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■用語 滲出性中耳炎 [用語(さ行)]

[耳]急性炎症を伴わず、中耳腔に液体がたまる中耳炎
 滲出(しんしゅつ)性中耳炎とは、鼓膜の奥にあって骨で囲まれた中耳腔(こう)という空間に、液体がたまる中耳炎。通常中耳炎といえば、激しい痛みと発熱を伴うことが多いのですが、どちらの急性炎症症状も伴わないことを特徴とします。
 子供から大人まで、あらゆる年齢層に発症しますが、子供の頻度が圧倒的です。大人では片側性のことがありますが、子供は大半が両側性です。
 放置すると鼓膜が陥没したり、委縮したり、取り返しのつかない変化が起こることがあるので、適切な治療が必要です。
 子供では、中耳炎が長引いて起こることが大半。背景には、耳管の機能不全による中耳換気障害が存在します。アデノイド肥大や口蓋裂(こうがいれつ)、粘膜下口蓋裂など、はっきりした原因が認められる割合は多くありません。
 大人では、子供の滲出性中耳炎と比較して、原因も症状の程度の現れ方も多彩です。多くは50~60歳代以降に発症し、加齢によって耳管の働きが低下してくるためと考えられています。
 症状の主体は、難聴です。乳幼児では訴えが少なく、返事が悪くなったり、テレビの音を大きくしているなどの症状から、周囲の大人が気が付くことが多いようです。
 大人では、難聴以外に、耳が詰まる、声が響く、頭が重いなどの症状を来します。
 中高年以降に発症した滲出性中耳炎は、多くの場合ごく軽症ですが、まれに上咽頭(じょういんとう)がんの初発症状である場合もあるので、片側のみで治療しても効果のない場合は注意を要します。
[耳]滲出性中耳炎との検査と診断と治療
 耳鼻咽喉科の医師による診断では、顕微鏡で鼓膜を観察します。一般に鼓膜は陥没していることが多く、中耳腔にたまっている液体が認められます。
 そのほか、聴力検査、鼓膜の動きの程度を調べるティンパノメトリー検査などを行います。また、耳のX線(レントゲン)検査やCT(コンピューター断層撮影)検査を行うこともあります。
 耳鼻咽喉科の医師による治療では、子供の滲出性中耳炎の場合、学齢期までには9割以上が治癒するので、保存的治療が基本になります。軽症では経過観察でもよいのですが、悪化時の適切な対応が重要です。
 一般には、耳管機能に影響する鼻咽腔の炎症を取り除くため、鼻ネブライザー、さらに耳管通気を行います。マクロライド系抗生剤の少量長期投与や、抗アレルギー薬、粘液調整薬、漢方薬などの投与も併用します。
 4歳を過ぎても保存的治療の効果がない場合、あるいは難聴が30デシベル以上の場合には、発育にも影響するため、積極的に鼓膜切開を行います。鼓膜切開は、乳幼児でも外来で簡単に行うことができ、感染がなければ鼓膜の穴は数日で閉鎖します。
 鼓膜切開を繰り返し行ってもすぐ再発する場合、あるいは鼓膜の陥没が強い場合には、鼓膜を切開し、穴がふさがらないように細いシリコン性チューブを中耳腔に置き、外耳道を経由して換気できるようにします。乳幼児では、体動による損傷を防ぐため、全身麻酔が必要になります。
 中耳が正常化するまで、チューブの長期の留置が望ましいので、定期的に耳鼻咽喉科の診察を受ける必要があります。また、チューブを置いた状態で耳に水が入ると中耳炎を起こす危険があるので、入浴時や水泳時などには耳栓を入れるなどの生活指導が必要です。
 アデノイド肥大により耳管を圧迫している場合、あるいは扁桃(へんとう)肥大があって感染を繰り返している場合には、アデノイド切除術、口蓋扁桃切除術を行うことがあります。これらの外科的治療は、癒着性中耳炎、真珠腫(しゅ)性中耳炎などの重篤な合併症を予防し、難聴の持続による発達への悪影響を避けるために行います。
 日常生活においては、全身的な健康管理が何より重要で、風邪を引かないように体の抵抗力を高めることが必要です。
 大人の滲出性中耳炎の場合、軽症が多いために、耳管通気を2~3週間続けると治ります。ただし、時には2~3カ月以上かかったり、数カ月あるいは1年以上経過して再発することもあり、その都度、受診することが求められます。
 軽症でなければ、中耳が正常化するまで、中耳腔にチューブを留置します。




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