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■慢性肝疾患の進行度、血液だけで判断可能 大阪市大が新手法 [健康ダイジェスト]

 慢性肝疾患の病因や病気がどれくらい進行しているか、血液中の「マイクロRNA」を測定するだけで判断できる方法を、大阪市立大や大垣市民病院(岐阜県)、神戸薬科大、広島大の研究チームが開発しました。
 針を刺して肝臓組織を取り出さなくていいため、患者の負担も少なくなります。3年後に高度先進医療の認可を受けたい考えです。
 人間には、マイクロRNAと呼ばれる小さなRNA(リボ核酸)が存在しています。最近までその役割はよくわかっていませんでしたが、マイクロRNAの増減が病気とかかわっていることが明らかになってきました。
 このマイクロRNAは主に細胞の中に存在していますが、血液中では「エクソソーム」という直径100nm程度の小さな粒子の中に存在しています。今回、研究チームは慢性肝臓病の患者約100人のエクソソームの中に含まれる12種類のマイクロRNAを測定し、病気の診断とその進行度を評価する方法を開発しました。
 慢性肝臓病の代表的な原因は、肝炎ウイルスです。日本でB型肝炎ウイルスに感染している人は約150万人、C型肝炎ウイルスに感染している人は約300万人と推定されています。
 慢性肝臓病は自覚症状が現れることが少ないものの、放置すると10〜20年の経過で肝硬変になり、さらに肝がんが発生します。そのため、肝臓病の診断は重要。
 現状の肝疾患の診断では、血液検査で肝臓が壊れていることがわかると、より精密な血液検査、腹部エコーなどでその原因を調べます。さらに、肝生検を行い病理組織学的に病気の種類を診断し進行度を評価するので、手間がかかり、また、体を傷付けてしまうことが課題です。
 今回開発された方法では、エクソソームの中に含まれる12種類のマイクロRNAを測定するだけで、肝疾患のない人、B型慢性肝炎、C型慢性肝炎、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)を分類でき、さらに、病気の進み具合も評価できます。
 しかも、この検査方法は簡便で、たった1回の血液検査で診断することが可能です。さらに繰り返し行うことができるため、病気の診断だけではなく、治療効果の判定などにも応用することができます。
 現状の診断では3泊ほど入院が必要で10万円ほどかかりますが、開発された方法だと最初の検査で採った血液が使え3万円ほどですむといいます。
 今回、重症度を正しく診断できたのは、進行度によって6~8割といいます。チームの村上善基大阪市大病院講師は、「従来法と比べ、繰り返し検査をしても患者の負担が小さく、治療効果の判定にも使える。がんの診断にも応用できるかもしれない。さらに精度を高め、コストも下げたい」と話しています。
 今後の予定は、2013年度中に解析数を増やし、より少ないマイクロRNAの情報で診断の精度を高め、2005年度に高度先進医療として認可されることを目指しているとしています。
 研究の詳細な内容は、10月31日付けで米オンライン科学誌プロスワンに掲載されています。

 2012年11月5日(月)




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