由来でも間葉系幹細胞は基本的に、拒絶反応が起きないといいます。
 外傷性脳損傷の国内の患者数は正確にはわかっていませんが、同社によると約4万人。 現状では、リハビリ以外に有効な治療法はないといいます。厚労省は先月、画期的な新薬などを本来より短期間で審査する「先駆け審査指定制度」の対象に指定しました。
 再生医療に詳しい藤田医科大学の松山晃文教授は、「抗炎症作用と血管が新たにできることが考えられる。有効な治療法になる可能性がある」と話しています。
 サンバイオの森敬太社長は、「脳は再生しないといわれてきた中、試験で脳の再生を示せた」と意義を語っています。
 一方、この細胞薬を使った慢性期脳梗塞(こうそく)の患者を対象とした治験では、主要な評価項目で一定の有効性を確認できませんでした。

 2019年5月7日(火)

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