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■卵子と皮膚から万能細胞 米の研究チーム、人間で成功 [健康ダイジェスト]

 非営利組織の米ニューヨーク幹細胞財団研究所のディーター・エグリ博士とコロンビア大の研究チームは、人の卵子に成人の皮膚細胞を入れると体のさまざまな細胞に育つ万能細胞になることを見付けました。マウスでは、同じ遺伝子を受け継ぐクローンづくりに応用されていますが、ヒトで成功したのは初めて。
 成果は6日、英科学誌「ネイチャー」(電子版)に発表されました。
 再生医療が期待される万能細胞は、卵子を使わない作製法を京都大学の山中伸弥教授が開発していますが、米の研究チームは卵子を使うと万能細胞をつくりやすいと説明。クローン人間につながるとの批判があることから、失われた体の機能を取り戻す再生医療や、難病治療の研究目的としています。
 女性ボランティアから有償で譲り受けた健康な複数の卵子の核を残したまま、別の成人から採った皮膚細胞を入れて培養。胚盤胞と呼ぶ状態に分裂した後で一部を調べると、皮膚や骨など体のどんな細胞にもなる万能性を備えていました。
 一方、卵子から核を除去する従来のクローンの手法では失敗したため、研究チームは核を残すのが成功の要点とみています。
 この万能細胞は、皮膚細胞に特有の遺伝子の働きはみられず、受精卵に見劣りしませんでした。ただし、卵子と皮膚細胞の両方の染色体を含み、染色体が通常より1組多い3組あるため、再生医療への応用には卵子の染色体を取り除く必要があるといいます。
 卵子を用いた人の万能細胞づくりは、提供女性の身体的負担が大きい課題もあります。体の細胞を万能細胞につくり替える研究では、2004年に米科学誌「サイエンス」に黄禹錫(ファン・ウソク)元ソウル大学教授が人の卵子を使ってヒトクローン胚性幹細胞(ES細胞)を作ったと発表し、後に虚偽であることが発覚。
 07年に人の体細胞だけを用いる人工多能性幹細胞(iPS細胞)作製が成功したこともあり、最近の研究は停滞していました。
 国立成育医療研究センター幹細胞・生殖学研究室の阿久津英憲室長は、「染色体数が正常のヒトと異なるのが課題だが、卵子が体細胞を受精卵同様の状態に戻せることが証明できた意義は大きい。この方法で患者の細胞から組織や臓器を作れれば、再生医療につながる可能性がある」といいます。

 2011年10月6日(木)




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