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■ポリオの不活化ワクチン接種、今秋スタート 混乱の収拾に期待 [健康ダイジェスト]

 ポリオ(小児まひ)の不活化ワクチンが4月下旬、厚生労働省の承認を受け、今秋から乳幼児への接種が始まる見通しとなりました。これに合わせ、現行の生ワクチンの接種は終了します。
 生ワクチンではポリオウイルスに100万人に1・4人の割合で感染し、手足がまひするなどの後遺症が出ることがあり、近年は接種を控える動きが広がっていました。不活化ワクチンも登場で混乱の収束が期待されますが、過去の生ワクチンの接種歴により不活化の接種回数が変わるため、当面は注意が必要。
 ポリオの不活化ワクチンは、ジフテリア、百日ぜき、破傷風の3種混合と合わせた4種混合ワクチンと、単独ワクチンの2種類の準備が進んでいました。このうち、フランスの製薬会社・サノフィパスツールが申請した単独ワクチンが4月27日に承認され、9月1日の先行導入が決まりました。
 ポリオは口から入ったポリオウイルスが中枢神経を侵してまひを引き起こし、手足に一生続く障害を残すことがあります。日本では1960年に新潟県、北海道、九州地方で大流行し、61年から生ワクチンの服用が全国的に実施されています。1980年には自然感染によるポリオが根絶され、1981年以降は発生ゼロの年が続きました。
 しかし、生ワクチンは毒性を弱めた生きたウイルスが原料のため、接種が原因でポリオ患者が発生したため、厚労省は約10年前から、まひを起こさないように化学処理した不活化ワクチンへの切り替えを模索。開発方針の変更などが影響して導入が遅れている間に、保護者らの生ワクチンへの抵抗が拡大し、90パーセント台だった接種率は2011年秋には76パーセントまで落ち込みました。
 現在、生ワクチンの接種は生後3カ月から7歳6カ月未満を対象とし、原則無料ですが、これは不活化ワクチン導入後も変わりません。生ワクチンで2回だった接種回数は4回に倍増し、生後3~12カ月に20~56日の間隔をあけて3回接種し、3回目の接種後6カ月以上たってから4回目を受けます。
 ただし、過去に生ワクチンを1回受けていれば不活化ワクチン1回分と見なし、残りは3回必要。生ワクチンが2回済んでいれば、不活化ワクチンは不要。これまでに個人輸入で不活化ワクチンを接種していた場合は、全部で4回となるように残りの回数を調整します。
 11月には4種混合ワクチンの導入も予定されます。既存の3種混合の接種歴も絡んで対応は複雑にみえますが、厚労省の担当者は「不活化ポリオワクチンを計4回分、3種混合ワクチンを計4回分、それぞれ完了するように受ければよい」と解説します。最終的に必要回数を満たすなら、保護者の希望や医師の判断で11月以降に4種混合を選択可能。8月以降に生まれる子は、4種混合の4回接種に統一される予定です。
 現行の生ワクチンは飲むタイプですが、不活化ワクチンは上腕に皮下注射します。また、生ワクチンは春と秋に市区町村で集団接種するケースが多かったのに対して、不活化ワクチンは個人で医療機関を受診する方法が基本で、一年中受けられます。乳幼児の予防接種は多くの種類があり、保護者のスケジュール管理が一層重要になります。

 2012年6月3日(日)




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