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☐用語 サラセミア [用語(さ行)]

[蟹座]正常なヘモグロビンを作ることができず、貧血を起こす疾患
 サラセミアとは、血液中の赤血球に含まれるヘモグロビン(血色素)の合成障害によって、貧血を来す疾患。地中海貧血とも呼ばれます。
 血液にはさまざまな細胞が含まれ、骨の中心にある骨髄で作られます。ヘモグロビンは赤血球の主要な構成要素であり、肺から各臓器や組織に酸素を運び、不必要になった二酸化炭素を持ち帰って、肺から外に出すなど重要な働きをしています。合成障害によって正常なヘモグロビンの産生が不足すると、全身に運ばれる酸素の量が減少し、体が酸素不足になって貧血を起こし、めまいや、立ちくらみが現れたりします。
 ヘモグロビンは、141個のアミノ酸を持つα鎖グロビンと呼ばれる蛋白(たんぱく)質と、146個のアミノ酸を持つ非α鎖グロビンと呼ばれる蛋白質の各2分子からなる構造をしています。4分子には鉄を含むヘムが1個結合しており、計4個のヘムが酸素と結合し、各臓器や組織に酸素を運んでいます。
 サラセミアは、α鎖グロビンや非α鎖グロビンの合成障害によって、正常なヘモグロビンを作ることができず、1つ1つの赤血球が小さい小球性で、その1つの赤血球に含まれるヘモグロビンの量が少ない低色素性という小球性低色素性貧血を示します。α鎖グロビンの異常によるものをαサラセミア、β鎖グロビンの異常によるものをβサラセミアといいます。
 サラセミアの発症者は生まれ付き、グロビンを作る設計図に相当する遺伝子に異常があるため、正常なヘモグロビンを作ることができません。常染色体優性遺伝という形式で遺伝する疾患で、両親のいずれかがサラセミアを発症していた場合に、子供に遺伝する可能性が高くなります。自然発生することは、ほとんどありません。
 もともと地中海に面した地域に多く、日本人の発症者は少ないと考えられていましたが、最近になって日本人にも決して少なくないことが調査研究で明らかになっており、九州や西日本に多いとされています。
 日本人におけるサラセミアの頻度は、αサラセミアで新生児3500人に1人、βサラセミアで新生児1000人に1人程度であると見なされています。αサラセミア、βサラセミアともに軽症型であるため、赤血球の寿命が短くなって壊れ、ヘモグロビンが多量に血球外に出される溶血という現象が発生する溶血性貧血の割合は少なく、特にβサラセミアでは全体の6%にしか溶血性貧血は認められません。
 遺伝子の異常により軽症型から重症型まであり、サラセミアの症状はさまざまです。発症者はヘモグロビンが不足するために貧血を起こし、黄疸(おうだん)、皮膚潰瘍(かいよう)、脾腫(ひしゅ)、胆石、肝機能障害などの症状を示しますす。心臓や脳に運ばれる酸素が少なくなることで、心不全や意識消失を引き起こすこともあります。
 日本人の場合は軽症型が多く認められ、一般には小球性低色素性貧血の症状が生後2~3カ月から出始めます。自覚症状としては、皮膚が白くなる、成長が遅くなる、気難しくなったりふさぎ込んだりする、お腹が張る感じがするなどがあります。
 日本人にまれな重症型のβサラセミアで、父親由来と母親由来の両方の遺伝子に異常があるホモ接合体、父親由来と母親由来のいずれか一方のみの遺伝子に異常が認められる複合ヘテロ接合体では、不均衡なヘモグロビン産生が赤血球膜障害を招いて溶血性貧血を起こし、一生涯、輸血を余儀なくされます。顔面の骨や頭蓋(ずがい)骨が通常よりも肥厚化するサラセミア様顔貌(がんぼう)を示すこともあります。
 胎児のうちに重症型のβサラセミアのホモ接合体、複合ヘテロ接合体が診断されれば、子宮内胎児死亡を防ぐための胎児輸血や、研究段階である胎児遺伝子治療への道が開けます。
[蟹座]サラセミアの検査と診断と治療
 小児科、ないし血液内科の医師による診断では、血液検査を行い、血液に含まれる細胞の数や形態などを調べます。ヘモグロビンA2やヘモグロビンFという異常なヘモグロビン、形態が崩れたり壊れたりした赤血球が含まれていないかどうか確認します。
 次に骨髄検査を行い、腰骨の中の骨髄をほんの一部を針で採取します。採取した骨髄は、病理医が顕微鏡を使って、造血幹細胞の状態を詳細に観察します。さらに超音波検査を行い、腹の中にある脾臓や肝臓が大きくなっていないかどうか調べます。
 遺伝子検査では、グロビンを作る設計図に相当する遺伝子を調べて、どのような異常があるか調べます。複数の遺伝子異常が存在し、どの遺伝子異常があるかによって重症度が大きく異なるため、治療の選択が大きく変わります。
 小児科、ないし血液内科の医師による治療では、外来への通院により、貧血の改善を図ります。軽症の場合は、定期的に血液検査を行い貧血の有無をチェックします。不必要な鉄製剤の投与などを避け、妊娠や感染症の合併などの要因で一過性に引き起こされる貧血症状の増悪に注意を払います。
 重症の場合は、輸血療法を行い、不足しているヘモグロビンを補充します。輸血療法では、点滴と同じ要領で腕の静脈に針を刺し、1回で200~400mlの血液を補充します。血液検査を行って赤血球の値を確認しながら、月に数回、外来への通院により、血液補充を継続します。ヘモグロビンが補充されて運ばれる酸素が多くなるため、心臓や脳にかかる負担が減ることで自覚症状が改善します。
 場合によっては、数十年という長期間にわたって輸血療法を継続する必要があります。その際は、頻回な輸血の副作用である鉄過剰症が問題となります。鉄は心臓や肝臓に少しずつ蓄積するため、頻回の輸血により鉄が過剰になると、心臓や肝臓の機能が低下するため、経口除鉄剤の服用により、体内からの鉄の排出を促進する鉄キレート療法を併用します。また、鉄製剤の内服薬は禁止します。
 鉄キレート療法の副作用として、吐き気や下痢、嘔吐(おうと)、腹痛などの胃腸症状、腎(じん)障害が出ることがあります。
 重症型の一部の症例では、造血幹細胞移植が選択肢の一つとなります。HLA(ヒト白血球抗原)という型が一致する臓器提供者(ドナー) から提供された造血幹細胞を移植することで、血液を作る細胞を入れ替える治療で、サラセミアを完全に治すことのできる唯一の治療法です。




