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■低カロリー食は寿命の長さに無関係 米研究所がサルで実験 [健康ダイジェスト]

 低カロリー食を続けると健康にはなるが、寿命が延びることはないとの結果が、23年間にわたるサルを使った実験で示されたと、米国立加齢研究所が英科学誌ネイチャーに発表しました。カロリー制限は「長寿の極意」とされてきただけに、議論を呼びそうです。
 論文によると、加齢研究所では1987年から、平均寿命が27年と比較的長く、個体によっては40年生きるアカゲザルを使って長期の実験を行ってきました。
 実験では、さまざまな年齢の計121匹のアカゲザル2つのグループに分け、一方には「普通食」、もう一方にはカロリーが30パーセント低い食事を継続して与えました。ビタミンやミネラルのサプリメントは、両方のグループに与えました。どちらのグループも、野生のアカゲザルよりも長生きし体重も多くなりました。
 健康度でいえば、低カロリー食のグループでは普通食のグループよりも、体重が軽く、糖尿病や心疾患、がんの発症例が少なく、またオスではコレステロール値も低くなりました。しかし、加齢研究所老年学実験研究室のラファエル・デ・カボ氏によると、少なくともアカゲザルにおいてはこうした健康度が直接、寿命の長さに影響してはいませんでした。
 この実験結果は、他の研究結果と矛盾しているようにみえます。例えば米ウィスコンシン国立霊長類研究センターが現在行っている実験では、カロリー制限をしたアカゲザルのほうが長生きするという結果が出ています。
 霊長類研究センターのリッキー・コールマン上級研究員は、2つの研究には相違点が多く、実験結果の矛盾はそのためだとの見方を示しました。特に、霊長類研究センターでは普通食グループのサルに人間の通常の状態と同様、自分で好きな時に好きなだけ餌を食べられるようにしたのに対し、加齢研究所の普通食グループでは人間の理想的な食事習慣を模して決まった量の餌だけを与えていました。
 このため加齢研究所の実験では普通食グループのサルも、低カロリー食グループのサルと同じくらい長生きしたのだとみられるといいます。また、霊長類研究センターの実験ではサルにサプリメントは与えていませんでした。
 一方、デ・カボ氏は2つの異なる研究結果を比較すれば説得力のある答えがみえてくるとして、「健康な食事習慣によって寿命は延びるが、低カロリー食では病気の発症を遅らせることはあっても寿命の延長にはつながらないという結論が導き出されるだろう」と述べています。

 2012年9月3日(月)




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