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■安易な投薬に自制促す 日本うつ病学会、医師向けに初の指針 [健康ダイジェスト]

 日本うつ病学会は27日までに、多様化するうつ病を適切に治療するための医師向けの指針をまとめました。次々に開発されている抗うつ薬の有効性や副作用に関する最新の情報を盛り込み、軽症者の安易な薬物療法に警鐘を鳴らしたのが特徴。
 日本うつ病学会が指針を作るのは初めてで、学会として勧める診断、治療法を示しました。
 うつ病は、社会的に広く知られるようになった影響や、長引く不況などで患者数が急増。厚生労働省の推計によると、国内のうつ病の患者数は1999年の約24万人から、2008年には70万人を超え、約10年で3倍に増えたとされています。年間3万人を超える自殺の主な原因ともされています。
 同学会は最新の医学的知見を盛り込み、現在の医療体制や現場の実情を考慮した指針が必要と判断しました。
 指針は、急増している患者の多くは軽症か、うつ病の診断基準以下の「抑うつ状態」と推測されると指摘。臨床現場では「慎重な判断が求められる」としました。軽症者に抗うつ薬の使用を始めるには、焦燥感や不安感の増大などの副作用に注意して、少量から始めることを原則としています。
 一方で、乱用や転売目的で抗不安薬や睡眠薬を入手するための受診が社会問題化しているとして、「大量処方や漫然とした処方は避けるべきだ」と明記しています。
 軽症の場合、抗うつ薬を使った治療の有効性について、科学的根拠が不十分として「安易に薬物療法を行うことは厳に慎まなければならない」と強調しています。中等症、重症の場合、1種類の抗うつ薬を十分な量と期間で使うことを基本として、合理的な理由なく複数の抗うつ薬を使うべきではないとしました。
 うつ病か診断する際に、患者に聞くべき情報の目安も示しました。そううつ病、不安障害、発達障害などを誤診しないよう、受診時の症状や睡眠の状態だけでなく、病気になる前の性格の傾向、職場や学校での状態を、本人だけでなく家族などにも確認することが望ましいとしました。
 若者に多くみられ、仕事ではうつ状態になるものの余暇は楽しく過ごせるような、いわゆる「新型(現代型)うつ病」については、今回の指針の対象外としました。
 「マスコミ用語であり、精神医学的に深く考察されたものではない」「医学的知見の明確な裏打ちはない」と記述し、何らかのケアが必要な場合もあるものの、現時点で明確な分類、定義はできず、科学的に根拠のある治療法はないと判断し取り上げませんでした。
 うつ病の治療に関する指針は、厚生労働省の研究グループが20003年に策定しましたが、その後改訂されていません。

 2012年7月28日(土)




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