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■メタボを「未病」の段階で検出 富山大などが成功 [健康ダイジェスト]

 健康状態から病気状態になる直前に脳波などの「生体信号」が大きく変化すると考える理論をもとに、メタボリックシンドロームを「未病」の段階で検出することに成功したと富山大学と東京大学の研究チームが発表しました。メタボの予防や早期治療につながる可能性があるといいます。
 イギリスの科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」(電子版)に掲載されました。
 未病は、健康な状態と病気の状態の間の状態。研究チームは、生体信号の「揺らぎ」に着目した「動的ネットワークバイオマーカー理論(DNB理論)」から、揺らぎが大きくなった時点を未病の状態であると考えました。
 生後8週から10週でメタボを自然発症するマウスで、発症する前の3~7週まで1週間ごとに脂肪組織の遺伝子を解析。DNA(デオキシリボ核酸)の情報を複製したRNA(リボ核酸)が生み出される量を測って、DNB理論に基づくデータ解析を実施しました。すると、遺伝子の一部が生み出すRNAの量の増減幅が5週目だけ通常の3~4倍になることがわかりました。
 メタボは肥満に加え、高血糖・高血圧・脂質代謝異常のうち2つ以上が該当する状態ですが、今回の手法で、これらの症状が出る前に診断がつけられるといいます。
 研究チームの一員でもある富山大の斎藤滋学長は、「予防的、先制的医療ができるようになれば、次世代の医療を目指すには大きな成果だ」と話しました。

 2019年6月25日(火)

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■強制不妊の救済で一時金認定審査会を設置 厚労省 [健康ダイジェスト]

 旧優生保護法(1948~96年)下で不妊手術を強制されるなどした被害者に支給される一時金320万円について、厚生労働省は25日、明らかな手術記録などが確認できない人から申請があった場合に支給の可否を判断する認定審査会を設置しました。
 厚労省によると、認定審査会は弁護士や大学教授、医師ら計8人で構成されます。第一回目の認定審査会は、7月にも開かれる予定といいます。
 一時金の支給対象は救済法施行日の4月24日に生存している被害者で、手術記録などが確認できれば1人当たり320万円が支払われます。
 厚労省によりますと、6月16日の時点で246人が一時金の申請をしたということですが、不妊手術を受けたことを明確に証明することが難しい人たちがいます。このため、救済法には、不妊手術を受けた記録などが残っていない人たちは、認定審査会での審査を経て、一時金の対象になっているか判断されることになっており、25日、厚労省に認定審査会が設置されました。
 根本匠厚労相は閣議後の記者会見で、「厚労省としては優生手術等に関する当時の記録等が残されていない方についても、認定審査会において円滑な審査が行われるよう事務局としてサポートするとともに、審査結果に基づく速やかな支給に向けて全力で取り組む」と述べました。

 2019年6月25日(火)

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■手足口病、過去10年の同時期で最多 九州・近畿で警報レベル [健康ダイジェスト]

 主に幼い子供が感染し、手足や口の中に発疹ができる「手足口病」の患者数が、この時期としては過去10年で最も多くなり、国立感染症研究所は特に幼い子供のいる家庭では、こまめに手を洗うなど予防を徹底してほしいと呼び掛けています。
 手足口病は、手や足、口の中などに発疹ができるウイルス性の感染症で、主に幼い子供が感染します。まれに髄膜炎や脳炎などの重い症状を引き起こすことがあり、例年、夏場に患者数が最も多くなります。
 国立感染症研究所によりますと、6月10〜16日までの1週間に、全国およそ3000の小児科の医療機関から報告された患者数は1万2700人余りと、前の週から3800人余り増えました。
 1医療機関当たりの患者数は4・02人となり、この時期としては過去10年で最も多くなりました。
 1医療機関当たりの患者数を都道府県別にみると、佐賀県で16・91人、福岡県で15・66人、鹿児島県で12・76人、大阪府で10・05人、京都府で6・30人などと警報レベルの5人を超え、九州地方のほか近畿地方の一部で多くなっています。東京都は、前週の1・7倍超の1・65人でした。
 今年は特に「コクサッキーA6」という型のウイルスが多く検出されており、このウイルスが流行すると患者数が多くなる傾向がみられるということです。
 国立感染症研究所の藤本嗣人室長は、「感染しても症状がはっきり出ずにウイルスを排出する例もあり、特に幼い子供がいる家庭などでは、オムツを適切に処理したり、こまめに手洗いをしたりするなどして、予防を徹底してほしい」と呼び掛けています。

 2019年6月25日(火)

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