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■腹腔鏡手術、4病院で死亡率が平均の10倍超える 学会が全国の病院を調査 [健康ダイジェスト]

 群馬大学附属病院で腹腔鏡による手術を受けた患者が相次いで死亡した問題を受け、専門の医師で作る日本肝胆膵外科学会が、全国210余りの病院を対象に調査したところ、患者の死亡率が全国平均の10倍を超える病院が4つあることがわかりました。
 これらの病院に対して、学会は詳しい手術内容の報告を求めることになりました。
 肝臓や膵臓の専門の医師で作る日本肝胆膵外科学会は、群馬大学附属病院と千葉県がんセンターで、腹腔鏡による肝臓や膵臓の手術を受けた患者が相次いで死亡した問題を受け、難易度の高い手術を安全に行えると学会が認定している全国210余りの病院を対象に、昨年までの4年間に行われた手術の死亡率を調べました。
 その結果、腹腔鏡による肝臓の手術の死亡率は全国平均が0・49パーセントでしたが、この10倍以上に当たる5・88パーセントになっている病院が1つあることがわかりました。また、膵臓の手術の死亡率は全国平均が0・33パーセントでしたが、3つの病院で4パーセントから6・4パーセント余りと死亡率が10数倍から20倍近くに上っていることがわかりました。
 群馬大学附属病院の腹腔鏡を使った肝臓の手術の死亡率は5・88パーセント、千葉県がんセンターの腹腔鏡を使った膵臓の手術の死亡率は3・3パーセントで、これらの4つの施設の死亡率は同程度かそれよりも高いものになります。
 学会では、4つの施設の名前を明らかにしていませんが、今後、死亡した患者の年齢や病状、それに手術の詳しい内容や、死亡の経緯などについて報告を求め、詳しい状況を把握したいとしています。
 日本肝胆膵外科学会の宮崎勝理事長は、「死亡率が高いから必ず問題があるとは限らないが、学会として認定した病院の安全性を確保し、患者に安心して医療を受けてもらうため、しっかり調べたい」と話しています。
 肝臓の手術に詳しい日本大学医学部消化器外科の高山忠利教授は、「肝臓や膵臓は開腹して手術すれば死亡率は1パーセント未満となるはずで、内視鏡だからといって5パーセントを超えるのはおかしいと思う。死亡率が高い病院では本来、内視鏡でやるべきではない手術を無理してやったなどの問題があったのかもしれない。これまではほかの医療機関の手術の成績を外から知ることは難しく実態はよくわからなかったが、今回のような調査をしっかりと進めていけばより安全な手術につながるはずだ」と話しています。
 腹腔鏡を使った手術は、日本では1990年に胆囊の摘出で行われました。この手術が1992年に保険の対象となり、腹腔鏡手術が拡大する切っ掛けとなりました。日本内視鏡外科学会の調査では、腹腔鏡を含む内視鏡手術の症例数は1990年には2370例だったのが、2007年に10万例を超え、2013年は17万8000例に上りました。
 1990~2013年の合計でみると、症例数は胆囊や胃がんなどの腹部外科が約半分、次いで産婦人科で子宮筋腫や子宮内膜症などが多く、3番目は肺がんなどの呼吸器外科となっています。
 腹腔鏡手術は場所によって難易度が変わり、肝臓と膵臓は難しい領域となっています。

 2015年6月11日(木)

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