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■沢井製薬、胃炎薬の品質確認試験を不正な方法で実施 2015年から継続的に [健康ダイジェスト]

 大阪市に本社のある後発薬大手の沢井製薬は23日、九州工場(福岡県飯塚市)で製造する胃潰瘍や急性胃炎向けの後発薬で、厚生労働省に提出した承認書とは異なる方法で品質試験をしていたと発表しました。2015年以降、8年間にわたって不正が続いていました。後発薬では他社でも品質不正が相次いでおり、信頼の回復が求められています。
 不正があったのは「テプレノンカプセル50ミリグラム(サワイ)」。製造後3年が経過した薬のカプセルが、胃の中で問題なく溶け出すかを調べる試験(溶出試験)で不正がありました。カプセルに入っている中身を取り出し、劣化していない新しいカプセルに詰め替えて試験していたといいます。
 23日の記者会見で沢井製薬の木村元彦社長は、2023年4月に、九州工場の品質管理部門の担当者が代わったことを切っ掛けに不正が発覚したと説明しました。6月に外部の専門家や弁護士を含む特別調査委員会を立ち上げ、10月20日に報告書を受け取りました。7月には使用期限内のすべてのテプレノンを自主回収したとしています。
 木村社長は「(違うカプセルに)詰め替えをして試験してもよいという間違った認識が広がってしまっていた」と不正が起きた理由を説明しました。現場のリーダー格の社員が、誤った手順での試験を上層部からの指示であると誤認し、試験不正を繰り返していました。詰め替えは担当者間で、口伝えで指示されてきたといいます。
 健康被害については、「カプセルが溶けないため薬効が期待できないものの、今回の問題で健康被害の報告はないし、起こる可能性は非常に低い」としています。同様の試験不正は他の工場では行われておらず、九州工場でもテプレノンのみにとどまると説明しました。
 工場の操業停止については、「当局の判断に委ねる」として明言を避けました。厚労省の担当者は「行政処分に関してはまだ調査中の段階で未定。調査結果を踏まえた上で、不正に対しては厳正に対処していく」としました。省内からは「今回の不正に関しては特に健康被害が出るものではない」との声も出ており、慎重に処分内容を検討します。
 後発薬業界では品質を巡る不正が相次いでおり、2020年12月には小林化工が製造した真菌症の治療薬に睡眠導入剤の成分が混入し、服用後に意識を失うなどの健康被害が相次ぎました。2021年3月には日医工が、国が承認した工程とは異なる手法での製造を10年以上前から続けていたとして業務停止命令を受けました。
 品質不正を受けて小林化工は後発薬事業から撤退し、生産・物流拠点をサワイグループホールディングス(大阪市)が引き継いでいました。日医工は2022年5月に私的整理を申請し、企業再生ファンドのもとで経営再建を進めています。
 長生堂製薬(徳島市)や共和薬品工業(大阪市)などの後発薬メーカーも品質不正で行政処分を受けています。後発薬メーカーは規模が比較的小さく、品質検査などに十分な人員を配置できないことも、不正の一因になっているとみられます。
 小林化工や日医工の問題が発生して以降、供給力が大きく落ち込んだことで後発薬不足が表面化しました。大手である沢井製薬の供給が停滞すれば、後発薬の不足にさらに拍車がかかる可能性があります。

 2023年10月23日(月)

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■デング熱や新型コロナなどのウイルス増殖を抑える化合物を発見 北海道大 [健康ダイジェスト]

 北海道大学はデングウイルスや新型コロナウイルスの増殖を抑える化合物を発見しました。ウイルスに感染したマウスに化合物を投与すると、生存率が向上することを確かめました。製薬企業と連携し、数年以内に臨床試験(治験)を始めたい考えです。
 デングウイルスなどの遺伝情報はRNA(リボ核酸)に刻まれており、RNAからRNAを複製して新しいウイルスを作り出します。発見した化合物はRNAの材料となる物質に似た構造をしています。ウイルスが増殖する際にこの化合物を利用すると、RNAの複製が失敗し、ウイルスの増殖を抑えることができます。
 新型コロナウイルス治療薬のラゲブリオやベクルリーも同様にRNAの複製を失敗させる仕組みです。「効果は同等もしくはやや弱いが、安全性は高そうだ」と北海道大学の前仲勝実教授は話しており、発見した化合物を体内に投与した際、生物の遺伝情報に変異を引き起こす度合いが検出限界以下だったことを確かめました。
 デングウイルスに感染したマウスに化合物を飲ませたり、新型コロナウイルスに感染したマウスに注射したりしたところ、いずれもマウスの生存率が向上しました。例えばデングウイルスに感染させた直後に化合物を多く投与すると、感染から16日たっても6割が生存しました。化合物を投与しなかったマウスは10日で全滅しました。
 デングウイルスや新型コロナウイルス以外にも、日本脳炎やジカ、黄熱などRNAを遺伝情報に持つさまざまなウイルスに対して効果があることも、細胞実験で確認しました。特にデング熱やジカ熱は有効な治療薬がなく、世界的に問題となっています。現在連携する企業を探しており、まずはデング熱で数年以内に治験を始めたいとしています。

 2023年10月23日(月)

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■ES細胞の医療製品、初の承認申請へ 国立成育医療研究センター、肝臓病の赤ちゃん治療に [健康ダイジェスト]

 重い肝臓病の赤ちゃんに、体のさまざまな細胞になれるES細胞(胚性幹細胞)から作った肝細胞を移植する国立成育医療研究センターの臨床試験(治験)で、安全性と効果が確認できたとして、企業を通じて本年度中に再生医療等製品として国に承認申請することが23日、明らかになりました。
 承認されれば来年度中にも実用化の可能性があり、国内初となります。ES細胞を用いた治療は、海外では目の病気や脊髄損傷などを対象に治験が進んでいるものの、実用化の報告はまだありません。
 生まれ付き有毒なアンモニアが分解できずにたまる「尿素サイクル異常症」の赤ちゃんが対象。8000~4万4000人に1人の割合で発症します。
 不妊治療で余った受精卵から作製したES細胞を肝細胞に成長させ、へその緒から患者の肝臓内の血管に注入し、アンモニアの分解を助けます。
 ES細胞は、受精後6、7日目の胚盤胞から細胞を取り出し、それを培養することによって作製されます。ES細胞は、さまざまな細胞に分化しあらゆる組織や臓器になることができるというメリットがあります。また、ES細胞は無限に近い形で増殖させることが可能です。

 2023年10月23日(月)

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