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■自分に適した出し方を知る [やる気を出す]

■積極性に満ちた心理状態で事に取り組めば、会社の仕事の能率も上がる。■
 毎日毎日の日常生活において、私たち人間が仕事や勉強に臨む場合、「やらなければならない気持ち」である使命感と、「やりたくない気持ち」である嫌気、その両方の間を揺れ動いているのが普通であろう。
 双方の気持ちのうち、後者の嫌気のほうが強ければ、もちろん、人間は誰も行動を起こさない。仕事や勉強に手をつけずに、そのまま投げ出しておくだけである。
 しかし、前者の使命感のほうが高まってきて、嫌気との二つの気持ちの割合が同じでも、人間は簡単には行動に移ることはでききない。たとえ行動に移したとしても、この段階ではやる気が足りないから、仕事や勉強はなかなか順調に、はかどらない。
 どちらかといえば、やりたくない気持ちがじゃま立てをして、集中力が出ず、嫌気が差すのみ。気が散ってばかりいて、少しも身が入らないというのは、こうした心理状態といえる。当然のことながら、自分本来の能力を発揮することは無理だろう。
 ここで何らかの理由で勢い、弾みが加わって、やらなければならない気持ちが高まり、やりたくない気持ちとの割合が六対四、七対三といった具合に変化したならば、人間は身を入れて行動し始めることができる。
 「よし、やろう」というやる気や、元気が湧いてくるのである。こうした積極性に満ちた心理状態で事に取り組めば、会社の仕事の能率も上がるし、学校の授業もよく理解できてくる。
 やらなければならない気持ちと、やりたくない気持ちの葛藤(かっとう)は、仕事の締め切りが迫った時や、会議での発表を前にした時、期末試験が近付いた時など、誰でも経験ずみだろう。
■やる気を一気に燃え上がらせるための起爆剤が、きっかけという刺激なのである。■
 二つの気持ちが葛藤している時、「うまくできるかどうか」という不安や、「できるなら逃げ出してしまいたい」といった消極的な気持ちを抑え、何らかの方法で、やらなければならない気持ちを後押しできるなら、やる気や意欲が不安などを抑え込み、自分が持っている能力や実力を十分に、発揮できるようになってくるものだ。
 それは、誰にも身近な、朝目覚めて起きること一つにもいえることである。「会社に出勤せず、このまま寝ていたい」気持ちと、「ゆかなくてはならない」気持ちが対等に張り合っていたら、いつまでたってもグズグズして、布団の中から抜け出せない。
 だが、意を決して布団を勢いよくはねのけて起き上がると、迷っていた気持ちがうそのように消え、「さあ、会社にゆかなくては」という気分に変わってくる。一気に「今日も頑張るぞ」と、その日一日に立ち向かう気力が湧いてくる人も、少なからずいることだろう。
 元気よく布団を離れることで、消極的な気持ちよりも、積極的な使命感のほうが上回って、自然にやる気や気力が出てきたのである。すなわち、体を動かす行為がきっかけとなって、積極的な気持ちを押し上げてくれたわけである。
 このようにして、積極的な使命感や気持ちを高めることができれば、気持ちの均衡は、やる気の出なかった状態から、やる気の出る状態に一気に傾いていく。
 いい換えれば、それまではくすぶっているだけで、なかなか火が付かなかったやる気を一気に燃え上がらせるための起爆剤が、きっかけという刺激なのである。
■行動を起こす前だけでなく、行動中、作業中にも自分にうまく刺激を与え、やる気や集中力を復活させることも、大切なわけだ。■
 事に臨んでやる気を出す方法には、実に種々なやり方、さまざまな手段がある。要は、自分に刺激を与えることで、精神の緊張状態を瞬間的に高めることが、大事なのである。例えていえば、ジャンプをして低いところから高いところへ跳び移るように、やる気の水準を素早く上げるわけだ。
 ただし、いくらやる気を出そうと試みても、嫌気のほうが圧倒的に強い場合は、大して効果がない。この時には、やらなければという気持ちの水準を引き上げて、きっかけ刺激が効果の及ぶ状態にまで、持ち込むことが必要となってくる。
 やろうという気持ちとやりたくない気持ちが四対六、あるいは五分五分の状態になれば、後はきっかけ刺激一つで、一挙に六対四、七対三の状態に持っていくことが可能で、今までとは見違えるほどのやる気や集中力が出てくるのである。
 きっかけ刺激によって、精神の緊張を瞬間的に高めてやると、その勢いでやる気や集中力も、急上昇していくわけだ。
 ところが残念なことに、人間のやる気や集中力というものは、いつまでも続くものではない。疲労などによって、水準が次第に落ちると、やがてまた、やる気と嫌気が五分五分に近くなってきて、仕事や勉強の能率も、当然のことながら落ちてくる。
 そうなったら、再び、やらなければいけないという気持ちに刺激を与えることが、必要になってくる。
 人間が行動を起こす前だけでなく、行動中、作業中にも自分にうまく刺激を与え、やる気や集中力を復活させることも、大切なわけだ。この途中のきっかけ刺激がうまくいけば、長時間の仕事、勉強にも精力的に取り組むことができる。
■人からやる気を鼓舞してもらうのも、決して悪いことではないにしろ、あまりに他人にばかり頼っていては、問題が生じる。■
 やる気というものは、自分で出すばかりではなく、人から出してもらうという方法もある。昔の軍隊で「精神を鍛えるため」と称した体罰や、スポーツのしごき、特訓を思い浮かべると、失敗した時の他人の罰が怖くて精神が緊張し、やらなければいけないという気持ちが高まることも、あながち否定できない。
