SSブログ

■用語 点頭てんかん [用語(た行)]

[クリスマス]生後4カ月から1歳ころの小児に発症する予後不良のてんかん
 点頭てんかんとは、生後4カ月から1歳ころの小児、特に男児に多く発症する予後不良のてんかん。1841年にウエストという医師が彼自身の息子の病状と経過を報告したのが最初で、ウエスト症候群とも呼ばれます。
 てんかんは、脳の神経細胞の伝達システムに一時的な機能異常が発生して、反復性の発作が起こる疾患です。発作時には意識障害がみられるのが普通ですが、動作の異常、けいれんなどだけの場合もあります。こうした異常な症状が長期間に渡って何度も繰り返し現れるのが、てんかんの特徴です。
 てんかんの一つの点頭てんかんは、新生児期から乳児早期に発症する大田原症候群、2歳~8歳に発症するレノックスガストー症候群とともに、年齢依存症てんかん性脳症に分類されます。それぞれのてんかんの好発年齢が乳幼児期にみられること、大田原症候群から点頭てんかんへ、さらに点頭てんかんからレノックスガストー症候群へと年齢とともに変容することが多いため、脳の発達過程とこれらのてんかんの発症が密接に関連しているものと考えられています。
 点頭てんかんは、発症前の発達が正常で、いろいろな検査でも原因が見いだせない特発性と、明らかな原因となる基礎疾患があって脳に障害が存在し、その随伴症状として発作がみられる症候性の2つに大別されます。特発性が10から20パーセント、症候性が80から90パーセントを占めます。
 症候性点頭てんかんの基礎疾患としては、胎内感染症、先天性脳奇形、先天性代謝異常症、新生児頭蓋内(ずがいない)出血、新生児低酸素性虚血性脳症、小頭症、髄膜脳炎、結節性硬化症、フェニルケトン尿症、頭部外傷などがあります。原因となる基礎疾患のうち、単性疾患としては結節性硬化症が最も多く、皮膚の白斑(はくはん)が診断の手掛かりとなります。
 発作の型としては、瞬間的な全身性ミオクロニー発作が特徴です。すなわち、驚いたように両腕を上げると同時に頭部を前屈(点頭)する短い強直発作が数秒間の間隔で、数回から数十回と反復して起こります。このような反復発作をシリーズ形成といい、寝て起きた時あるいは眠くなった時など1日に数シリーズ繰り返してみられます。
 発作が起こるとともに、今まで笑っていた乳児が笑わなくなったり、お座りしていた乳児がお座りしなくなるような精神運動発達の荒廃がみられてきます。
 症状がある場合は、小児科、あるいは神経内科を受診します。早期診断と早期治療開始が重要で、とりわけ点頭てんかん発症まで正常の発達がみられていた特発性では、治療によって良好な予後が期待されます。
 医師による診断では、脳波検査が決め手となり、ヒプスアリスミア(脳波の不整波)と呼ばれる特徴的な所見がみられます。生後1カ年未満で、10分間程度の間に発作が10~30回まとまってみられるシリーズ形成した点頭発作、ヒプスアリスミア、精神運動発達遅滞がみられれば、点頭てんかんと確定されます。
 原因となる症候性点頭てんかんの基礎疾患の検討も重要で、血液検査、頭部CT、頭部MRI検査などを行います。
 医師による治療では、バルプロ酸、ゾニサミド、ニトラゼパム、クロナゼパムなどの抗てんかん薬と、ビタミンB6の大量投与が試みられますが、有効でない場合も少なくありません。
 その場合は、副腎(ふくじん)皮質刺激ホルモン(ACTH)療法が行われます。約70パーセントにコントロールが期待されますが、副作用として感染症、高血圧、電解質異常、一過性の脳委縮などがみられることがあるため注意が必要で、最近はなるべく少量を短期間に使用する傾向があります。
 症候性点頭てんかんでは、ACTH療法で一時的にコントロールできても再発することも多く、年齢が進むとレノックスガストー症候群へ変容することも多くみられます。
 予後は不良で、90パーセント以上に何らかの精神運動発達障害みられます。また、50パーセント以上に他の発作型の合併がみられます。
 点頭てんかんの発作そのものは、2~3歳以後になると自然消失しますが、多くはレノックスガストー症候群や焦点発作などの他の発作型へ移行します。脳波のヒプスアリスミアも発達の一時期にみられる異常で、年齢とともに、焦点性発作波や不規則棘徐波(きょくじょは)結合に移行します。
 点頭てんかんで予後良好なものとしては、発症以前の発達が正常で、治療が発症1カ月以内に開始されて発作が抑制され、脳波で局在のみられないものが挙げられます。発作の消失は、必ずしも知能の改善を意味しません。




タグ:ジカ熱 早期ミオクロニー脳症 てんかん 点頭てんかん 用語(た行) 用語 健康創造塾 キアリ奇形 脳水腫 脳瘤 潜在性二分頭蓋 無頭蓋症 頭蓋骨縫合早期癒合症 脳性巨人症 下垂体性巨人症 狭頭症 ソトス症候群 小頭症 無脳症 開放性二分頭蓋 神経管閉鎖性障害 水無脳症 大頭症 二分頭蓋 外脳症 年齢依存性てんかん性脳症 大田原症候群 レノックスガストー症候群 脳梗塞 頭痛 髄膜炎 脳腫瘍 脳卒中 片頭痛 日本脳炎 くも膜下出血 アルツハイマー型認知症 健忘症 ウエスト症候群 多発性硬化症 聴神経腫瘍 未破裂脳動脈瘤 血栓症 脊髄小脳変性症 パーキンソン病 レビー小体型認知症 脳血管性認知症 脳炎 認知症(痴呆症) 水頭症 若年性認知症 群発頭痛 緊張性頭痛 脳膿瘍 舞踏病 ハンチントン病 小舞踏病(ジデナム舞踏病) 脊髄炎 脊髄空洞症 脊髄腫瘍 脳ヘルニア 薬物乱用頭痛 クルーゾン症候群 アペール症候群 多発性脳梗塞 もやもや病 若年性健忘症 一過性全健忘症 ウィリス動脈輪閉塞症 早期乳児てんかん性脳症 下垂体腺腫 ラクナ梗塞 第8脳神経腫 脳脊髄膜炎 前庭神経鞘腫 若年性脳梗塞 高血圧性脳症 頸動脈狭窄 一過性黒内障 内頸動脈狭窄症 脳動脈瘤破裂 脳動静脈奇形 隠れ脳梗塞 椎骨動脈解離 脳底部異常血管網症 頸部内頸動脈狭窄症 コルサコフ症候群 亜急性硬化性全脳炎 ウェルニッケ・コルサコフ症候群 グリシン脳症 穿通枝梗塞 無症候性脳梗塞 微小脳梗塞 アーノルド・キアリ奇形 尖頭合指症候群 巨頭症 小人症
nice!(15)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:健康

nice! 15

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0