 一般的な例を挙げれば、職場の雰囲気がたるんできた時、上司が大声で一喝すると、全員がピリッとして、仕事に身を入れるようになったりする。部下たちから見れば、上司からやる気を出してもらったわけだ。
 このように人からやる気を鼓舞してもらうのも、決して悪いことではないにしろ、あまりに他人にばかり頼っていては、問題が生じる。常に他人に依存していると、一喝してくれたり、叱(しか)ってくれる人がいなければ、肝心な時に、やる気や意欲を出せないということになりかねない。
 長年、指摘されてきたように、島国育ちの日本人は集団で行動しないと不安になる傾向が強いようだが、やる気を出すことばかりは、他人に頼っていたり、人と同じことをしているだけでは、なかなかうまくいかないのである。
 なぜなら、どういうやる気の出し方が効果が高いかということは、人によって個人差があるのだ。
 太郎にとっては、効果の高いやる気喚起法でも、花子にとっては効果が低いということも、決して珍しくはないのだ。ライバル打倒の闘志を弾みに、やる気が出る太郎のような人もいれば、成功した時の充実感を想像することで、やる気の出る花子のような人もいるのである。
 どんな方法がいい悪いの問題ではなく、それぞれの人に適した方法があるということである。
 つまり、自分がやる気を出すには、人のまねをしているだけでは駄目なわけで、やはり、最初は試行錯誤しながらも、自分にとって一番効果の高い方法を探していくしかないだろう。
■名監督、知将などと称される人物は、選手たちの動きや表情を見て、彼らの心理をはかり、いつ、どんなタイミングで発奮させればいいのか、よく心得ているものである。■
 事に当たっての、自分に適したやる気の出し方があるとともに、そのやる気を喚起する適当な好機、タイミングというものもある。
 スポーツの監督などは、練習で選手たちが得た力を十二分に、試合中に発揮させるやる気の出させ方に習熟しており、とりわけ活を入れたり、気合を入れる間合いをはかるのが、うまいものである。
 このやる気喚起のタイミングが早すぎると、かえって自軍の選手たちのやる気や集中力、闘争心が中断され、意欲に水を差すようなことになったり、監督自らに反発を感じさせるようなことになりかねない。
 逆に、やる気喚起のタイミングが遅すぎれば、選手たちのやる気をすっかり失わせ、試合の流れを不利な展開に陥れるようなことになりかねない。
 この点、名監督、知将などと称される人物は、選手たちの動きや表情を見て、彼らの心理をはかり、いつ、どんなタイミングで発奮させればいいのか、よく心得ているものである。
 ともかく、せっかくやる気を喚起しても、その呼び起こし方によっては、効果が全く生きてこないことがある。やる気は、ただむやみやたらに喚起すればいいわけではない。
 タイミングについて考えてみると、やる気喚起というのは、瞬間的な起爆剤である。やる気喚起、きっかけ刺激によって起こるやる気や興奮、集中力は、そうそう長く続くものではない。その効果が持続するのは、うまくいって二、三時間といったところであろう。
■今まで集中してきたことから一瞬、意識が離れるような折、再び作業に戻る前に軽くやる気を喚起すると、次の仕事が順調に運ぶものである。■
 やる気の喚起は普通、今から事を始める直前や、ここからが正念場だという直前に行うのが、最も効果的なタイミングである。
 一例を挙げれば、午後から重要な仕事が待ち構えているという日に、朝から「さあ、やるしかない」と、いくら入れ込んでも、そのやる気や集中力がそのまま、午後まで持続することは、なかなかないはず。むしろ、あまりに早くからやる気を出してしまうと、肝心な時になって疲れてしまい、力を発揮できなくなってしまうのが、世の常、人間の常だ。
 今から何か大きな商談をしたり、人前で話したりするという時には、もちろん直前にやる気を喚起すればいいわけだが、やる気の喚起が必要になってくるのは、こうした直前ばかりとは限らない。
 先にも述べた通り、ある程度継続して行う仕事などの場合は、途中で呼び起こし直す必要が出てくる。この途中でやる気を喚起するタイミングは、一般に「やる気がなくなってきたな」、「何となくダレてきたな」と自分で感じられる時だが、事務仕事をしている場合などは、能率が落ちてきたことになかなか気付かず、そのまま惰性で続けてしまうことが、往々にしてあるもの。
 自分ではわかりにくい、やる気を入れ直すタイミングを知る一つのコツは、仕事のちょっとした区切り目を活用することである。仕事中に電話がかかってきて、作業が一時中断したような時や、一枚目の書類の作成を終わって、二枚目に取り掛かるような時が、この区切り目に相当する。
 つまり、今まで集中してきたことから一瞬、意識が離れるような折、再び作業に戻る前に軽くやる気を喚起すると、次の仕事が順調に運ぶものである。
 その方法、手段は、自分の体を手で軽くたたいたり、洗面所へいって冷たい水で顔や手を洗うなどの物理的刺激でもいい。仕事に集中している周囲の人を見回して、自分の心に活を入れるという心理的刺激でもかまわない。
 もちろん、この軽いやる気喚起は、何時間に一度というようなルールを決めずに、一つの仕事を続ける間、思い立ったら何度行ってもいい。




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